雷をもねじ伏せる力
「だが、それに見合うだけの代償はしっかり払ってもらおうか……。――《白雷》!!」
岸に打ち上げられて、逃げるための一歩も踏み出せないまま、純白の槍のような雷に貫かれるのを俺はただ待つことしかできなかった――。
「よく見ろ、《晦冥》!」
「――っ!」
間一髪のところで体を傾けて雷から免れる。確かにタテルの言ったようによく見た。いや、よく見えた。トリノイワクスの上で襲われた時とはまるで違う。俺の動きが良くなったのか? いや、そうじゃなく……
「《白雷》の速度が……急に落ちた……?」
「うぬぅ、我輩とした事が失態だ! これでは権能が振るえないではないか!」
「権能……? あっ、待て!」
何か不都合な事を悟ったらしいタケミカヅチは打って変わってトリノイワクスへとターゲットを変更する。
かなり賢いAIが作ったのか、意固地に俺を攻撃するといったような頑固な頭ではないようだ。
「ハハハハ! 小僧、貴様は後だ! まずはトリノイワクスを奪還するとしよう!」
「チッ! ヤツの攻撃は追尾型だ、あれは俺様でも手に余る! このままだとトリノイワクスを盾にして時間稼ぎしかできねえぞ!」
「じゃあ……私はせめて、少しでも多くの時間を……!」
迫るタケミカヅチを翻弄するようにトリノイワクスが空を駆ける。急降下、急カーブ、果ては一回転など、その巨体からは想像できないようなジェットコースターもかくやといった動きでタケミカヅチを翻弄する。
「ねえユウちゃん! 目が回るんだけど!?」
「なんとか、我慢してください……!」
ユウハの操るトリノイワクスは強引に雷を引き離そうとする。しかし、相手は雷。光の一種である事に変わりはない。ゲームとして成り立たせるために多少の手が加えられているとしても、光速と呼ぶだけの速さは健在だった。
「う……どうしても被弾してしまって……!」
神の船と言っても相手もまた神なのだ。性能だけで優位を保つ事は難しく、ところどころ煙を上げながらも必死に飛び回るトリノイワクスが目に入る。
「なんだ……?」
しかし妙だ。それはトリノイワクスと追従する雷のドッグファイトを見上げる形で観戦している俺だから分かった事かもしれない。
「……雷の速度が極端に遅くなる瞬間があるのか?」
角度をつけながら確実に迫る雷を観察すると、ある瞬間だけ失速しているように見える。それは俺にトドメを刺そうとして失敗した時と明らかに同じ現象だ。
「一定時間ごとに威力が減衰するとかか……?」
だが加速から失速までの時間を計ってみても、ばらつきが多くとても周期があるようには思えない。そうこうしている間にもトリノイワクスへの損傷は大きくなっていく一方だ。
「一度、大きく距離を取らないと……!」
逃げるように舵を切るユウハ。しかし雷の勢いは全く衰える事なく変わらない速度で猛追する。
「くぅっ……ダメ! 威力も全然落ちてないよ!」
《黄昏》の特権で各属性の雷に対処するツグミだがそちらも劣勢なのは変わらない。距離を置いても、時間差でもないのか……。その時だった。
「待って、今なら……はああっ!」
雷が弾かれ明後日の方向へと進路を逸らされる。今この瞬間、確かに雷が弱体化したのだ。
「よく見ろ……さっきと何が変わった何が違う……」
タケミカヅチの動き、トリノイワクスの動き、そして周囲を見渡してはたと気づく。
「「黒雲か!!」」
タテルと共に声を上げる。こいつもそう判断したのならこれはもう正解だと断定してもいい。
「ああ、トリノイワクスを雲の外へと退避させやがれ!」
「は、はい!」
確信を持ったタテルの言葉に押されてトリノイワクスは黒雲から脱出の一途を辿る。果たして俺やタテルの予想通り、黒雲の外側は目に見えて雷撃が薄くなる。
