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アンズ②

「…ん?」


きょろきょろと周りを見ていると、フッと気になるものが目に映った。


(あれって…?)


視界の端に入ってきたのは、ケープの間から覗く、見覚えのある紋章が刺繍された、王家の制服だった。


その制服を身に着けた人物は、路地裏の陰に隠れながらじっとしていた。


(王家の関係者?こんな所になんで…まだ私のこと探してるの?)


頭の中をぐるぐると考えが飛び交う。


「ルリ?どうしたの?」


急に立ち止まった私の顔をアイルが覗き込んだ。


「ご、ごめんアイル。ちょっと先帰ってて。」


持っていた紙袋をアイルに押し付けると、私は路地裏とは反対側へと小走りで向かった。


(何か嫌な感じがする気がする。念のためにも確認しておかないと。)


屋台の裏に身を滑らせ、そこから路地裏の方を伺った。


(…誰か待ってる?)


路地裏の人物は暗闇から顔を覗かせ、小さく顔を動かし辺りを伺っているようだった。


(よかった。私に気付いているわけではなさそう。)


どうやらこちらを監視している、ということではないようだ。


安心していると、路地裏の奥からもう一人ケープをまとった人物が出てきた。その人物は先ほどから辺りを見渡していた人物に何やら声をかけると、二人とも路地裏の奥へと入っていった。


(なんだろう?)


私もついていこうと立ち上がり、気配を消すために自分の周りに幾重もの結界を張った。


(これならだれも気付かないはず。)


屋台の裏から出て、通りを行きかう人々の合間を縫って反対側の路地裏へと向かった。


(静かに静かに)


足音を立てない様気を付けながら、二人の後を追っていると、不意に二人が立ち止まった。


「誰にもつけられていないだろうな?」


かすれた男性の声がささやくように言った。


「…今のところは。先ほどは誰かの視線を感じていましたが。今はないようです。」


もう一人は女性の声で同じように囁いた。


(マズイ。さっき見てたのがバレてる。結界をたくさん張っていなかったら気付かれてたとこだった。)


念のため、と何重にも姿を消す結界を張っていたことが功を奏したようだ。


しかし、このまま尾行を続ければ、気付かれてしまう可能性もある。


(直接付いていくよりも…)


私は手を包むように合わせ、声に出さずに呪文を念じた。


そっと手を開くと、手の上に小さなネズミが乗っていた。


(私の代わりに、お願いね。)


手の上から地面に下ろすと、ネズミは二人の近くにすっと走っていった。



お読みいただきありがとうございます。

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