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豪運 突然金持ちになったんですけど、お金の使い方がよくわかりません。  作者: ノニジュース


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94 霧島、挨拶する。

長めです。


『もしもし?俺だけど。俺俺。』


『うちに詐欺師みたいな息子はいません。』


『ひとみちゃんと結婚しようとおもうんです。』


『あらぁ。』


『つきましては一回家に連れて行こうかなと。』


『いつでも大丈夫よ、今日でもいいくらい。』


『いや今日はいかんけど。』



そんなやりとりが実家とあきらの間であった後、ひとみはあきらの実家にサプライズでつれていかれることとなる。



「今日はちょっと遠出するよ。」


「どこいくの?」


「ちょっと遠目のいいところ。服装はなんでもいいけど、真面目そうな服装だといいかも。」


「真面目そうな…?

そりゃまた珍しい注文だね。」


「まぁまぁ気にせず気にせず。

好きな格好でいいよ。」


「???わかった。」


2人がレクサスに乗って数時間。

ひとみはドライブ気分で上機嫌だった。


「はい、次で高速降りまーす。」


「おー!ちなみに最終目的地はまだ教えてくれないんですか?」


「まだでーす!」


「ここまでくるともうどうにでもなれって思うね。」


「諦めの境地!」


しばらく車を走らせると。

「ねぇ、あきらくん!

すっごい広いお家があるよ!

日本庭園がすごい!

昔のお殿様の家かな?」


「 (うちの実家です※まだまだ増築中)

すごいなぁ!行ってみるか!」


「うん!」


さらに車を走らせて門のところに突き当たる。

「あれ?門から車入れるの?」

今日行くことを実家にメールしたところ家の駐車場の止め方が年始の頃と異なるため入場手順なるものが送られてきた。

そのため迷うようなことはなく、スムーズに駐車場に向かう


「そうみたいだよ?」


「あれあれ?もしかしてここ民家?」


なんとなく歴史資料館などとは違う雰囲気を感じ取ったのだろう。

普通、歴史資料館にフェラーリやらベンツ、アウディは止まっていない。


「そうだよ。降りる時横気をつけてね。」

あきらはベンツとフェラーリの間の空いたスペースに真っ白のレクサスをとめる。


「え?いいの?」


「うん、ここうちの実家だから。」


「!?」


「サプラァーイズ」


「ちょっともう勘弁してくださいよぉ〜」


「自然体でいて欲しかったからね。」


「いやいやいやいや!ねぇ!」


「だってさぁ、緊張して気合い入れて、ひとみ頑張りすぎて取り繕っちゃったら多分辛いでしょ。」


「うん、たぶん。でも頑張るよ!!」


「いや頑張って欲しくないのよ。」


「え?」


「ぐずぐずになる程甘えさせ倒したい。

もう俺なしでは生きられないくらいにもうぐずぐずになるくらい。」


「もうなってるよ…。」


赤面する2人。


「ま、まぁとにかくね!

