サネカズラ②
「実は…」
私はかいつまみながらも、今までのことを話した。
アイルは静かに聞いていたが、逆にそれが不安だった。
(やっぱり、怒ってるかな…。)
私の嘘のせいで、交渉は決裂してしまったのだろうかと心配になる。
「フロー…いや、ルリ。」
話し終わってしばらく、アイルが口を開いた。
私は緊張の面持ちで次の言葉を待った。
「ひどいよ…」
そう呟くアイルは、泣きそうな顔をしていた。
信頼していた人にこんなに嘘をつかれていたら、私だって怒りたくなる。
(言い訳もできない…)
どんな言葉も甘んじて受けようと覚悟したとき、アイルがガバッと泣きついてきた。
「うわああ~ん!!ルリ~!大変だったんだねぇぇ!」
まるで自分が体験したかのように悲しむアイルに、あっけに取られてしまう。
「あ、ありがと…。嘘ついてごめんね。」
「こんな大変な思いしてきたんだから、それくらいいいよぉ。」
おいおいと泣くアイルをなだめようとあたふたする私は、リオンに助けを求めるも、当の本人は話に飽きていたのか、店の商品を眺めていた。
(まったく…)
「アイル、泣かないで。確かにつらいこともあったけど、今は楽しいから、ね?」
ハンカチを出してアイルに渡す。
「うぅ…そっか。ならよかった。」
涙を拭いて、安心したように笑うアイル。
優しい子だな、と心がほっこりしていると、
「おい、もう話し終わったのか?」
と、商品を一通り見終わったリオンがこちらへ来た。
そう言えば、肝心の本題に触れていない。
「あ、まだだった。」
そう言うと、リオンはあきれ顔で首を振った。
「本題って?」
まだ泣きそうな顔のアイルは、ハンカチを握りしめたまま聞いた。
「こいつをお前の家族にしてほしいんだ。」
そう言って私を指さすリオンに、私もアイルも仰天する。
「ちょ、ちょっとリオン!そんな直球に…」
(慎重にいこうって言ってたくせに!)
「なんだ。さっきのような茶番をまた始める気か?もうこちらの素性も知れているのだから構わないだろう。」
ツンと澄まして言うリオン。
「いや、そうだけどさ…」
後ろを振り返ると、アイルは顔を真っ赤にして口をパクパクさせていた。
「え、ぇええぇえ!?ぼ、僕の家族に!?そ、それってつまり、け、結…」
「あ、違う違う!そうじゃなくて…」
「そ、そんな急に言われても!!いや、嬉しいよ!?嬉しいけども!」
「ア、アイル?聞いてる?」
呼びかけるも、アイルは全く聞いていないようだ。
「えぇでも僕たちまだ出会ったばっかりだしまだ子供だし!?もっとちゃんと色々話し合ってからの方が。いや、君が嫌いとかじゃなくてね?」
真っ赤になって騒ぐアイルのパニックぶりに気圧されてしまう。
そうしているうちにも、アイルの中でどんどん話が進んでいく。
「うわああどうしよう!どうすればいいんだ…!」
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