4/9
【四】
二日目――。
人々はここに至り、阿鼻叫喚の声を上げ始めた。
僅かずつ僅かずつ、死の色に犯される地から逃げまどい、嘆き、叫び、怒り、神に祈った。
少女はその狂乱には耳を傾けず――相変わらずに、死を示す赤色の、じらすような浸食の這い寄りを、ただ見つめている。
まん丸に見開いた瞳で。
まるで、地獄のような阿鼻叫喚の叫びに、僅かな価値しか感じていないとでもいうように。
これ以上の地獄を、秒を数えるように待ちわびるような様子で――目に充血が走ろうと構わず、ガラス玉のようなそれを見開いたまま、赤の浸食を見つめていた。