第22話 スキル救済その3
どうもシンジくんが出てくるとこんな話になってしまいます。
すみません・・・。
「私には好きな人がいます。
神様お願いです。どうかあの人と・・・」
私は巫女職をしています。
神様や聖女様にお仕えする大切な仕事です。
今日も神殿に来られた方たちへのご案内や、お祈りの際のお世話なども終わり、帰る間際の最後のお祈りを一人でしている時でした。
立ち上がりかけた時突然周りが真っ暗になりました。
いきなりのことなので、固まったままでいたら、どこからか厳かな音楽が聞こえてきたのです。
と同時に下方から上方に向かって光の放射がカチッ、カチッという音とともに、徐々に増えてきて空中のある箇所を示しました。
そこには、先ほどまで祈りを捧げていた神さまが浮かんでいらっしゃいました。
そのまぶしいお姿に思わず私はひざまづき、「ああ、神様。私の願いをお聞きくださるのですね」と、
手をあわせてこう言いました。
「私には好きな人がいます。
神様お願いです。どうかあの人と・・・」
【シンジ side start】
ルー姉に頼まれて神殿に向かい、そこで準備を整えた。
まずモブスキルの<変身>でそこに祀られている神様と同様の姿になり、ダンジョンで見つけた<フライングブーツ>を履いた。
「フライングブーツ」
空中や水の上を歩ける靴。
高さに制限無し。
レア度は伝説級。
次に現世でのスポットライトみたいな機械を姫様にたくさん作ってもらって、あらかじめ床にセットしておいた。隠れた位置にミラーボールもつけて、彼女がやってくるのを待った。
「迷える巫女よ。汝の望みを叶えてしんぜよう」
オレは低い声でそれらしく、眼下で祈っている少女を見た。
すると「好きな人がいます・・・・・」と言って俺を見上げた。
(おっ、すげえ可愛いじゃん。誰だ、好きな奴って。うらやましいな、くそ~)
「うむ、わかった。で物は相談だがそいつなんかより、よっぽどワシの方」
(お兄ちゃん、真面目にやって下さい!!!)
耳につけたインカムのようなもの(これまた姫様お手製)から、マイラの声が響いた。
(あうう、しまった。マイラ怒らせると後が怖いからここはちゃんと)
その少女は聞こえなかったのか、聞こえなかったふりをしたのか不明だが、続けて話し出した。
「以前この街にいらした、勇者パーティのおひとりに 私は心を奪われてしまったのです。
神様お願いです。そのお方とぜひ、お、お、おつき合いをしたいのです!!」
(な、なに~、オレのクラスメートじゃねえか。まさかあのイケメンの高橋か、それともサッカー部の紺谷か!)
俺は声の震えを抑えつつ、その少女に聞いてみた。
「そ、そうか。してその者の名はなんという名じゃ」
「はい、カズヤ=タナベとおっしゃってました」
(なに~、田辺だと~、お嬢さんそいつは、アイドルの追っかけやってる、ただのヲタだぞ!)
「な、なるほど。あくまで後学のために聞くが、その男のどこが良かったじゃ?」
「はい、私のことをみつめ、(可愛い、写真に撮りたい)と言っていただきました。
ワケがわかりませんでしたが嬉しかったです」
(おいおい、そいつは推しの写真集が出ると、とりあえず5冊買って、観賞用、切り貼り用、配布用、保存用等とかにすると言うやつだぞ)
「むう、そうか。しかし写真はいかん。悪魔に魂を乗っ取られてしまうのだ」
「ええ?、そうなんですね。わかりました。
また、討伐のための資金が無いと嘆いておられましたので、わたしのおこずかいの中から少しでも・・」
(ダメだ、ダメだ、そんなこと。
バイト代すべて「グッズが~、遠征費用が~」というのにすべてつぎ込むやつだ)
「のう、お嬢さんや、悪いことは言わん、ここはひとつ」
(お・に・い・ちゃ・ん~~~)
(ヤバイ、マイラが本気で怒る一歩前だ。一瞬で消されてしまう・・)
「いや、そ、そなたのあまりにも純粋な心に打たれて感激して、意味不明な事を言ってしまったようじゃ。 あいわかった。そなたの望みを叶えようじゃないか」
「ありがとうございます!それでこそ神様です!」
(む?なにか不穏な事を言われた気がするが続けよう)
「そなたのユニークスキル<初恋物語>を使うのじゃ」
「えっ?秘密にしておいたそのスキルをなぜ、ご存じなのですか?」
「神様はなんでも知っておるのじゃ。特に可愛い子のな、うひひひ」
(インカムから、・・・・ゴゴゴゴゴと聞こえてきた・・。うひゃあ、本当にまじめにやります)
「・・で、<初恋物語>というスキルは、想いを届けたい相手への願いがほぼ叶うという仕様になっておる。だが、年を重ねるにしたがってどんどん効果が薄れてしまうが、最初は100%じゃ。どうじゃ、理解したかのう」(試しにわしに使ってもいいんじゃぞ・・と言いかけたが命が惜しいので言わない)
「わかりました、少しエッチな神様。なんだか勇気が出てきました。 この想い全力でぶつけてきます!!」
なにか失礼なことを言われたような気がしたが、もうこの娘は大丈夫だろう。
いい仕事をした。今度田辺に会ったら、なんか奢ってもらおう。
【シンジ side end】




