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ルドベキア

「それで、犬たちから蛇さんが助けてくれたんだ。」


私はそう言って、持ってきたサンドイッチをほおばった。


あの後、リオンの魔力は完全に元に戻り、体の調子もよくなったようだ。


今は草の上に座って、夕食を取っている。


「城の兵士たちも言っていた。すごい取り乱しようだったと。」


「やっぱり蛇さんは強いんだねー。」


横を向くと、私があげた毛布からぴょこっと白蛇が顔を出した。


プレゼントにと持ってきた毛布を白蛇はとても気に入ってくれたらしく、渡してから

ずっと毛布にくるまっており、その様子はちょっとした山のようだった。


(喜んでくれてよかったー。)


私は満足した気持ちで前を向くと、ちらっとリオンを盗み見た。


魔力は戻ったが、リオンは髪や目の色を変えていない。


(まだ魔力が足りないのかな?)


今はまだ暗いため、日が出てから変えるのだろうか。


(まあ確かに、変装すると魔力使うし、疲れるもんね。)


そう思い、サンドイッチを再びかじる。


以前作っておいた魚を干していたものを、軽くフライパンで焼いて、マヨネーズとマスタードで和えた簡単なものだが、魚の塩気がマスタードのピリ辛にあっていておい

しい。


(ヤバい…これはおいしすぎる。)


町で買ったレシピ本に書いてあったものだが、正直おいしいかは半信半疑だった。


(だってなんか、干物って合わなさそうだったし…。)


こんなにおいしいのならもっと早く作ればよかったと、一人で悔やんでいると、


「やはりこれは美味だな。村の人たちに教えてもらったのだろう?」


と、サンドイッチをほおばりながらリオンが言った。


「え、これ村のレシピなの?」


「ククル村は近くに川がないからな。魚は買うしかない。」


「そっか、だから干してあるんだね。」


リオンの説明に私は頷いた。


たしかに、村で出てくる魚料理は大体が干し魚だった。


ククル村のような小さな村では、遠くから魚を持ってくるための氷魔石など手に入らないのだろう。


「魚とかは町から買ってくるってこと?」


「ああ。川や海の近くは王都や街が独占しているからな。」


そう言われてみれば、王都には白から見えるほど大きな運河が流れていたし、以前に訪れた町も川が近くにあった。


一定の富裕層ばかりが水源を確保し、貧困層は空いている土地へと追いやられたとい

うことか。


「国は川を引いてくるとかはしないの?」


「村に井戸があっただろう?あれで十分とのことだ。」


「そんな。ちょっとひどすぎない?」


私は憤って言った。


水源が井戸しかないせいで、村の人たちの生活は色々と制限されているはずだ。


「水がたくさんあれば、もっと農作だって発展するし、そうしたら村だってもっと豊かになるのに。」


トウモロコシや小麦といった、あまり水を必要としない作物だけでは、生活は豊かにならない。


それに雨の多いこの国では、穀物を育てるにはあまりにも向いていないのだ。


(でも野菜を育てるには土が合わないし…最悪の条件しかそろってないじゃん。)


そのため村の予算は、ほとんどが雨から穀物を守るために使われている。


「…権力保持のためだ。」


「え?」


リオンは小さく呟いた。


「お前の言う通り、川を引けば村はもっと豊かになる。国の力をもってすれば造作もないことだろう。」


「じゃあなんで…。」


「だから言っただろう。権力保持のためだ。」


リオンはため息をついた。


(どういうこと?)


私はしばらくの間考え込んだ。


(川を引かない理由…村が豊かにならないようにワザとしてるってことだよね。村が豊かになると困る…権力保持…。)






お読みいただきありがとうございます。


ルドベキア:正義・立派・公正・あなたを見つめる


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