「む……気づいたか」
一度黒雲から距離を取り、俺を乗せて周囲を飛び回るトリノイワクスを目で追いながらそう漏らす。それを引き取り、やはりタテルが仕組みを暴く。
「ああ。お前のヤバい雷は、黒雲の中では特に凶悪になる。冷静に見ればなんてことないギミックだな」
「うむ、その通りである。だがそれがどうした? 黒雲の外より砲撃でもかますのか? その程度でこの我輩に傷をつけられるとでも思っているのか?」
赤黒い鎧を爛々と輝かせながらタケミカヅチは威嚇する。その言葉は挑発でも何でもなく、その通りの事実に過ぎない。
「チッ、そこだよな。雲の外まで追いかけてくるような頭じゃねえだろうしな」
「当然であろう。そして忘れてはおらぬか? 雷が届かずとも、我が刀は易々とその船体を狙えるという事を!」
湖に突き刺したままの巨大な柄を握りながらそう告げる。雷ほど神速の技ではないにしろ、長大なリーチがあるままで振り回されれば危険な事に変わりはない。さらにこちらは近づくこともできず、有効打もなし。不利な状況は頑として動かない。
「雲よりも高く上昇して攻撃してみようか?」
「先輩、雷がバンバン出ているって事は積乱雲、つまり縦に長く雲ができてるかもです。どれだけ上昇してもこっちが目標を捉えられないかも……」
見上げた雲はどこまでも伸びていき、宇宙空間まで伸びているのではないかとすら感じてしまう。少しくらいはあやかりたいと思うような上昇志向を見せつける雲を眺めてはいるが……。
「……上昇? 違う! それだ!」
突如として頭の中にある戦法が降りてくる。言語化するよりも早く計算やシミュレーションだけが先走り言葉がぶつ切りの断片的なものになってしまう。
「ツグミ! 《翼》は使えるよな!? あの雲の周囲を時計回りで高速で飛び回ってくれ!」
「うん、まあそれはできるけど時計回りってなんで? 何する気なの?」
「やってればすぐ分かる! とにかく急げ!」
それだけ伝えて《夜叉》を発動させる。いくつもの石板を空中に出現させ、さらに右手には《蝶舞剣》を携える。
「本体の相手は俺がやってやる!」
「心意気は買うが……先のように上手くいくとは思わぬことだッ!!」
タケミカヅチの周囲には黒白赤の線がいくつも伸びて、そのまま爆ぜる。爆風に雷撃と、その隙間を縫いながら新たに石板を作り出して接近、攻撃、離脱を繰り返す。
「こっちも適当にこのゲームやってるわけじゃないからな……!」
爆風を受けて距離を取っても見せる。そこに落とされる刀は巨大すぎるが故に紙一重で躱せばそのまま刀身に乗れてしまう。いざやってみると近接戦闘も不可能なほど理不尽には作られていないらしい。
「ふぬう……! 飛び回る羽虫の駆除もある。貴様は疾く失せるがよい!!」
ツグミを一瞥し、バキバキと体を鳴らしながら吠える。その異音の正体はすぐに分かった。
「阿修羅かよコイツ……!」
顔こそ増えはしなかったが腕は6本、弓やら斧やらを装備してそれはあらゆる戦況に対応できる鬼神の如く。
「貴様も数多の武器を持っておるのだろう! どちらが上手く扱えるか競おうではないか!!」
「……!」
斧や刀で逃げ道を制限され、逃げた先では槍や弓が俺を襲う。多少のダメージ覚悟で受けて即座にポーションを飲めば凌げなくはないものの、そのタイミングを合わせるだけの集中力がいつまで残っているかは分からない。
ゲームと二人三脚で過ごしてきた人生とは言っても驚異的なまでの集中力とかがあるわけではない。時には惰性さえも使ってきた俺には集中力をフルで使い続けるスーパープレイは難しい。
「っ、この……!」