自然体でいて欲しくて!」


「そ、そっかぁー!!」


「だから結婚の挨拶ということで。」


「いきなり現地でそれを聞くのは胃に悪いよね。」


「あと、近々にひとみの実家もいくからね。」


「結婚の挨拶に?」


「うん。煮るなり焼くなり好きにせぇよとは言われたけど、筋は通さんと。」


「なるほど。」


玄関扉を鍵で開ける。


「帰ったよーーー!!!!!」

どたどたどたという足音ととともに父母が出てくる。


「おぉ、ようこそひとみさん。ぜひ中へ。」


「よくきたわね。さぁさぁ中へ。」

両親も緊張しているのだろう。


「は、はひ!」

ひとみもガチガチだ。


たぶんあきらの部屋以外は生まれ育った時とは全く違う家というほど増改築が進められている。

道案内がなければリビングにもたどり着けない。

正に城のような実家となっていた。


あきらの部屋はもともと二階の端っこあった。

しかしなぜか今は二階の真ん中にある。

もともとは二階建てだったのだが、今は三階建てになっている。耐震性は大丈夫だろうか。

今は地階もできているらしい。

両親とも車の運転が好きなため車がさらに増えることも見越して、母屋とは違う場所に地下駐車場を作り地下室とつなげる計画もあるとのこと。



リビングで母がお茶を入れてくれ、父とひとみはなぜか正座。

自分だけはあぐらをかいている。


「粗茶ですが…。」


「いやこの度はうちの愚息と…。」


「いえいえとんでもない…。」


なんか難しそうな話がたくさん出ているので庭の木々を見つめることにする。



「そういえばあきら、式はどうするんだ。」


「一応卒業までにはあげようと思う。」


「じゃあ学生結婚になるのね。」

学生結婚という響きに隠しきれない目の輝きを放つ母。


「学生身分で結婚っていうのもどうかと思ったけど、よくよく考えたら一応(・・)働いてるし税金も納めてるしいいかなと。」


「まぁそうだな。お家再興も成りつつあるし。

何がどうなろうと問題ないだろうしな。」


「式は一応2人で決めていこうと思う。」


「よし、わかった。

2人は晩飯も食べていくだろ?」


「そのつもり。ひとみも大丈夫?」


「はい、お願いいたします。」


「あ、ひとみはお酒得意じゃないから。

アレルギーだからそこだけ。」


「すいません。飲んだらすぐ倒れるっていうわけでもないんですが、得意じゃなくて。コップ半分くらいなら大丈夫なんですが……。」


「大丈夫よ、ひとみちゃん。

うちは男衆は大酒飲みばっかりだけど女衆は飲まない人の方が多いから。

だからあきらも女性がお酒を飲むことに抵抗があるみたいでね。見慣れてないから。子供でしょ?」


思わぬところで流れ弾が飛んできて苦虫を噛み潰したような顔をするあきら。

「悪かったな、子供で。」


「よかった。私気を使われてるのかと思いました。私は飲まないけどほんとは一緒に飲んで欲しいのかなって。」


「そんなことあるわけないわ。この子わがままだから。」


「そうだよひとみちゃん。こいつに気を使う必要なんてこれっぽっちもないからな。

この実家でも気なんか使わないでくれよ?

ほんとの実家みたいにくつろいでくれてていいんだからな?」


「ありがとうございます。」


「よし、じゃあ今日は宴会だ!

