覚えている【勝手にツッコミバージョン】
頭が貴方を覚えている。
【そりゃ、貴方という存在について喋っているんだから、覚えているでしょ。覚えていなかったら、貴方について喋ることもないんだから。俳句だったら、無駄な言葉として、全文が削除対象になるな】
髪が寝癖の形を覚えている。
【寝癖は髪の毛以外の毛では、使わないからね。だから、髪と言わなくても分かるよね。そうだよね、そうだよね。この文章は、ずっとこんな感じで進むのね】
眉が哀愁を覚えている。
【そうかそうか。これは身体のいろんな部位に染み付いている、貴方とのことを振り返る、みたいな感じなのね。直接は振り返らない感じで、間接的に進めていくわけね】
瞼が開く作業を覚えている。
【これは、誰しもの瞼が覚えている、ごく普通の説明だな。でも、普通を書くことで、後々、何かが引き立ってくることもあるからな。瞼って、まぶた、と読むんだよな。知らない人多いから、平仮名が良かったんじゃないか】
瞳が部屋の色味を覚えている。
【確かに、色味だけ覚えていることは、たまにあるけど。色味だけ覚えていることは、たまにあるけど。瞳っていう漢字って、8個も四角い密閉空間あるよな。いい感じだよな】
耳が目覚まし時計の音を覚えている。
【貴方の部屋で、目覚まし時計で起きたってこと。それは、夜、なにかあったってことか。一緒のベッドで目が覚めたか。髪も寝癖の形を覚えちゃってるわけだからね】
鼻がバラの香りを覚えている。
【これは、女性目線と捉えていいんだよね?だとすると、バラそのものというより、バラの香りのする製品、という線が濃厚かもしれないな。って何でこんな真剣に推理してるんだ。普通に興味ないのにな】
唇が柔らかい感触を覚えている。
【覚えている、で終わることも、もうそろそろ限界なんじゃないの。ここでキスしたことが分かったから、ラブストーリーなのかもとは、想像できるけども。唇ってそんな、覚えているもんか?】
口が喋った言葉を覚えている。
【口も覚えているかもしれないけど、一番は脳じゃ。覚えるという行為は、大半が脳でやるんじゃ。口の感覚だけで、昔喋ったことを再現すること、出来るかい!】
舌がカレーの辛さを覚えている。
【辛さって、意外と覚えていないぞ。辛さは、味というより、刺激だからな。味ほどは覚えられないんじゃないか。確かな情報ではないがな。個人的な考えだから、信じるな】
頬が火照ったときの熱を覚えている。
【何で火照ったんだよ。貴方の存在とかだろうかな。熱を覚えてるって、何度あったか覚えてるのかよ。だいたい何度とか、感じてるだろうな。絶対音感みたいな感じの、絶対温感なるものを、持っているんだろうな】
顔が空気を覚えている。
【空気なんて覚えられるか。空気と言ってもたくさんあるぞ、種類が。雰囲気も空気だし、そこらへんに漂っているヤツも空気だし。顔でってことは、顔の肌の感触でってことだよな。まあ感じられる人には、感じられるか。でも、顔が一番空気を覚えられる部位じゃないよ。全身で感じろ、ボケッ!】
首がネックレスの痕を覚えている。
【まだ残ってるってことか、これは確認できるヤツだから怒らないでやるか。ってネックレスの痕に、覚えている、を使うとかオシャレだな。貴方のために無理して長時間、慣れないネックレスをしていたとかかな。金属アレルギーかもしれないな、おいっ!】
胸が脈の速さを覚えている。
【何した?貴方という存在に何をしたら脈が速くなる?恋だけでなるか?もう、いやらしいことしないと、脈なんてはやくなんないでしょ?、いい感じになったってことか?、いい雰囲気になったってことか?、それだけで、そうなったってことか】
心が濃い出来事を覚えている。
【ついに、身体の部位以外が来たか。ついに来たか。濃い出来事って、具体性に欠けるな。濃厚な夜ってことで、いいのかな。エロチックな想像をしちゃっても、いいのかな。エロチックな想像をしちゃっても、いいんだな。あと、覚えている場所はどこがあるかな】
胃が満足感を覚えている。
【内臓かい。今度は、内臓が覚えているんかい。何を食べたんだ。貴方という名の男性の、手料理でも食べたな。そうとうずっしり来るような、男飯だな。肉とか肉とか、肉とか肉とか肉とかだな。内臓かい。内臓なんかい】
体がソファの沈み方を覚えている。
【ソファに長時間、座り続けたんか。それは隣り合わせで、手を握りながら、長時間、テレビとか観てたってことか。でも待てよ。何回も立ったり座ったりしないと、沈み方は覚えられないよな。1回だけじゃなく、5回から6回は沈まないとだよな。そのくらい、沈んだだろうか。そうなんだろうか】
服がいくつもの折れ目を覚えている。
【視覚的に、服に折れ目ついてるなってことか。体感ではないってことか。間接的ってことか。今までと違う形で出てきたな。貴方と共にした行動で、新たに生まれた折れ目ってことかい。覚えているかもしれないけど、少し分かりにくいな】