「飽きもせずまたその小刀か。その程度、痛くもかゆくもないわあッ!!」
「!?」
どれだけ斬りつけてもクリティカルは入らずダメージも雀の涙。どれだけ動いても劣勢のようにしか見えないが……だが、これでいい。
「うおおっ!?」
カウンターを入れようとタケミカヅチが振り上げた刀がななめに振り下ろされる。しかしそれは自身の意思ではない。
「ぬおおおっ!?」
そのまま打ち付けられた刀を構え直そうとするも腕が自由に上がらない。上げられないのだ。ツグミの発生させた強力な下降気流によって。
「私、ただ飛んでただけなのに……何が起こってるの!?」
「ああ、そうか! 下降気流か! クク、アホな事を思いつくじゃねえか!!」
「でも面白いだろ! これならこいつをねじ伏せられる!」
中心から時計回りに風が吹き出せば下降気流が発生する。下降気流は読んで字のごとく上から下へと風を吹かせる。その風力が敵を押さえつける自然の牢獄を作り出せるとしたら。それが俺の考えた方法だ。
アホだろうとなんと言われようともGMも思いつかない方法ならば、いくら賢い賢い言われているAIであろうとそれを超える思考回路までは持っていないはず。
きっとタテルや他の開発者は可能な限りL&Dを現実に近くしようという信念のもと開発を進めていたはずだ。だから敵の思考回路も自身の思考回路も無意識のうちに現実に即したものになるのが普通だ。いや、それは開発側だけでなく、プレイヤー側も変わらないかもしれない。
しかし俺は違う考え、感覚を持っている。いくら現実のようなグラフィックを見せられようとも、パラメータ等の数値を隠されたとしてもこれはどこまでいってもゲーム、そのようにしか考えられない。
別に、所詮はゲームなのだと冷めた見方で者に構えているわけではない。現実と見間違えるほどの世界だが、現実ほど生きにくいわけじゃない。自分の行動を何もしなかったと卑屈に捉えるような日々が待っているわけではない。
ここなら思い切り自由に、自分の思う通りに動いたって誰も咎めない。咎められないならば怖くない。だからどこまでも大胆に行動できる。少なくともこの世界では。それはもしかすると特権を上回る強みかもしれないと思ったりもする。
「たかがこの程度……我輩にはそよ風にしか感じぬわああぁ!!!」
「……ッ、こいつ!」
「狙いを完全に私に切り替えたね……」
刀を湖底に深く刺し、そのまま踏ん張るように上体を起こす。頭はまだ湖を見つめたままだが、4つの腕は確実にツグミの位置を把握している。何をするか誰でも分かる。送風機の風が邪魔ならスイッチを切ってしまえばいいという発想だ。
「邪魔はさせないんですけど……!」
が、その腕を阻む物量が視界の端から文字通り飛んでくる。それはツグミを叩き落とそうとする腕を押さえ込み、そのまま船体をタケミカヅチの体にこすりつけるように移動する。
「今です、トリノイワクス……!」
その叫びにトリノイワクスは叫びで答えた。主砲斉射という叫びによって。船体側面がガリガリと削れる音といくつもの大砲とが合奏のように打ち響く。
「ぐおおっ! まさか、まさか……トリノイワクスをこのように使おうとは……!」
「何もしないで雷に撃ち落とされるのと、大破覚悟で肉弾戦を挑むのと……どちらがいいかは聞かなくても、分かりますよね……!」
「ならばお望み通り大破、いや、再起不能にまでしてくれるわ!」
タケミカヅチのいくつもの腕がまるで相撲を取るかのようにがっしりとトリノイワクスを掴み上げる。押し潰すのか投げ飛ばすのか、いくつも展開が予想されるがタケミカヅチの目論見通りには事は運ばせない。
「俺らの船をそんな事させるかっての! お前はこれで終わらせてやる!」
