アンズ
「おおお!おいしそう~!」
色とりどりのランプに照らされる祭りの中、私は沢山のおいしそうな屋台飯の虜になっていた。
屋台には、たっぷりとタレをまといつやつやと光る海鮮や、こんがりと焼き目のついた焼き飯など、見るからにおいしそうな食べ物がずらりと並べられていた。
「焼きトウモロコシにサンドイッチに…ああ、クレープも捨てがたいなぁ。あ、これも追加でください!」
「ちょっとルリ~…これ以上もう持てないってー」
ルンルンで買い物をする私の後ろを、買った食べ物を両手に抱えたアイルがフラフラと付いてきた。
「ごめんごめん!もうこれで最後だから。…あ、まってあそこのもおいしそう~!」
「えぇ…まだ買うの…?」
キラキラと照明に反射する砂糖菓子に目を奪われた私は、売っている屋台に吸い寄せられるように歩いて行った。
「わあ、綺麗…!」
近づいてみると、お菓子の周りにまぶされた砂糖の細かさがより際立って見えた。
「おひとついかがです?甘くておいしいですよ。」
店員さんが「試してみますか?」と渡してくれたお菓子を食べてみると、砂糖のカラカラとした触感の奥にしっとりとしたケーキが現れ、蜂蜜のほのかな香りがふわりと広がった。
「おお、おいしい!」
「おいしいよねー。このお菓子はこの街の名物なんだよ。」
甘そうな見た目に反した上品な味に目を輝かせる私に、同じく試食をもらったアイルが教えてくれた。
「そうなんだ。こんなおいしいのが名物だなんて羨ましいな。」
「名物っていっても、お祭りの時くらいしか売られないんだ。だから街の人たちにとっても、特別な食べ物なんだ。」
(なるほどね…日本でいうところの和三盆みたいな感じかな。)
「じゃあこれも買っていこうか。リオンも食べたいだろうし!」
「え!また!?」
「ホントにこれで終わりだからー。これ3つください。」
「ありがとうございます。」
私がお金を払い、アイルが商品を入れた紙袋を受け取った。
「付き合ってくれてありがとね。リオンが来てくれてたらもっと買えたのにな。」
リオンは「人ごみは嫌いなんだ」と言って、質屋に残っている。
「さすがにこれ以上は多いって…。」
口を尖らせる私に、両手にどっさりと買ったものを抱えたアイルがあきれたように呟いた。
「わ、分かってるよ。」
とは言いつつも、ついつい両脇の屋台に目がいってしまう。
(うーん。どれもおいしそうなんだけどな。)
「…ん?」
きょろきょろと周りを見ていると、フッと気になるものが目に映った。
(あれって…?)
お読みいただきありがとうございます。
アンズ:疑惑




