フジ②
本に目を通しながら、私はリオンについて考えていた。
相手に有無を言わせないような、妙に大人びた話し口調。
(貴族の生まれ…?いやでも、それならすぐに私を捕らえてたはず。)
魔力もそこらへんとは段違いに強い。
それに、いくらでも私を捕まえるチャンスはあっただろう。
(う~ん何だろう…。わかんないな…。)
考えれば考えるほど合点がいかない。
直接本人に聞くわけにもいかないだろう。
(とりあえず今わかっていることは、城の魔法使いだってことだけか。あと、誰にも言っていない秘密があることも。)
今朝、リオンの姿が変わったことを思い出す。
確かに見た目で差別されるのは日本でも、この世界でも同じことのため、彼が見た目を変えている理由はわかる。
現に私もこうして黒髪を隠している。
今朝の出来事には、何か引き金があったのだろうか。
今回のようにいきなり魔力が弱まったことと、何か関係があるのだろうか。
頭の中でグルグルと仮説を回していたが、暖炉の火がパチンと跳ねた音で私はハッと意識を戻された。
(あ、お夕飯の準備しないと。)
結局大してページの進まなかった本を置き、私はキッチンへ夕飯を取りに行くことにした。
夕飯を持って書斎へと向かうと、リオンはまだ書斎で本を探しているようだった。
(随分長い時間探してるな…。)
しかし、足元に積まれた本を見て、すでに何冊か読んだ後なのだと気付く。
(えぇ~。この短時間で?)
私なんて一冊どころか数ページも読んでないのに、とその速さに驚きつつ、集中の邪魔をしないようにそっと夕ご飯を机に置こうとすると、リオンがこちらに気付いた。
「…何をこそこそしている。」
不審げな視線を投げかけてくるリオンに、
「ただの気遣いです~。」
と思わず憎まれ口をたたく。
(まったく、人がせっかく親切にしたのに。)
私はツンとして食事を机に置いた。
(あ、持ってきちゃったけど、ダイニングで食べる予定だったかな。…まいっか。)
「食べ終わったら水に浸けておいて。」
それだけ言うと、私は書斎の扉を閉めた。
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