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73 旅行5日目

税金関係に関しては、後々新たなエピソードを追加するということで解決したいと思います。




「最終日です。」


「そうですね。」


「日本に帰ってから何するの?」


「とりあえず税金関係のカタをつけておこうと思う。

一応世界規模の税理士つけてるんだけどね。

色々と本人の決済が〜とかあるみたい。」


「去年は相当稼いだもんねぇ。」


「あと株式の資産とかどうなってるのか見てないから、見て、処分するものと処分しないもので分けていく。」


「今日本は空前の好景気みたいよ?」


「これを機に不動産ビジネスに手でも出してみるかな。」


二人は日本に帰ってからの予定を話し合いつつ、朝食をルームサービスで済ませていた。


「ちなみに帰りの飛行機は?」


「今日1日遊んだら、寝て、明日の朝1番で羽田。そこで乗り換えて関空だね。ちなみにこのフライトでスーパーフライヤーズの資格を得ることができるっぽい。

もっと前にそろそろいったかなーと思ってたらなんか違ったみたい。」


二人の席種がファーストクラスなのはいうまでもない。したがって、客としての扱いはいつも最上位で、今更スーパーフライヤーズになったとしても何も変わらない。

しかし、ステータスコレクターの霧島は、そのステータスがとにかく欲しいのだ。



「そ、そうなんだね。じゃあ今日は何しよっか?」


「とりあえずスキーしよ。」


「了解!」


霧島は、ロレックスをはめた状態でまだスキーをしたことがなかったため、ロレックスがスキーでどのように作用するのか気になっていた。



二人は朝食を食べ終えると、朝食と同時に部屋まで届いたランドリーをうけとり、スーツケースにそのまま詰めていく。

明日の朝も使うものだけ残して、荷造りを大雑把にではあるが、済ませる。



テキパキと着替えを済ませ、最後のランドリーを出し、スキーへと出かける。




「やってきました、人生二度目のスキー。」


「一昨日もきたけどね。」

霧島の宣言に、ひとみも苦笑い気味だ。


「こういうのは気分が大事なのよ。」


「まぁそうですけども。」


二人は、勝手知ったると言わんばかりに、自信を持ってリフトに向かう。

この三日間、スキースノボ漬けの毎日だったので、リフトの乗り方にはだいぶ慣れてきた。


今では、ウィスラーブラッコムの山々を余裕を持って眺めることができる。



「いい景色だなぁ。」


「そうだねぇ。何度でも来たいね。」


「うん、癒される。」


豊かな自然に心が癒される2人は、名残惜しいが、リフトが頂上に到着したので降りる。

本日のコースは中上級者向けの、傾斜がきついコースだ。

しかし2人の間に不安はない。

できる。という確信しかない。

なぜなら、昨日のスノーボードのほうが何となく怖かったからだ。



「よし!行こう!」


「よっしゃ!」

ひとみの掛け声を合図に2人は斜面を滑り降り始めた。



「これ、全然違うな。滑りやすさが全く違う。

どんな斜面も滑られる気がする。」

霧島は独り言のようにつぶやく。

ロレックスをつけた状態でスキーをすると、なぜか、1番滑りやすい体勢に自然となるのだ。

次に何をすれば良いのか、どんな姿勢を取れば良いのか、その全てが手に取るようにわかる。



「あきらくんすごい…!」

ひとみは近くで滑るあきらを見て思わず声を出す。

それもそのはず。初日とは姿勢から何から、全てが異なっている。初日の姿勢は、素人くささが抜けていなかったが、今ではまるでオリンピアンのような姿勢だ。


周りのスキーヤーも驚いている。

きっとわかるのだろう。なんかすごそうだ、というのが。




2人は何度も何度も斜面を滑り降りた。

あまりに霧島がプロっぽいので、アスリートか何かと勘違いした観光客が霧島に握手を求めてきたりもした。

霧島はあえて否定することなどせずに、握手に応じる。

まるで本物のアスリートになった気でいるようだ。


「あきらくん、選手と間違われてたね。」


「まぁこの格好じゃ顔なんかわかんないから、とりあえずすごそうだからって感じだったね。」