母さん!集合かけてくれ!」


「もう続々集まってますよ。」


「気の早い連中だ…。」


どたどたと、玄関方向からたくさんの足音が聞こえる。


「おうあきら!結婚だって?」

「すげえ美人な嫁さんだ!」

「うちの嫁さんと交換しt…あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!」

「大丈夫か雄次ィ!!!!!」

「雄次が泡吹いてるぞぉ!!」


そこからは阿鼻叫喚だった。

霧島当主の結婚の報告なんて、昔でいう大名の輿入れみたいなものだ。


大騒ぎする男衆を冷ややかな目で見つめつつ、女衆はあきらのもとにやってきて根掘り葉掘り聞き倒す。

あきらも自重せず惚気倒す。

女衆は、さらに盛り上がる。


そうこうしているうちに我が家の料飲部長重弘おじさんが食材や酒を持ってきた。


「うちのエース料理人が伸びとるやんけ。

起きろ。」


重弘おじさんは台所でやかんに水を汲んできて

雄次にいさんにぶっかけた。


「…うぉっ!!!」


「ほら。起きろボケナス。当主の嫁さん来とるのに恥晒す気か。」


一見厳しい対応にも見えるが、重弘おじさんなりの優しさである。

まだ霧島家のことがよくわかっていないひとみに、雄次兄さんのわかりづらいボケは荷が重い。


「すんません。じゃあ料理作らしてもらいます。」


「あ、私手伝います!」


「じゃあひとみちゃんは私と。」

母ひろみがひとみとご飯を作ってくれるようだ。


「じゃあ俺は大皿料理作ろうかな。」

雄次兄さんはみんなで摘める大皿料理を作ってくれるらしい。


「じゃあ私たちもなんか適当に作りましょうか。」

他の女性陣も何かしら作ってくれるらしい。



あきらと他の男衆は暇になってしまったのでこれからの計画を話すことにした。


「父さん、式のことについてちょっと。」


「おう、どうした。」


「海外であげようと思うんだよね。」


「おぉそうか。じゃああの長い儀式はパスするか?」


「できんの?」


「俺もやってないからいいだろ別に。」


「やってないんかい。

いや、いいよ、式あげた後戻ってきた時にやるよ。」


「おう。わかった。で?どこであげるの?」


「南の島を買おうと。」


「……?は?」


「いや、買おうと思って。

計画はもう進んでる。」


「相手の親御さんは?」


「そんな面白そうな話に噛まないわけがないって。」


「そりゃうちも噛むけど。」


「結婚式に使った後はリゾートアイランドとして活用しようと思ってるから大丈夫。

元は取れると思うよ。噛む?」


「うん、噛まないと親としてねぇ。」


「了解。今回は島の開発から進めてるからだいぶ値段かかるけどいいよね。」


「まぁ御祝儀だな。

好きにやれ。元はお前が稼いだ金だ。」


「よっしゃ。じゃあ合弁企業設立するから。」


「なんか大掛かりになってきたなぁ。ちなみに誰が噛むんだ?」


「一応メンバーはこうなってる。」


〜〜〜〜〜

side父 幸隆


あきらから渡された紙を見て父は驚いた。


発起人は我が息子霧島あきら。

そして、出資者と合弁企業の役員がえらいことになっている。

結城の親分

結城幸長

日本の不動産王

中村義秀

九州財界のドン

清水賢(まさる)※清水の父です。


「おま、まさか、ひとみちゃんて。」


「うん、幸長さんの一人娘のひとみちゃん。」


「お前明日すぐ芦屋行くぞ。」


「え、なんで?」


「ちゃんと挨拶したんか?」


「結婚の報告はまだやけど、おつきあいの挨拶はしたよ。」


「じゃあどっちにしてもすぐ行かんとだめやな。

相手さんの都合聞いてすぐセッティングして。」


「わかった。」


私は結城家と親戚づきあいが始まるとは夢にも思っていなかった。

うちの爺さんは結城家とも繋がりがあったらしいがそれも戦前戦中の頃の話。

爺さんが戦死して、親父は頑張ったがうちは没落して付き合いも薄れていったらしいがまた復活するとは。


中村義秀なんていうのも昔からよく聞く名前だ。

ビル開発や宅地開発の日本最大手不動産デベロッパーをグループ企業に持つ都市開発グループの総帥。

結城の親分が可愛がってたらしく、親分は中村さんとこの大株主らしい。


清水なんて、清水王国の清水だ。

九州で清水と揉めたら生きていけないとかいう噂もある。

あくまでも噂に過ぎないが、清水家は九州を独立国家にしようとさしてるとか。


今日は眠れないかもしれない………。



〜〜〜〜〜〜〜〜


料理が完成したところでみんなが大広間に集まった。

美味しそうな料理が所狭しと並んでいる。

今は春なので、伊勢海老、アイナメ、あさり、カンパチ、鱚、金目鯛、鰹、車海老、蛸、ツブ貝、鱧、蛤などなどとても豪勢なことになっている。

野菜はよくわからん。

肉料理もなんかすごい。


あとはお祝いなので霧島家の定番。四斗樽。

樽に巻いてある菰には霧島家の家紋が書いてあり、最近特注で菰は作ってもらっているらしい。


しこたま飲み明かした。

三つ目の四斗樽が出てきたあたりまでは記憶があるが、そのあたりからもう意識はない。



起きると車の中だった。

ひとみの膝の上で横になっている。


「あきらくんおはよう。」


「え、ああ。おはよう。」


「あれ?え?なんで?

しかもちゃんとスーツ着てる。」


「朝起こしたら自分でちゃんとお風呂はいってスーツに着替えてたよ。」


「え?あ、そうか。」

なんとなくおぼろげながら記憶がある。

激しく痛む頭をこらえながら風呂に入り、スーツを着て、今日はひとみの実家に挨拶に行くことを伝えたのだった。

なお、その際に幸長さんとあやめさんにはすでに連絡していることもひとみに言うと、なぜか私の実家なのにあきらくんの方が可愛がられてる気がする、と釈然としない様子だったことまでは思い出した。


「で車乗った途端私の膝の上で寝始めたのよ。」


「あぁ。あ、これうちの車か。」

そう、今ひとみとあきらそして運転する母ひろみと助手席で寝ている父幸隆が乗る車はメルセデスベンツS65AMGロング。

4座席仕様ではなく、5人乗り仕様なため後部座席の二席を仕切るコンソールボックスは収納できる。そのためあきらは横になることができたのだ。


「もうすぐつくよ。」


「あぁほんとだ。」


「なんか緊張するな。」


「父さんいつの間に起きたん。」


「さっき。」


結城家での段取りはまず先にあきらがひとみのご両親に挨拶する。

その間両親は車で待機し、あきらが連絡してから顔合わせとなる。


紛争地帯のような検問をあきらは顔パスする。


「いや、あきらくんちょっと待って。

なんで顔パス効くの?私でさえ身分証の提示求められるんだけど?


