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翌日、また学校で授業を受けていた霧島は、腕のロレックスを気にしつつも、幸運の時計の実力を試してみたいと思っていた。
ふと財布を見ると一万円札が入っており、霧島は思いついた。
よしギャンブルだ。
大学一年の時、たまたま入学式で知り合った学生に連れられ、しこたま通った思い出があるが、あまりいい思い出ではない。霧島も喫煙者のためタバコの匂いは気にならないが、金が紙くずのように吸い込まれていき、それが帰ってくることは滅多にない。
昨日の飯代と思えばかなり安いものだと思い、午前中の授業が終わるとパチンコ屋にいってみた。
店に着くと、相変わらずうるさいなぁと思いながらパチンコ台を物色する霧島。
霧島はスロットも打つことができるが、ここ最近全くパチンコ屋に来ておらず最近の台の打ち方がわからないため、球を打つだけというシンプルなパチンコを打つことに決めていた。
なんとなくこれかなと思う台があった。
物は試しとばかりに、なけなしの一万円札を投入し、打ち始めること数分。
早速大当たりを引いた。
お、幸先良いななどと思いつつ、打ち続ける。
大当たり、大当たり、大当たり、大当たり。
途切れることなく当たり続けていく。
投資はまだ一万円のうち500円しか使っていない。
この辺りで霧島は腕時計の力を信用し始めていた。
ロレックスだからと思ってつけてたけど、その効果も本物とは恐れ入る……。このまま出せるだけ出していこう…!
たぶん、この店に来ることはもうできないな…
結局、霧島は閉店まで打ち続けた。途中店員が不正を疑い、なんどもやってきて台をチェックしたがなんの異常もない。異常がないため、客を止めることもできない。球は出続けている。それを見に客も大勢来ており、普段では考えられないほど店も盛況だった。そのこともあり、店員は彼を止めなかったのかもしれない。
最終的に霧島は25万発ほど出して閉店を迎え、90万円ほど手に入れた。
とんでもねぇな、この腕時計……
霧島はもう腕時計の効果を信じていた。
あまりにも突然に大金を得てしまった霧島は使うことが怖くなり、10万円を残して全て貯金し、少しばかり豪華な夕飯を楽しんだ。
家に帰り、寝床についた霧島は
このお金を元手にもっと大きなことをやろうと考えていた。