91 霧島家を襲う嵐 内容追加済
4月のある日、霧島家を大きな衝撃が襲った。
「ふ、ふ、ふぁいぶす……。」
アメリカの経済誌、ファイブスからの取材申し込みがあった。
リビングでゆっくりとひとみとお茶をしていたらそんな電話が。
元々は実家に連絡が行ったらしく、実家でも判断はできないということであきらに直接連絡が来た。
取材申し込みは全部断っているはずなのに、実家から連絡先を教えてもいいかと聞かれたとき、どうしてだろうかとは思ったがまさかこういう形とは。
「はい、霧島さんに取材を受けていただきたいんですよ。」
その内容は、世界で最も稼いだ20代。
霧島は悩んだ。
ここで受けてしまうと、間違いなく自分のことが大っぴらになる。
これまで散々ひた隠しにしていたことが世間に公開されてしまう。
「すみませんが即答はでき兼ねますので、後日連絡差し上げます。」
「わかりました。良い返事を期待しております。」
届出や税金関係をきちんとし、節税対策もきちんとしていたが故にどこからか漏れバレてしまったのだろう。
あきらが去年一年で稼いだ、ファイブスが調査した限りの個人収入は6億ドル。
実質のところは桁が違うが、調べ上げただけでも大したものだ。
ちなみに、6億ドルの個人収入というのは20代だけではなく、全体のランキングでも一位である。
某ボクサーの年収をゆうに超えている。
「参ったなぁ…。」
「何が参ったの?」
「あぁ、ひとみ。
実はね、ファイブスから取材申し込みが来てて…。」
「受けちゃえ受けちゃえ。」
「そんな簡単にいうなよ…。」
「顔出しNG、直接取材NG、出版前に最終チェックはこちらでってことにすればいいじゃん。」
「出来るの?」
「私がやろうか。」
ひとみはあきらから電話番号を聞き出し直接交渉し始めた。
15分後。
「いけたよ。あとはメールで私がやりとりするから大丈夫。
なるべく目立たないようにするから。」
「頼りになるなぁ。」
「そりゃ彼女ですから。」
「ありがとうございます。」
「ねぇ。」
「ん?」
「いつまで彼女にしとくつもり?」
あきらが固まった。
「いいタイミングだからはっきりさせましょう。
いつまで彼女のままで置いとくつもり?」
「そ、そりゃあ…。」
「そりゃあ?」
あきらは腹をくくった。
「今日!!!!」
「え?」
「ちょっと待ってろぃ。」
「え?えっ?」
あきらは自分の部屋に戻り、クローゼットを開けた。
その奥底に眠る一つの小さな紙袋。
店の名前はハリーウィンストン。
ひとみは、これまでに有名なアクセサリーショップにあきらを連れて行き、延々とブライダルジュエリーを見るという、側から見れば結婚アピールまるわかりな行為をしたことが、よくあった。
ただのアピールのつもりが、そのジュエリー店巡りをした際に、ひとつだけ、ひとみが本気で気に入ってしまった婚約指輪があった。
値段ももちろん周りのジュエリーより一つどころか十ほど飛び抜けていたが、とても素敵なジュエリーだった。
それがハリーウィンストンの、いまあきらの手にある指輪だ。
リングピローをポケットに忍ばせ、ひとみの元に戻る。
「え?え?」
「ひとみ。いつもありがとう。
そして、これからもずっと俺の隣にいてくれ。」
ひとみの手を取り、立ってもらう。
あきらはその前に跪き、まっすぐにひとみの目を見つめ、指輪を差し出す。
ひとみの目にはみるみるうちに涙がたまる。
「うん……。はい…。お願いします。」
そのまま感極まってあきらに抱きつき号泣する。
「ちょっと…指輪はめさせて。」
なんとも締まらないプロポーズになってしまった。
泣き止んでひとつ落ち着いたところで、ひとみはあきらに聞く。
「いつ買ったの、こんな高いもの。」
「この前中村さんとご飯行ったでしょ?」
「うん言ってたね。」
「その時に、彼女さん紹介してくれるかと思ったのにって残念がられたんだよね。」
「ほぉ。」
「そんで、結婚する意思がないんだったらともかく、結婚する意思があるならしっかりとその思いを伝えてあげなきゃダメだよ。って言われてね。」
「なるほど。」
「気づいたら次の日には指輪買ってた。
ほんとはもっといいところで、ムードがあるところでやりたかったんだけどね。」
「私が急かしちゃったから…。」
「いや、多分俺ヘタレだから、なんかのタイミングじゃないと言えなかったと思う。
ヘタレでごめんね。」
「ううん、全然いい。
腹をくくった時のあきらくんの顔も見れたし、プロポーズしてくれた時のあきらくんの顔も見れたし。
プロポーズしてくれてありがとう。
不束者ですがこれからもよろしくお願いします。」
「こちらこそ宜しくお願いします。」
あきらがひとみにプロポーズをし、ひとみがそれを受けたという話は、2人のことを知る者達の間を瞬く間に駆け巡った。
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sideマミ
私が仕事を終え家に帰るとママから霧島くんが結婚するってことを聞いた。
「へぇー、霧島くん結婚するんだ。そっか。」
やっぱり会っちゃうとダメだなぁ。
なんとかなるんじゃないかって、もしかしたら脈あるんじゃないかって思っちゃうよね。
ほら、今だって。
お祝いしてあげたい気持ちでいっぱいなのに、涙が止まらないの。
わたしも霧島くんと結婚したかったなぁ。
「マミ、いいの?」
「うん。それがあきらくんの選んだ道だよ。」
「…そっか。」
ご飯に行った時に、彼女いるって言ってた。
でも、私は諦められなかった。
私は何番目でもいい。
何番目でもいいから、霧島くんの歩く道を、一緒について行きたかった。
私も連れてって欲しかった。
明日からはもう忘れよう。
でも今日だけは許してね、霧島くんの奥さん。
「あっくん。大好きだったよ。
幸せになってね。」
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side エマ
『そうですか…それはそれは。
ご結婚おめでとうございますボス。
はい。
はい。
はい、かしこまりました。』
ボスが結婚する。
どうも実感がわかない。
私のことも娶ってくれるものと思っていたから。
いや。ここで希望を捨てるのももったいない話だ。
私はまだ諦めない。
重婚こそ法律的には許されないが不倫は許される筈だ。不倫して逮捕された話は聞いたことがない。
倫理的な問題はこの際どうでもいい。
いや、しかし私の愛するボスに不道徳者のレッテルを貼り付けてしまうのは良くない。
どうしたものか。
しかし、あの2人がもう結婚か。
私もうかうかしていると行き遅れてしまうな。
行き遅れた場合は泣き落としてボスに拾ってもらおう。
大好きなボスに拾ってもらえるなら行き遅れても問題はない。
いやむしろ僥倖でさえある。
しかし今は素直にこの言葉を送ろう。
今私の目から溢れ出ている涙をぬぐい口を開く。
「愛するボス。結婚おめでとうございます。
私の分まで幸せになるのですよ。」
今日はヤケ酒だ。
とうとう結婚してしまいましたね。
しかも三人と。
ハーレムです。
ハーレムルートです。
金持ちなら許されるのです。
2019年 2月21日
嫁さんはやはり一人にします。
どうやってもファンタジー感が出すぎてしまうので
内容については改変させていただきます。
詳しくは活動報告に上げてあります。