胴が密着具合を覚えている。
【胴って、普段使わなくない?胴が痒いなとか、胴が疲れちゃってとか、言わなくない?、胴長いね?なら使うけども。密着具合とかいう言葉も、普段は使わなくない?密着と具合は、単体ならよく使うけどね。合体するなよ】
骨が衝撃を覚えている。
【骨がじんじんするってこと?それはもう折れてるんじゃない。衝撃とか言っちゃってるけど、物理的なヤツは何パーセントなの?ほぼ脳内で感じる衝撃ってことだよな?精神的なヤツのパーセントの方が高めだよな】
血が興奮を覚えている。
【血が落ち着いてくれないってことか?血の動きが活発になっていることを、感覚で理解しているということか。そんなんあるか!たぶん血は興奮を覚えないよ。血に行ったら、次はどこ行くんだ】
肌が汗の流れた道を覚えている。
【肌かい!肌かい!肌かい!肌かい!肌かい!肌かい!汗かい!汗かい!汗が流れた道とか、カッコいいな!道って言葉を、実際の道路以外で使えるのってカッコいいな、この先の未来の道で、こういうの使いたいなコラッ!】
肩が布の素材を覚えている。
【なんで、肩だけなんだよ。他も覚えてろよ。肩に何があったんだよ。肩を服の上から触られたのか?まあ、重い服だったら、肩にのし掛かるかもしれないけども。そうなってしまうかも、しれないけども。素材って、綿100%だろう、とかも分かるんか?】
鞄が贈り物の重さを覚えている。
【ついにカバンが来たんかい!鞄が擬人化されてるな。100グラム誤差ぐらいで、覚えてるのかな。重さを正確な単位で覚えてるってことだよな。そう捉えてもいいんだよな。それを考慮して、この言葉を選んだんだよな?プレゼントを貰ったんだね。うらやましい】
腕がブランケットの凹凸を覚えている。
【ただの寝痕だな。寝たときに付く、あのたまに美しい線のつらなりになるヤツね。普段は、あまり良いものと捉えたことはないけどね。改めてこの流れで見ていった時に、味わいが変わるよね。なんか、いい感じになるよね】
肘が床の冷淡さを覚えている。
【冷淡さって。そんな言葉使わなくても、伝えられるだろ。それに、肘しか出てなかったんかい!肘が覚えているなら、腕も覚えているやろがい!っていうか、フローリングに肘付くって、どういう状況だよ。絨毯がない場所で、寝転んだのか?】
手が湿り気を覚えている。
【普段は、どちらかというと乾燥しているんだな?、乾燥していないと、あの時と今の湿り気の区別の、証明が難しくなるぞ。同じ湿り気なのに、あの時の湿り気と今の湿り気は違うんです、なんて通じないぞ】
指がドアノブの丸さを覚えている。
【指だけじゃないだろう!手のひらがあって、初めてドアノブの丸さに気が付くんだろ!、ってどこもドアノブの丸さは同じくらいだろう。そのときの印象が残っているから、色んなものが、身体に滲んでいる、みたいなことですか。そうですか】
爪が皮膚の潤いを覚えている。
【もう想像が疲れる域まで来ましたね。爪で感じられる、皮膚の潤いってなんだ?爪って、外側に付いているけど、皮膚に触れること、そんなにないよな。それに、指のひらに比べて、感覚がかなり薄くないか?、そんなんで、潤いなんて感じられるかっ!無理だわ!】
膝が曲げ伸ばしの動作を覚えている。
【どういうこと?座ったり立ったりをかなりしたってこと?、落ち着かなくて、立ったり座ったりしちゃったってこと?それとも、なんか二人でストレッチ的なことをすることになって、スクワットを何回もやったってこと?そういうこと?、それとも、愛し合うための準備運動か?】
脚が歩いてきた道のりを覚えている。
【これは、何となく分かる気がするよ。脚の疲れ具合とかね、動かした脚の数とかでね、うん。何となく分かる気がするよ。って今まで、どんなツッコミしてきたか忘れたわ。ツッコミしてきた道のりを忘れたんかい自分!、ツッコミしてきた道のりを忘れたんかい自分!】
靴が接した砂粒を覚えている。
【覚えてるか!砂の粒が何個あると思ってるんだ!感触とかは、肌でないと分からんわ!何粒くらい靴に砂粒が付いたか、それが分かるんなら文句は言わないけどな。覚えてるわけあるか!どちらかといえば、足の体温とかを覚えとけ】
魂が帰る方向を覚えている。
【それは分かる。何も考えなくても帰れる時あるから。魂というか、本能というか、毎日繰り返していることって、意識しなくても、そつなくこなせるんだよね。泥酔で帰れる人は、魂で帰ってるんだよな。そうなんだよな】
脳が貴方の名前を覚えていない。
【いやっ、覚えていないんかいっ!それとも、聞かなかったんかい!それか、名乗って来なかったんかい!偽名を使われたり、変なアダ名を名乗られたり、そんなのはあるけど、それも無かったんかい!まあ、大オチとして、バチンと決まったな】