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第20話 スキル救済その1

その1~その3を同日にUPしますね。

【ロブ  side start】 


ルーの姐御に教えてもらった場所に来てみた。

ちなみに姐御って呼ぶと「やだあ、山賊みたい」と言ってむくれていたがこんな可愛い山賊なんているもんか。


それはさておき、みすぼらしい農家だ。小さな家のまわりには、1頭の痩せた牛、2~3羽のにわとりだけ。裏には、手入れもされてない土地があるだけ。



住んでいるのは、病気がちの母親と12歳くらいの少年だけだ。

その少年のほうに、妙なユニークスキルが出現したそうだ。


「ロブさん、当然だけどその子は使い方は何も知らないわ。

 でもせっかく農家にいて、そのスキルを使いこなせないんじゃもったいないわ。 

 なんとかできないかしら」


そのユニークスキル名は<マシマシ>、野菜の育成時に唱えると2倍~3倍で収穫できるという。

しかも、滋養にあふれ味も格段に上がるとのこと。確かに農家向きのスキルだ。


オレは牛の世話をしている少年に声をかけた。


「作業中に悪いな、ちょっと聞きたい。ここら辺に野菜がたくさん取れる畑があるって 聞いてきたんだが」

「ここら辺ですか。違うと思いますよ。昔から、土も悪く、水ハケもよくないので 誰も畑を作ろうとしてないんです」

「そうか、いい野菜が取れれば優先的に契約を結ぼうと思ってたんだ」

「おにいさん、商人さんですか?」

「まあそんなところだ。ところで裏に空いた土地があるが、何か作ってたのか」

「ええ、昔はナスやキャベツ畑だったと思いますが、でもここってほとんど雨が降らないんで今では・・」


よし、わかった。ここはやっぱりオレの出番だ。


「なあ坊主、ものは相談だが、オレと一緒に畑を作り野菜を育ててみないか?」

「いやいや、無理ですって。まずは雨が降らないと」


オレはそいつにウインクして、おもむろに魔法を唱えた。

レンジャーの上位職<大自然の守り手>スキルの<L:7 天候操作>だ。


するともくもくと黒い雲が10mほど上空に出現し、またたく間に雨を振らせ始めた。


「ええええ?なんですかこれ!!こんな魔法初めてみた!」


そいつが呆然と見ているスキに、アイテムボックスから、土を自動で掘り返しながら進むおもちゃみたいな装置を取り出して走らせた。アイテムボックスもその装置も姫様が作ったものだ。

(しかし、あの姫様なんでも作れるな。頭の良さが半端じゃないな)


最後にダンジョンで見つけた「豊穣の灰」という粉を振りかけて準備は整った。


 「豊穣の灰」

  枯れた土地、畑をよみがえらせる。

  効果は100年続く。

  レア度は反則級。  


隣にいる口をあんぐり開けたまま固まっている少年に、「よし、これでいい。試しになんでもいいからタネを植えてみろ。絶対にうまくいくはずだ。少し経ったらまた見にくるぞ」と言ってその場を去った。


一旦馬車に戻り、状況を説明した。

その畑のまわりに川や池といった水場は無いと言ったら、なんでも地下深くにある水脈から直接、水を吸い上げるポンプのような機械を錬金術で作ってくれるそうだ。


2~3日後、様子を見に行ったマイラは、「タネがまかれていたようなので、<太陽の恵み>スキルをかけておきました」と言ってた。成長が五倍になるやつだな。


そろそろいい頃合いと思い、またその農家へ出向いた。

オレの姿をみたその少年は、大興奮で「もう芽がでてきました。すごいです!!」と飛びついてきた。

見ると芽どころか、もうひざくらいまで成長していた


ここで初めてオレは少年に本当の理由を明かすことにした。

「実はある人に頼まれて、お前のスキル<マシマシ>の使い方を教えにきたんだ」

「え、そうだったんですか。使い方はわからず、ご飯を食べる時もっと欲しくて いつも<マシマシ>って叫んでいたんです。全然増えなかったんですが」

「惜しかったな、それは食べる時じゃなくて育てる時に使うスキルなんだ。 試しにこの畑に<マシマシ>って言いながら祈ってみろ。その人の話では<マシ>で2倍、<マシマシ>で3倍の効果だそうだ。まあ、普通は3倍だな。よしやってみろ」

そして少年は一心に祈りはじめた。

オレはその間、水くみポンプの設置や、排水溝の整備などしておいた。

多分これで問題ないだろう。少年にポンプの使い方とか教えておいてその農家を後にした。



しばらくぶりにこの農家へやってきた。

始め、家を間違えたと思ったほど、そこは変わっていた。

牛などの動物はかなり増えて、家もかなり頑丈に補強されていた。

なにより裏の畑の大きさに驚いた。はじめに来た時の十倍くらいになっていた。

そしてそこには、さまざまな野菜が、見るからに健康そうな色つやでたわわに実っていた。

少年は、少し離れた場所にいて、そこでなにやら行商人らしい人間と話していた。

横に大量に野菜を積んだ馬車が見えたんで、商談中なのだろう。


なお驚いたことに、病気がちだったという母親が元気に刈り入れをしていた。

刈り取る野菜がたくさんあって、大変そうに見えたが楽しそうな笑顔だった。

おそらくこの野菜をたくさん食べて健康になったのだろう。


この一家はもう大丈夫と判断して、オレはそこを去った。


【ロブ  side end】

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