シャクヤク③
石造りの廊下が続いていたが、案内に続いてしばらく歩いていると、中庭のような場所に出た。
「…今は授業中のはずなんだが」
中庭にいる何人かの生徒を見てリオンが呟いた。
生徒たちは私たちに気付くと、何やらひそひそと話し始めた。
生徒たちを横目に通り過ぎようとした時、突如一人が立ち上がって両手を大袈裟に振り上げる格好を取った。
「え、なn―」
驚く間もなく、私たちの真上にモクモクと黒雲が沸き上がり、ワッと雨が降りかかってきた。
「わ!」
慌てて身をかがめるが、想定したような水の感触は感じられない。
顔を上げると、私たち3人を取り囲むように透明な膜が張られていた。
リオンが魔法で守ってくれたのだ。
「まったく、お前も同じ魔法が使えるだろう。」
「あ、そうだった…」
あきれ顔のリオンに、私は顔を赤くしながら姿勢を元に戻した。
「びっくりした…これあの人たちがやったの?」
驚いたという割に、アイルはたいして気にしていないようだ。
生徒たちの方を見ると、私たちが想像していたような反応をしなかったためか、ポカンとした顔でこちらを見ていた。
「…行くぞ。」
リオンが軽く手を払うと、雨雲も私たちを守っていた透明な膜も消え去った。
「え、やり返さないの?」
(リオンなら一つや二つやり返しそうなのに。)
生徒たちには目もくれず、さっさと歩きだすリオンの後を私たちは慌てて追いかけた。
「あれはきっと貴族の生徒だ。関わると面倒なことになる。」
「それってどういう―」
「いいから、いくぞ。」
「早く行った方がいいよ。」
リオンとアイルに急かされ、私の疑問は解決することなく私たちは足早にその場を離れた。
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