ススキ②
幸い、村人が森の中まで追いかけてくることはなかった。
周りには結界を張っていたため心配はしていなかったが、こういった状況はいつまでたっても慣れないものだ。
しかし、あまりにも楽しそうに談笑する私たちを見て、合流したリオンたちは驚いて目を丸くしていた。
笑顔を見せるようになった女性の様子に、老人の緊張もある程度解けたようだ。
彼女は自ら「カーラ」と名乗り、私たちも正直に「ルリ」「リオン」と名乗った。
「カーラさん。素敵な名前ですね。」
「ありがとうございます。母と同じ名前なんです。」
カーラさんが嬉しそうに言う後ろで、老人は生前の妻を思い出したのか顔が少しほころんだ。
彼女の父親である老人は「クリス」と名乗った。
「あまり人がいる場では、我々の名前を呼ばないようにしてください。」
念のためにリオンが釘を刺した。
「ああ、わかった。」
クリスさんが頷くと、リオンは私の方を向いて
「今から向かう場所は少し遠い場所にある。私が二人を案内するから、お前はあいつと一緒に待っていろ。」
と言った。
「ん?あいつ?」
「アイルーロス。忘れたのか?」
「ああ、アイル!そうだった!」
私は慌てて町の方を向いた。
村では鎮火が終わったのか、町での祭りの音がこちらまで届いていた。
「お前な…」
あきれ果てるリオン。
別に忘れてたわけじゃなくて、と弁明する私を無視し、リオンは「早く行け」と顎をしゃくった。
「はいはい。アイルの所に戻っていればいいのね。」
「くれぐれも騒ぎを起こすんじゃないぞ。目立たないように。」
「わかってるって。」
(もう、私を何だと思ってるのよ。)
再び釘をさしてくるリオンにひらひらと手を振ると、私はカーラさんたちの方に向き直った。
「今回は色々とすみませんでした。気をつけてください。」
「そんな!こちらこそ、巻き込んでしまってごめんなさい…。私たち親子を救ってくれてありがとうございます。」
カーラさんと共にクリスさんも頭を下げた。
「じゃあ、お二人をよろしくね。」
私はリオンにそう言うと、アイルが待つ町へと急いだ。
お読みいただきありがとうございます。




