休んでいた日
私は休んでいた。
何も手につかなかったから、何もしなかった。
心休まるときはなかった。
見上げる空は低彩度の明暗で塗りつぶされている。
あの向こうに果たして蒼はあるのか。
幾重にも重なる灰がどこまでもあるのか。
開いた窓から飛沫が飛び込む。
不快ではないそれらを浴びて、世界を包む針を感じる。
耳を衝き肌を刺し私の根幹を揺さぶるのは低い鈍い音を伴う水の針。
私に入った皹を叩き虚を広げ凝った中身を浚おうとする。
連れていかれるわけにはいくまい。
ここにしか居場所のないそれらがここを出されてしまえば私は消えるしかない。
抗う気力がなければされるに任せておくしかないが
抗わねば私はより空疎となってしまうのだ。
それは嫌だから、私は他を疎かにして抗っていた。
休んでいた以外に、それを表現する言葉をわたしは持たない。