第3話 2人目?
自分で書いた第1話、第2話を初めてスマホで見ましたが、スキル表がすごく見ずらいですね。
パソコンやダブレットは問題なかったんですが・・。
なんとかしなくては・・。
改行方法だけ変更しました。
その後も表向きには、宿屋仕事と薬草採取仕事は続けて、夜にはスキルポイントを1つずつ増やしていくという生活になった。(神官に転職してほほ二か月、もうすぐ光魔法も全部習得できそう。いろいろな魔法を覚えたいし・・。さて次のスキルは何に・・)
と考えながら歩いていたルーシアは、曲がり角でいきなり小さな影とぶつかってしまった。小さな影は小走りだったみたいで、そのまま派手に転んでしまった。
「あー、ごめんなさい!痛かった?大丈夫?」自分が不注意だったと自覚したので、ルーシアは慌てて謝罪し、その小さな影を抱き起した。見るとまだ12~13歳くらいの女の子でよほどびっくりしたのか、まだ戸惑っている。
「怪我して無い? すぐ治してあげるね」とキュアをかけようとしたが、その女の子はあわてて立ち上がり、「だ、大丈夫です!こっちこそごめんなさいです!」と叫んだ。
「でも少しひざに擦り傷ができてるみたいだから、ちょっと待っててね」とルーシアは言ったが、その子はさらにあわてて、「そんな大事な魔法、あたしにはもったいないです!治してもらってもお金がないので払えません・・・」そう言って服についた泥をぱたぱたと落として、思い切りお辞儀をしてその子は駆け出していった。
「お金なんかいらないのに・・。でも今の子、すごく気になるわ・・。以前の私と同じ目をしてた・・・」
その後ルーシアは街でたびたびその子を目にしていた。郵便配達の手伝いを主にしているようで、いつも走り回っていた。でも、ある理由によりその子は住民や冒険者からは、笑いものにされている。
なんとかしてあげたいという気持ちはあったが、具体的には良い案もなくいつも目で追うようになっていった。そんな時ふと、その子の目の色が変わってきたことに気づいた。以前みたいにどんよりとした、何の希望も無いような色ではなく、なにか不思議なものを見たようなあるいは、びっくりしているような感じだった。
さらに何日かたった後では、少しではあるが意思の力のようなものが宿ったように見えた。そのような微妙な変化に気づいたルーシアは一層注意してその子を見守ることにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
マイラは物心ついたときには孤児院にいた。孤児院はそんなに大きくはないけど、やさしいシスター達に恵まれ元気に育っていった。マイラはシスターのお手伝い、町の清掃やお使いなどの頼まれ仕事をいつも明るくこなしてきて、街の人たちの評判もよかった。
しかし、12歳の時受けた「覚醒の儀」から、その明るさは少しづつ陰りをみせるようになった。
マイラに「ユニークスキル」があったからだ。
【マイラ 12歳】
LEVEL:3
・・・
一般スキル
特殊スキル
ユニークスキル
【なし】
一般的にユニークスキルは、空白の場合がほとんどで1万人に一人くらいの割合で取得できるとされている。それをわざわざ【なし】と書かれたスキル欄については、当初意味がないと思われていた。なのでマイラは最初は驚いたが、空白と同じと思い特に意識して考えることはなかった。
ただスキル欄が空白のままの他者からは、「あははは、せっかくユニークスキルもらったのに、なしとはなあ」「意味がないだろう。あえてわざわざ能力なしといわれてるようなもんだ」「思い切り、役立たずと書かれてるな」というようなねたみややっかみといった反応がほとんどだった。
そのうちマイラをみかけるたびに、「よう、能無し」「元気か、役立たず」と言われるようになり、同年代の子供たちからは、「おまえなんかいてもいなくても同じだ」、「あっちいけ、愚図がうつる」等、ひどいときには石を投げられ追い払われることもあった。
おそらく言った当人は自分より出来の悪い人間がいることに対し、優越感や自己満足にひたれたのだろう。
毎日のように言われ続けられたマイラ本人もだんだん元気がなくなり、最近ではできるだけ隠れて過ごすようになってしまった。こんな状況もそのうち落ち着くだろうと考えたマイラは、しばらく耐えていくことになった。
だがある時期から、不思議そうな表情のままその場に長い間たたずんでいたり、突然悲鳴をあげて走り去ったりといったおかしな行動が目立つようになった。街の人間からは「やっぱり・・」とか「とうとうおかしくなりやがった」とか陰で言われていたが、マイラ自身は周りで言われていることにほとんど反応しなくなった。
そんな時に街にある不思議なことが続いて起こるようになった。
ー 事象1 ー