俺は握っていた《蝶舞剣》をタケミカヅチへと投げつける。トリノイワクスを握った腕をすり抜けてそれは胴体にまで飛んでいき、ダーツのように刺さったきり離れない。
「カカ、例の短剣ではないか。ダメージにはならぬと言ったはずだぞ! それとも毒か何かを塗ってそれで殺そうとでも考えたか?」
「いいや、どっちも違うな。いくらなんでもその剣だけでは倒せないのは俺でも分かるって。……まあ、王手までは持っていけるんだけどな」
「は――」
直後、タケミカヅチの台詞を遮る強風が発生する。それはツグミが起こした下降気流と即座に混ざり合い、勢力をどんどんと拡大していく。
「ユウハ、即座に離脱! 巻き込まれるなよ!」
一応言うものの、風が起きた時点で腕を振り払い一目散に飛び立つのを見ると不必要な言葉だったかもしれない。風に乗り、そのままツグミに抱きかかえられながら周囲を旋回しながらそんな事を考える。
「《蝶旋風》でタケミカヅチを止めるのを狙ってたんだね」
「それも当然あるけど、攻撃の狙いもあるんだよな。ダウンバーストって聞いた事ないか?」
ゲームの技でありそうな名前だが、現実に存在する自然現象の名前だ。強い下降気流が起こり、その風が地面に衝突する。地面に落ちた風は上にも下にも行き場がない。じゃあそのまま燻るのかというとそうでもない。誰も八方塞がりだとは言ってはいないのだ。上下以外の四方なら空いている。そこへ風は吹いていく。
「その強風がそこら中にもの凄い被害を出したりするらしい。それがダウンバースト」
「じゃあつまり……」
「とにかく上に飛んでくれ! 当たり判定的にまだ安全なはずだ!」
「私達も巻き込まれるかもしれないんだね……それはそれでぞくぞくしちゃうね! いくよ――《黄昏の翼》!」
瞬間移動を繰り返しながら嵐と、そしてタケミカヅチとの距離が離れていく。ずっとタケミカヅチの一点を攻撃し続けたうえでの《蝶旋風》だ。かなりの規模の嵐になるはず。その風は、あの巨体では絶対に受け流せない。
俺のちゃちなクリティカルよりもよほどのダメージが期待できる。それを裏付けるかのように、竜巻の向こう側から雄たけびが聞こえてくる。
「グオオオオ!! トリノイワクスでもなく、ましてや人でもなく! このような風が、風ごときが、この我輩をおおオオ!!」
「風ごとき、じゃないだろうな。風だから効くんだと思うぞ」
「風神と雷神が対をなすから弱点になってるって事? 流石にそれは突飛すぎる理屈じゃない?」
「対をなす《光》と《闇》が弱点になるなら他の要素でも同じだとは思えないか?」
仮に雷神タケミカヅチに弱点を作るとすれば、それは《光》でも《闇》でもないだろう。タケミカヅチに属性があるとすればそれは《雷》だ。人を超越した存在なら変わった属性の1つや2つ、持っていたっておかしくはない。
ならば《風》のような隠し属性だって存在はするかもしれない。タケミカヅチ以外には効かないかもしれないが対ボス戦の要素としてはあり得る話だろう。
そうこう言っている間に竜巻が大人しくなっていく。対となる雷神に一泡吹かせる事ができて満足したかのようにゆっくりと収まっていく。
「よもや我輩がここまでの無様を晒してしまうとは……」
甲冑のいたる部分は豪風とも呼ぶべきものによって凹み、削り取られ当初の荘厳な雰囲気を完全に失ってしまっている。兜も割られ、だらりと落ちた赤い長髪は落ち武者を連想させる。そんなレベルまでタケミカヅチは追い詰められたのだ。それでも膝を屈しないのはボスとしての矜持がそうさせるのか。
「しかしここを耐え抜いた以上、我輩の勝利は揺るがないものとなった……。再び風を起こそうとしてみよ、次は一瞬のうちに撃ち落としてみせようぞッッ!」
