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ハーデンベルギア②

夢を見た。


昔の、子供のころの夢だ。


皆いる。


お父さんも、お母さんも、家族みんな揃っている。


みんな幸せそうに笑い、食卓を囲んでいる。



でもその中に、自分はいない。



お願いよ(いらない子)


皆が楽しそうに談笑する中、母親の口が動いた。


お願い(いらない)。」


行かないで(捨てちゃえば?)。」


頭の中で、母親と、もう一つ、聞き覚えのない声がこだまする。

その途端、目の前が暗転した。




お願い(いらないよ)行かないで(捨ててきて)。」








「!」


夢から逃げるように、無理やり目を開ける。


身体は緊張したように固くこわばり、汗でシャツがべったりと背中に張り付く。


頭がひどく痛い。


(…くそ。)


鈍く痛む頭を押さえると、包帯のようなものが手に触れた。


(なんだこれ。)


包帯など、巻いただろうか。


起き上がって見慣れない部屋を見回していると、すべてを思い出した。


(あの魔女!)


素早くベットから飛び降り、辺りを警戒する。


しくじった。

今のこの状況は、敵の手中にいるようなものだ。


音を立てないように気を付けながら、廊下を進む。




簡単だ。


あいつは魔女と言えど、魔力は自分の方が上だ。


すぐに捕まえて、城に引きずり渡せばいい。




辺りに漂う魔力を追っていくと、地下の部屋にたどり着いた。


(ここだ。)


間違いない。


ここだけ魔力が強い。


この部屋に魔女がいる。




ゆっくりと扉を開け、中をのぞく。


魔女は、何かを作っているようだった。


(なんだ…?)


攻撃する機会をうかがう。


この匂い、知っている。


(なんだったか…。)


そんなことを考えていると、オーブンから料理を取り出した魔女が、こちらを向いた。


手に取りだしたばかりの料理を取り出したまま、じっとこちらを見ている。


その顔は一瞬だけ恐怖の色が浮かんだように見えたが、すぐにそれも消えた。


「起きたんだ。」


魔女は言った。


「調子はどう?」


何も答えないでいると、魔女は料理を置いて、しばらくこちらに背を向けていた。


(今がチャンスか…?)


そう思い、一歩踏み込んだ。


「出ていって。」


振り向くことなく、魔女は言った。


肩を抑え、痛みに耐えるように肩をこわばらせている。


(あの傷は…)


魔女の腕に血がにじみ始める。


「お願い。」




「お願い」




そう頼む少女と、母親の姿が重なった。



お読みいただきありがとうございます。

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