その厄介者は元々は腕の立つ冒険者だったらしいが、討伐系のクエストを立て続けて失敗したことで酒に溺れ、パーティメンバーへ当たり散らした結果、どんどんメンバーが離れて今は一人だけという状況になっている。
今日も朝から一人で飲んだくれて、一般市民にもことあるごとにいいがかりをつけながら街中をのしあるいていた。
そんなさなか、たまたま目の前を荷物を背負って、忙しそうに走る子供に気づいた。
ちょうどいいカモがいたと思い、その厄介者は大声でどなった。
「おらおらあ、てめえがいきなり目の前を横切ったんて、酒をほとんどこぼしたじゃねえか。どうしてくれるんだ。ああ?」
びっくりしたその12歳くらいの女の子はあわてて、「す、すいません。急いでいたもので・・。でもその瓶、何も入ってないようです・・」「やかましい!!なみなみ入ってんだよ!!もとに戻せ、このガキめ!」そう言って厄介者は、その汚れ切った服をきて、顔も泥だらけの子供をつかまえようとした。
しかし素早くその手をかいくぐった女の子は「ごめんなさい、ごめんなさい!」と言いながらその先にある路地に走っていった。厄介者は千鳥足ながら、そのあとを追って路地に入っていった。
その様子を見ていた何人かの通行人はさすがにこのままではまずいと思ったのか、衛兵を呼ぶ笛を吹きつつ、二人が消えた路地へと入っていった。
(確かそこは袋小路だったはず)と気づいたその通行人たちは、急いでその角を曲がったが、「・・・あれ?誰もいないぞ。どこ行った?」「確かにここ曲がったよな」女の子と厄介者が曲がってからも目を離してないので、別の路地に行ったということはない。
その路地は、両脇を倉庫の高い壁が続き、出入り口は一つも無い。突き当りは、頑丈な高い網が張り巡らされており、とても乗り越えられそうもない。左の隅には木戸があるが、頑丈そうなカギがかかっており、しかも最近開けられた形跡がない。ただその網の下のほうは、何か所が壊れている箇所があり、小さい子ぐらいは通れそうな穴が空いている。
仮に女の子はそこから逃げたとしても、その厄介者は2メートル近い巨漢でその穴をくぐることは不可能である。そんな魔法も聞いたことがない。
駆けつけてきた衛兵になんとか説明しようとしたが、証拠も何もないため、「人騒がせもいいかげんにしろ」と注意をうけ、この場は収まった。
その後その厄介者の姿を見たものはいない。
ー 事象2 ー
この街の中央には大きな広場がありそこから、東西南北に大きな通りが整備されている。
北へ行くと神殿や神殿関係者の住居などが集まる地区があり、東側には宿屋、鍛冶屋、冒険者ギルドなどがある。
その中央広場の西南寄り、スラムに近い一角である騒ぎが起こっていた。
人だかりの真ん中には一目でスラムの住人だと思われる薄汚い男の子が、腹をおさえてのたうち回っていた。その横には仲間か、兄弟と思われる子供が叫んでいた。
「誰か!誰か助けてくれよ!このままじゃあんちゃんが死んじゃうよう!!」
倒れている子供の顔はいまや青黒く変色し、息をするのも苦しそうと見える。
「どうした?なんか悪いものでも食ったのか?」見かねた市民がこう尋ねたところ、叫んでいた子供が
「これだよこれ!この果物みたいなものを通りかかった冒険者の人にもらったんだ!」と言った。
そしてそれを疑いもせず食べた「あんちゃん」がこうなったしまったと。
「あ~、これはとろけるほど甘くてうまいといわれているが毒が入っているやつだ。これを食べると3日3晩苦しんで、最悪死んでしまうという冒険者キラーの実だ。ひでぇ冒険者もいたもんだな。 でも確か光魔法の<L7:ハイヒール>で治るぞ。えらく高額だが神殿に行けば大丈夫だ」
「え~、そんなお金はないしどうしよう・・」
だんだんと騒ぎが大きくなり、いろいろな人間が集まってきた。その中で、ある小さな女の子が倒れている子に手を伸ばしてなにかつぶやいていたが、それに気づく者はいなかった。
もがいている子はだんだん声が弱々しくなっていったが突然、「ううう・・・、うう? ・・あれ痛くない。あれれ急に治ったみたいだ、なんでだろう・・」「あんちゃん、あんちゃん、大丈夫か!良かったあ!」心配そうに見守っていた大人たちも、その様子を見て安心したのかその場を離れていった。さっきまで手を伸ばして見ていた女の子も安心したのか、ゆっくりと人ごみに消えていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
マイラはその日の配達仕事を終え、隠れて住んでいる孤児院の納屋へ帰る途中、いきなり3人の男たちに囲まれた。孤児院は12歳になるといられなくなるが、他にどこへも行く当てがないからだ。
「こいつか」
「ああ、間違いない」
「よし、とっとと終わらせようぜ」
「な、なんですか。やめて下さい!お金なら持ってないです!」
「そんなのは見りゃわかるぜ、ばかかこいつは」
