ビナンカズラ③
「あれ~ルリ~?もうここにいたんだ~。」
「フロー!!」
私は思わず叫んでフローのもとに駆け寄り、思いっきり抱きついた。
「フロー…!会いたかったよー!」
フローは私の背中をポンポンと叩くと、
「私も。会いたかったよ。」
と嬉しそうに言った。
そうして私たちは、互いに再会を懐かしむかのようにぎゅっと抱きしめあった。
「フローも来てくれたんだね。すごくうれしい。」
「もちろんだよ~。全然音沙汰もないんだもんー。ずっと心配していたんだからー。」
フローは頬を膨らませると、すねたように言った。
「う、ご、ごめん…。」
「まあまあ、フロー。ルリも簡単には手紙なんか出せない状況だったんだ。」
メアリさんが諭すように優しく言った。
「わかってるよぉー。…でも、寂しかったんだもん…。」
フローは小さな声でそう言い、フイっとそっぽを向いた。
「フロー…。」
私は、泣きそうな顔になっているフローの手をそっと両手で握った。
「心配かけちゃってごめん。でも、会えて本当に嬉しかったよ。」
フローは、真剣なまなざしで手を握る私をちらりと見ると、
「うん。私もぉ。」
と言ってへにゃりと顔をほころばせた。
「やれやれ、まったく、素直じゃないんだから。」
腕を組んであきれたように言うメアリさん。
「メアリに言われたくないよぉ~。」
「メアリさんに言われたくないです。」
フローと私が同時に言い、周りから笑いが起こった。
「確かにそうだ!」
「違いねえや。」
「そ、そんなことないさ!」
ハハハハと皆の笑いが起こる中、顔を赤くして怒るメアリさん。
「ぷ、あははは!」
「こらぁ、ルリ!笑うんじゃないよ!」
「こらあ、おこるんじゃないよお~!」
怒るメアリさんの真似をする子供たちに、私はお腹を抱えて笑った。
フローも笑いながら涙をぬぐっている。
「こらー!!」
メアリさんが子供たちを追いかけ、子供たちはキャッキャと喜んで走り回った。
その様子に、再び笑いの渦が巻き起こる。
「まったく、メアリはしょうがないねえ。」
シエナさんが腰に手を当て、あきれた声を出したが、完全に笑いをこらえる顔をしていた。
「さあさルリ。あの子らは置いといて、宴を開こうじゃないか!」
シエナさんがそう言うと、部屋中から「ワアーー!」と歓声が起こり、あちらこちらから酒の入ったグラスが持ち上げられた。
その後、宴は夜まで続いた。
村のあちこちからお手製の料理が次々と運ばれ、初めはこの家だけだった会場も、今では村全体へと広がっていた。
村中で楽しげな音楽が鳴り響き、広場では老若男女が楽しそうに踊っていた。
「ルリ、これ食べてみて。」
「あら、こっちもおいしいわよ。」
私はと言うと、料理を持ってきてくれた奥様方に囲まれていた。
どれもこれもおいしそうなのだが、お腹がいっぱいでもう食べれなかった。
(だ、だれかー!)
断ろうにも断れず、助けを求めて辺りを見回すも、
「へえー、城ではそんなことが流行っているのね。」
「そうさ。こんどやり方を教えるよ。」
「私も知りたいー!」
メアリさんは友達と何やら楽しそうに話し込んでおり、
「ねえ、君、名前なんて言うの?」
「お城で働いてるって本当?」
フローは村の男子たちに囲まれていた。
(わ、さすがフローはモテるなあ…。)
しかし当の本人はふわふわと笑いながら、
「うん。ほんとだよー?なんでー?」
と、キョトンとした様子だ。
(あ、でも本人は気づいてないな。)
仕方なく助けを求めるのをあきらめた私は、
「これ全部、テイクアウトでお願いします!」
と叫び、無理やり会場を飛び出してしまった。
「…テイクアウトって何?」
後に残った人たちは、皆初めての言葉に首をかしげるばかりだった。
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