サネカズラ
店の中は相変わらずごちゃごちゃしていた。
そして、初めて来た時と同じ、騒がしい機械音も鳴り響いていた。
「アイルー!いるのー?」
とりあえず大声で叫ぶが、答える声はない。
となると、いる場所は一つだ。
店の奥へと進むと、依然来た時も見たことのある機械の下から、2本の足が出ていた。
「アイル!」
返事はない。
「アイル!!」
めいっぱい叫ぶと、機械の下からゴンッと鈍い音が聞こえ、「イッタ~」頭をさすりながらアイルが顔を出した。
「イテテ…ん、あれ?あぁ!!」
私の顔を見たアイルは、素っ頓狂な声を上げた。
「フロー!来てくれたんだね!」
嬉しそうに顔を輝かせるアイルに、私はしまったと思った。
(そうだった…私まえに来た時、フローの名前使ってたんだった…。)
「また来てくれたなんて嬉しいなあ!何か買い物?」
「え、あぁ、いや~…」
どう説明しようと迷う私の手を引っ張り、アイルは店の奥から出た。
「面白いものを入荷したんだよ~って、あれ?」
アイルは店の中にいるリオンを見て立ち止まり、そしてパッと顔を輝かせた。
「お客さんだ!え、え~と、いらっしゃいませ!!」
リオンに向かって頭を下げる頭を下げるアイル。
「あ、違うの。あの人私の連れのリオンっていうの。リオン、この子がアイル。」
リオンとアイルの間に入り、互いを紹介する。
「え、フローのお友達?」
顔を上げたアイルがそう聞いた。
その瞬間、リオンがにらみつけてきた。
(どういうことだ。お前、こいつに嘘の名前を教えていたのか。)
(いやあだって、あの時は人間不信だったというか…。)
「?」
目で会話する私とリオンを、アイルが交互に見る。
「どうしたの?」
「え、え~っとね、実は私フローじゃなくて、ルリっていうの。」
気まずそうに言うも、アイルはさほど気にしていないように、
「そうなんだ~まあ、貴族のご令嬢ならしょうがないよね。」
(お前…一体いくつ嘘をついたんだ。)
リオンの視線が痛い。
(仕方なかったんだよ~)
突き刺すようなリオンの視線から顔を背け、私はぎこちない笑みをアイルに向けた。
「えと、…それも違くって…。」
言い出しづらくしている私を見て、リオンはやれやれとため息をついた。
「実は…」
私はかいつまみながらも、今までのことを話した。
アイルは静かに聞いていたが、逆にそれが不安だった。
(やっぱり、怒ってるかな…。)
私の嘘のせいで、交渉は決裂してしまったのだろうかと心配になる。
「フロー…いや、ルリ。」
話し終わってしばらく、アイルが口を開いた。
私は緊張の面持ちで次の言葉を待った。
「ひどいよ…」
そう呟くアイルは、泣きそうな顔をしていた。
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サネカズラ:再会・好機をつかむ