ねえ、警備員さんも目をそらさないで?

いや解散しないで?

ねぇ!

仕事仕事!とかいいから!」


「ひとみ?しずかに。田舎者だと思われちゃうから。ね?」


「ここは私の実家の敷地内だぁ〜〜!!!!」


一行はつつがなく御殿に到着した。


「じゃあ俺たちは待ってるから。」


「了解」


「お義父様、お義母様、行ってまいります。」

ひとみがにこやかな笑顔で両親に告げる。

「「キュン」」

両親の胸が高鳴る音が聞こえた気がする。



勝手知ったる嫁の家という様子で幸長さんとあやめさんが待つリビングに向かう。

もはや家族的な扱いを受けているので大広間ではなくリビングに直行だ。


「あらあきらちゃんお帰り。」


「おうあきら、待ってたぞ。まぁ座れ。」


「義母さん義父さんただいま帰りました。」


「うちの旦那が私の実家に馴染み過ぎな感について。」


「今日は折り入ってお話が。」

あきらのただならぬ様子を見て2人はニヤッと笑った。


「聞こうか。」


「あきらちゃん聞かせてちょうだい。」


「この度は、ひとみさんと結婚のお許しを頂きたく参上いたしました。」


「ほう。」

「あらぁ。」


「どうかお許しをいただけないでしょうか。」

あきらは三つ指ついて頭を下げる。


こんな突然挨拶って始まるものなの!?と思いつつ、ひとみもあきらに倣って頭を下げる。


「まぁ今更だよな。あきらも週一か週二くらいでうち来てるし。」義父が言う。

「えっ。」

ひとみは初耳だったようだ。


「うちのフイユモルトも競馬に出るみたいだし。」義母が言う。

「えっえっ。」


「何より、うちの娘のことをそんなに想ってくれている男になんの文句があるだろうか。」


「いや無い。」

義母と義父のコンビネーションが炸裂した。


「ありがとうございます。」


「これからも末長く頼むよ。」


「はい。今日はうちの両親も呼んでいるんですが、あっていただいてもよろしいですか?」


「馬鹿野郎てめぇ早く言え!!!

どこで待ってるんだ!!!!」


「車で。」


「おい迎えに行くぞ!」

「急ぐわよ!」


義父と義母は急いでうちの両親を迎えに行き、リビングまで連れてきて顔合わせとなった。



「申し訳ありません愚息がお手間おかけしまして。」


「いえいえとんでもない。あきらくんは非常にウチにもよくしてくれますよ。

自慢の息子さんじゃないですか。」


おきまりの互いの娘息子を褒めあうやりとりをして、話は昔の付き合いがあった時の話になった。


「そう言えば、結城家さんとはうちの祖父が付き合いがあったようで…。

長らく疎遠になっており申し訳ありませんでした。」


「そうなんですねぇ。ちなみにお祖父様のお名前はなんと?」


霧島幸嗣(ゆきつぐ)と申します。」


「まさか!」


「と、いいますと?」


「うちの祖父が戦中に陸軍で可愛がってもらった先輩がいたと。いろんな遊びを教えてくれ、酒や飯をご馳走になったが、いよいよ恩返しする間も無く、どこに行くにも連れて行ってくれた自分を残して先に逝ってしまわれた。それだけが心残りだ。と。」


「そんな…!

それが、うちの…?」


「色々と手を尽くして探したようなんですが、時代が時代ということもあり、名前だけしかわからなかったようで。

私が幸長という名前なのも幸嗣さんの幸の字をいただいたそうです。」


「私もですよ。幸隆という名前も爺さんの名前から…。」


「これはもうご先祖のお導きのような…!」


「運命ですかね…。」


「そうに違いない!」


まさかの深い繋がりだった。

あきらとひとみも顔を見合わせて驚いている。



「今日は再び両家の絆が復活したことですから、お祝いですな!!」


「もちろん!盛大に祝いましょう!!!」


このあとめちゃくちゃ宴会した。

結婚するなら挨拶は大事。

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