「ボスのいうとおり確かにみすぼらしいが、みがけばそれなりに使えそうだ」
「お前はこれから遠いところへいってそこで売られるんだ。貴族様用の愛玩奴隷としてな!」
「た、助けて下さい、お願いします!だ、誰か!!」
「あきらめるんだな、誰も来やしねえぜ」と乱暴に突き飛ばされた時、女の人の声が聞こえた。
・・・・・<ミスト>・・・・・
マイラを囲んでいた男たちの顔が、突然霧状の白いものに包まれた。
「うわ、なんだ、全然見えねえ!」
「どうした、攻撃されているのか!!」
「早くなんとかしろ、てめえら!!」
・・・・・<アースウォーム>・・・・・
また、さっきと同じ声が聞こえた。
「足が!足が!」
「動けねえ!!」
見ると、男たちの足元に泥状の小さな沼ができ、しかも膝まで埋まってしまっている。
・・・・・<ライトニング>・・・・・
今度は男たちの身体に小さな雷が当たり、そのままの態勢で感電し続けていた。
「さあ、今のうちよ。早く逃げましょう」
突然現れた女の人はそう言って、手を握ってきた。マイラは始めはびっくりし警戒もしていたが、その女の人の持つ優しそうな感じを信じて、一緒にこの場を離れることにした。
「ここまでくれば大丈夫ね。怪我はない?」
「あ、ありがとうございます。助かりました。・・でもお礼できるものなにも持ってません・・」その時安心したのか、マイラのお腹がきゅう~と鳴った。
「あらあら、お腹がすいているのね。よかったらうちに来る?少しだったら食べるものあるから。それにちょっとあなたとお話ししたいのよ」と、その穏やかな雰囲気を持つ綺麗なお姉さんは言った。
信用出来そうな人だなと思ったマイラは大人しく付いていくことにした。
そこは宿屋の使用人部屋のような小さな部屋で、ベッドとソファーやテーブル、あと簡単な家具がいくつか置いてある質素な部屋だった。
「改めて自己紹介するわね。私はルーシア、この宿屋で働いていて、空いてる時間に冒険者をしているわ」
「さっきは助けてもらってありがとうございました。あたしはマイラです。いろんな仕事をしてます。 それとあたし、お姉さんのこと知ってます・・」そう言うとルーシアはちょっと悲しそうな顔で、「あ~、そうよね。私嫌われ者で有名だから」「あっ、そ、そういうつもりで言ったんじゃないです。ごめんなさい!」
「いいのよ、気にしてないから。さてととりあえずご飯食べる? ご飯といってもこの宿屋のまかない料理だけど。ちょっと待っててね」
あっという間にマイラの前には、お肉と野菜の甘辛く炒めたものと、あったかそうな豆のスープが並べられた。「今、パンとお水も持ってくるから先に食べててね」と言って、ルーシアは部屋を出て行った。
昨日から小さいりんご1個しか食べてなかったマイラは、夢中で食べ始めた。おいしくておいしくてなぜだか自然に涙が出てきた。
「ごちそうさまでした、こんなにお腹いっぱいになったのは久しぶりです。ありがとうございました。 でもどうしてこんなに親切にして貰えるんですか?」
ルーシアはそれを聞くと、マイラの目をじっと見て話し始めた。「だって、あなたは昔の私そっくりだもの。ほっとけなくなっちゃった。 ねえマイラって呼んでいい?」「はい」
「マイラ、私のスキルって知っている?」
「ク、クレーマーですよね」
「そう、買ったお店に文句をつけて、もっといい品物への交換やお詫びの品を受け取ることができる という最低のスキルよ。 もともと私は冒険者に憧れていて、どこかのパーティに入っていろんな冒険がしたかったの。 でもこのスキルの効果を知った人たちが、パーティに入れる条件として購入した武具やアイテムを私に持たせて何度もクレーマーさせたの。 結果としてそのパーティの装備はすごく充実した物に変わっていったけど、私の評判はがた落ちで たくさんのお店で、出入り禁止になったり、前を通るだけでドアを思い切り閉められたりされたわ。 しかもその入れてもらうはずのパーティは、だいたい何も言わず急にいなくなるの」
「ひどい・・・」
「で、後に残ったのは、買い物が出来なくなった多くの店と、街一番の嫌われ者というレッテル・・。 でもね、ある時ふとしたことでこのスキルの別の使い道に気づいたの」
「別のですか?」
「ねえマイラ、あなたのスキルって<なし>よね」
「!、え、ええ、そうです、やっぱり知ってましたか・・。はい役立たずスキルです」
「でも最近、そう思わなくなったんじゃない?」
「!!!、・・・・なぜわかるんですか!!」
「うふふ、私が自分のスキルの別の使い道を知った時と同じ目をしてたからよ」
「・・・」
「さて今日はもう遅いからそろそろ寝ましょうか。あなたはそこのソファーを使ってね。 それと明日、街の外に一緒にお出かけしましょう。私のスキルの本当の意味を教えてあげる」
読んでいただきありがとうございましす。感謝です。