ベンジャミン④
リオンはしぶしぶ枝を受け取ると、黄色い実を一粒とって口に入れた。
「どう?」
「…特に何も感じないな。」
実を飲み込んだリオンは首を振った。
「そうなの?木から離れると魔力も消えちゃうのかな。」
しばしの間、魔術書をぱらぱらとめくって突破口を探してみる。
「うーん、特に解決策はないなぁ…。」
困って顔を上げると、こちらを時と見つめる大蛇と目が合った。
(ん?)
首をかしげると、大蛇はチロリと舌を出した。
(私?)
自分を指さすと、こくりと頷いた。
(私が何かしないとってこと?)
「でも、できることなんて―」
私は自分の両手を見つめた。
(私にできること…。)
きっと、私にしかできないことに違いない。
私だけの特徴を、考えてみる。
(えっと、魔術書を持っていて、異世界から来た。それで、国から追われている。)
(―魔女だ。)
今思い浮かぶことは、一つしかない。
「ねえ、私の魔力を込めてみるのはどう?」
蛇がするりとどぐろを解いた。
「もしかすると、私が魔女ってことに何か関係があるのかもしれない。うまくいくかもよ。」
リオンは一瞬いぶかしげな表情を見せた。
(やっぱり、「魔女」の魔力は嫌なのかな…。)
しかし、リオンは
「ああ。」
と言って枝を差し出した。
私はそれを受け取ると、両手で持って目を閉じた。
(集中して…。)
手の平に、枝のすべすべとした感触が伝わってきた。
(本当だ。魔力がない。)
まるで枝の中に空洞があるようだ。
その空洞に、自分の魔力を行き渡らせるように集中する。
「できた!」
魔力を込め終えた私は、目を開いた。
なんだかさっきより枝がずっしりしているように感じる。
枝を返すと、リオンは先ほどの様に実を一粒食べた。
「どう?」
リオンは驚いたように目を開いた。
「魔力が…戻ってきている。」
「まじ!?」
本当だ。
かすかだが、リオンから魔力を感じる。
「やったー!よかったー!」
私は思わず立ち上がった。
「じゃあ、たくさん食べて!」
「人によって魔力量は決まっているからそれは無理だ。」
「そっか!」
リオンの冷静な突込みも気にしないほど、私は嬉しかった。
(私の魔力が役に立った!)
浅はかかもしれないが、まるで自分が魔女ではないと証明されたように感じた。
「蛇さんもありがとう!あなたのおかげだよ!」
私は白蛇に抱き着いた。
「お、おい。」
リオンが慌てたように言ったが、白蛇は嬉しそうに目を細め、その顔を近づけた。
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