大損害を受けても未だ全身の雷は衰えてはいない様子を見せつけながら叫ぶ。確かに体を駆け巡る雷は健在だ。しかし神ともあろう者が大切な事を見落としている。
「それは難しいだろうな」
人差し指をピンと上空へ伸ばす。そこに広がるのは青い空。バカンスにはもってこいのような、そんな雲1つない青空がどこまでも広がっている。もちろん黒雲なんてものは存在しない。
「ば、ばかな!? 我が権能をどうした!? 貴様は何をしたというのだ!?」
「理科でちらっと習った程度だけどさ、下降気流って高気圧を作り出すらしいんだよな」
気圧は2種類存在する。低気圧と高気圧。天気が悪くなるのが低気圧で、反対に良くなるのが高気圧。雲のできやすさが関係しているとかそんな話があったのを曲がりなりにも俺は覚えていた。
「現実では下降気流が起きれば天気が良くなる。じゃあこっちで無理矢理下降気流を起こせば天気も良くなって雷雲とか消せるんじゃないかって思ったんだよな。ダウンバーストも狙ってたけど、こっちの方が本命だったんだよな」
雷雲があるせいで強化されるというのならそれを消してしまえば状況は一転する。そのための多少の無茶でもきっとこの世界なら許容してくれる。これまでの経験で得た確信があるからこそ実行できた作戦だった。
「おお……小癪な! 小癪な! ふざけおってぇぇ!」
自暴自棄のように、雷をろくに狙いもせずに辺りに散りばめていく。それが反撃のための策を計算するまでの時間稼ぎか、それとも乱心して暴れ出したのかは分からない。が、一連のギミックが破られた以上、序盤のような猛々しさも避けられない絶望感も感じられなかった。
「このままいくよ、アラタ!」
ポーションを飲みほしたツグミが急にスピードを上げて、流星のように雷をいなし、ぶれる事なくタケミカヅチへと迫る。
「飛んで!」
そのまま浮遊した体がさらに浮遊感を覚えた。ツグミに放り出され、さらに刀の鍔で斬り上げられたのだ。
「おのれ……! おのれッ……! 我輩はここまでだというか!?」
最後にひねり出すように飛ばした雷も、俺にもツグミにも当たる事はない。そのままターン性バトルのように俺達の攻撃へと移行する。
「まともな攻撃が全然できなかったからね! 最後くらいは全力でいくよ!」
「ぐ……ああ!! 力が、権能が、消えていく!!」
ツグミが華麗に飛び回り、6本全ての腕をすぱすぱと切り落とす。のを確認する頃には横一文字に無防備な胴体を斬り裂いているのが見えた。曲芸と実践が合わさったような美麗な剣捌き。
「これで……完全勝利だ!」
俺にはそんな離れ業は不可能だ。だから一撃に全魔力を集中させる。纏った爪の先にまで魔力を集中させていくイメージを強く持つ。爪を長く、対象を抉り取れるように。
そうだ、砕け。破砕寸前の鎧を完全に砕け。そのまま肉体にまで《闇》の刃を届かせろ。
「……ッ」
肩を引いて構えの姿勢を取る。丁度弓を引くような姿勢だ。そのまま限界までエネルギーを溜めるように引き絞る。
「は……ああああ!」
急降下しながら一息に貫く。ツグミがつけた傷跡にさらに追撃を与える。砕いて削って握り潰して。HPの1ドットまでも狩り取るように。
「グ……此度は我輩の敗北か……! ならば認めよう……。トリノイワクス、しばしの間貴様らに託すとしよう……!」
「……大切に使わせてもらうから」
交錯するその一瞬、そんな短い言葉だけを交わすものの振り返る事はしない。そして今、タケミカヅチはゆっくりと湖に沈んでいく。
船と雷を司る2柱の神が討伐された今、新たに神を名乗る闖入者はもう現れなかった。




