ニゲラ④
大切な人たちを守るため、聖女を止めることを決意したルリは、魔法師リオンと共に発明家のアイルに協力を仰ぎに町を訪れた。
アイルの協力を得たルリたちは、同日に行われる町の祭りに参加することに。
しかし、偶然にも自らを追っている王家の刺客とリオンが密会しているところを見てしまうルリ。
何とか平静を保とうとするも、リオンへの疑惑がぬぐい切れず…
「そしたらさ、マシーンからすごい煙が出ちゃって…」
「へえ…」
買ってきたお菓子をほおばりながら話し続けるアイルに相槌を打ちながらも、私は脳内で路地裏のリオンと追手達との会話を何度も再生していた。
『彼らの調査方法では効率的ではないと判断したので、自分なりに調査をしたまでです。』
『対象は何度かこの町を訪れているようです。足取りを追えば、隠れ場所が見つかるかと。現在聞き込みを行っています。』
リオンが放った一言一言を、繰り返し思い出す。
彼が仲間である確かな根拠を見つけて安心したかった。
…あるいは、彼に対して今すぐに決断を下せる決定的な証拠を掴みたかったのかもしれない。
(あの時、無理にでも追手達の後を追えばよかった…いやでも、今はリオンが信頼できるかどうか見極める方が先。)
「あ、ルリ、ルリ!始まったよ!」
不意に立ち上がったアイルに驚いで顔を上げると、暗くなった町の反対側から、まばゆい光が放たれていた。
気付けば、通りには中央を開けるようにして多くの人だかりができていた。
「町のあっち側からパレードが始まるんだよ。ここに来るのはあと数十分後くらいかな。」
アイルは屋根の上に器用に立ちながら、光の方を指さした。
「綺麗でしょ!」
「そうだね…でもすごくまぶしそう。」
「近くで見るとそんなこと感じなくなるくらい綺麗なんだよー。」
「へえ…」
答えになってるのかなっていないのかわからないようなアイルの言葉に、私は適当に頷いた。
「それでね、パレードが終わったら、広場でみんなでダンスを踊るんだよ!」
「へえ、それは楽しそうだね。」
「ルリとリオンも行くでしょ?三人で行こうよ!」
「えっ」
思わぬ提案にアイルを見上げると、これ以上ないくらいキラキラした目をしていた。
「い、いやそれは無理だよ…あまり目立っちゃいけないし…」
(本音を言うと、ダンスに参加したくないだけなのだけど。)
「え~変装してるから大丈夫だよ。さっきも買い物できてたんだから。」
これ以上ない正論を言われ、ぐうの音もでなくなる。
「で、でも…ねえ?」
話しかけてすぐ、「しまった」と心の中で思う。
助け舟を求めて、ついいつものようにリオンに話題を振ってしまった。
しかし、リオンは心ここにあらずといった様子で、険しい顔で遠くを凝視していた。
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