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リカステ

次の日、私は予定よりもずっと遅くに目を覚ました。


すっかり日も高くに昇り、朝というよりむしろ昼に近い時間だった。


殴られるような空腹で目覚めた私は、あまりにお腹が空いていたために服も着替えずに食べ物を探しにでかけた。


村で食べ物を分けてもらうわけにもいかないため、自分で食べるものを見つけなければいけない。


幸い、屋敷の周りには手つかずの自然が多い。

三十分ほどで何とか口に入りそうな食材を手に入れることができた。


といっても、私が見つけたのはすべて薬草だったが。




そして今、私は大きな問題に直面しているのだった。




「う~ん、どうしようか…。」


せっかくマイホームを見つけたのだからと台所に来てみたはいいものの、その台所はあまりに酷い有様だった。


半地下にあるせいかじめじめと埃っぽい台所では、もともと食べ物が置いてあったのだろう場所から、何種類ものキノコが生えていた。

それに加えこの獣臭さ。

どうやらここは、動物たちのたまり場だったようだ。


「うええええー。」


あまりの臭さに、私はたまらず台所を飛び出した。


荒れ果てたこの屋敷の中でも、キッチンが一番ひどい。

私もあの食器類を見なければ、家畜小屋と勘違いしていたところだ。


せっかくちゃんと料理されたものが食べれると楽しみに思っていたのに、あれだけ騒いでいた私の腹の虫は、臭いのせいですっかりおとなしくなってしまったようだ。


(やだなーやりたくないなー。)


しかしそうは言っていられない。

台所は私の生命線なのだから。


「…やるか。」


私は一度応接室に戻って魔術書を持つと、きれいな布で顔を覆って台所掃除へと向かった。


「えいっ」


扉の前につき、一度深呼吸をすると、私は思い切ってドアを開けた。


モアっと生暖かい空気が私を包む。


(ヒイイーーー。)


背筋にぞわっと鳥肌が立つが、我慢して奥へと進む。


(あった。)


天井近くには換気用のいくつかの窓があり、そのうちの一つが割れていた。

住みついていた動物たちは、ここから出入りしていたのだろう。


私は窓をすべて開け、室内の空気を外に排出できるようにした。


(その間に…。)


部屋の隅にある錆びついた裏口をほぼ強引にこじ開け、裏庭に通じるようにした私は、埃まみれの食器類を全部外へ運び出した。


そして空中に大きな水泡二、三個を作り出すと、食器を種類ごとに分類しながら、魔法で作った水泡に沈めた。

それからポケットにしまっていた小石くらいの木の実をいくつか取り出し、各水泡に五粒づつ放っていった。この実はつぶして洗剤として用いられる優れものだ。


「これでよしと。」


これで風の魔法をかければ、泡立つ水泡の中で勝手に食器が回ってくれる。

まさに全自動食洗器だ。


「我ながらナイスアイデア。」


ひとりで満足げにニヤニヤしながら、私はキッチンへと戻った。


換気をしたおかげか、部屋の空気は先ほどより随分マシになっていた。


(次は…これか。)


私は食糧庫を見上げた。


扉の隙間からは、中を開けるのが怖いほどの植物のツルや、色とりどりのキノコが顔を出していた。


(これ中どうなってるんだろ…。怖…。)


興味半分、怖さ半分で恐る恐る扉を開けてみると、中はまるで、ジャングルのようにいろいろな植物・キノコが生い茂っていた。


どこからこんなに生えてきたんだと呆れながら、私は食糧庫へと足を踏み入れた。


その都度薬草になりそうなものは取り除き、どうにかこうにか植物を取り払うと、広さが分かるくらいまでのスペースは確保できた。


途中、いい薬になるキノコを見つけたが、何かの死骸に生えていたので見ないふりをした。

お読みいただきありがとうございました。九月から通常生活が始まるため八月末までほぼ毎日投稿になります。よろしくお願いいたします。


リカステ:洗浄

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