「スキー歴実質2日なのにね。」


「センスだけで生きてる。」


「うん、そんな感じはする。」


2人は笑いあった。


前回と同じように、コースの近くのレストランで遅めの昼食をとり、昼からはさらに難易度が高いコースに行こうとしたが、ひとみの反対により同じコースを滑ることにする。


やはり昼飯を食べた後も、幾度となく滑り降りる。滑る前には筋肉痛的なものも感じていたが、滑るうちに感じなくなった。


2人がクタクタになったところで、道具を返却しホテルに帰る。

そして、2人の定番になりつつある、スキー後のジャグジーも済ませ、体をメンテナンスしたところで、グリルルームで最後の晩飯をいただく。


「あー、遊び疲れた。」


「あきらくんなんか1人モーグル選手みたいな動きしてたよね。コブないのに。」


「いけるかなと思ったらいけた。」


「どんな運動神経よ…。」


あきらのコブなしモーグルは、ひとみがしっかりと動画に収めておいた。


ジャグジーに入った後は部屋に戻り、最終的な荷造りを済ませた。

後の小物は機内持ち込みの小さなバッグに詰めることにする。


「じゃあ寝ますか。」


「寝ましょう。明日は3時半起きの4時出発です。」


「は、早い…!」


「おやすみなさーい。」


「おやすみなさい。」





ひとみが目を覚ますと、車の中にいた。

「え?」


「車の中よ。もうバンクーバー国際空港に向かってます。」


「荷物は?」


「ベルさんが運んでくれたよ。」


「私は?」


「あきらさんが運んでくれたよ。」


「あ、ありがとうございます。」

少し照れているのか、若干どもり気味で答える。ひとみは、早朝すぎてまだ眠気が完全には覚めていないのか、その会話ののちすぐまた眠りの世界に落ちていった。



空港に着き、霧島はひとみを起こす。


「ひとみさん、空港着いたよ。」


「あ、あぁ、ありがとう。」


眠い目をこすりながら、2人はファーストクラス専用のチェックインカウンターに向かい、荷物を預けて、プレミアムラウンジに向かう。

ちなみに、そのラウンジでもひとみは寝ていたし、飛行機の座席でも爆睡していた。

ファーストクラスの座席はフルフラットになるので小さめのベッドと大して変わらない。



一方霧島は酒を飲んだり、料理を食べたりしていたが、たまたま見たミュージカル映画を見て感動して号泣した。

最終的に泣き疲れて爆睡した。



次に2人が目を覚ましたのは羽田空港に着陸した時だ。

CAさんの指示に従ってベルトも締め、リクライニングを戻したらしいが、全く記憶にない。



「うあぁあああん!」


「あきらくん、外だから変な声出さないで。」


長旅に凝り固まった体を伸ばす霧島にひとみが冷静にツッコミを入れる。


「申し訳ない。」


2人は国内線便に乗り換え、関西国際空港へと向かう飛行機が待つターミナルへ向かう。

乗る飛行機はB787ドリームライナーだ。


もちろんこの飛行機もプレミアムクラスだ。

ゆったりとした座席で関空へと向かい、機内誌を読んだり、カナダで撮った写真を見返したりしていると、あっという間に関空へ着く。



「着いたー!」


「ほとんどの行程を寝ていたせいか、あっという間に日本に帰ってきた気がします。」


「ひとみの爆睡具合は確かにすごかった。

何しても起きなかったもんね。」


「いや、お恥ずかしい限りです。」


荷物を受け取り、ゴロゴロと大きいリモワのスーツケースを引きずりながら空港の駐車場に停めっぱなしにしておいたレクサスLXに乗り込む。


「じゃあ帰りますか!」


「はい。」


2人を乗せた車は静かに空港を後にする。



たくさんの方々に感想をいただくことができて嬉しいです。

自分だけでは気づくことができなかった部分もたくさんあり、大変勉強になりました。

小説自体削除するかどうか迷いましたが、まだまだ描きたいエピソードもありますので、続けさせていただくことにいたしました。


とりあえず、霧島が脱税で捕まるようなことにはさせたくないので、しっかりと払うものは払うというエピソードにて対応させていただきます。

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