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そうきたか!
霧島は中村の乗ってきた車を見てそう思った。
そこには電車のようにながーい車があった。
そう、ロールス・ロイスである。
ロールス・ロイス社の歴史は英国に始まり、時代を超えて世界各国の首脳や、国家元首に愛されてきた、名車中の名車である。
飛行機のエンジンなども作っている、ロールス・ロイス社の車といえば世界最高級車の一つでもある。
「中村さん、すごい車ですね!!!!」
ロールスロイスを初めて間近で見る霧島は大興奮だ。
「まぁまぁ、そんなことはいいから乗って乗って!」
「失礼します!」
ドアを開け、乗り込む霧島。
当たり前のように運転手がいることに、今更ながら感慨を覚える。
「すごいですね、この車。」
「まぁ仮にも会社の社長だからね、色々とあるんだよ笑」
そう言って笑い飛ばす中村をみて、この人は実はとんでもない大人物なんだろうなと、月並みな感想を思い浮かべる霧島。それと同時に、今晩のご飯はどんなものだろうかという期待もどんどん膨らみをもっていく。
「今晩のメニューは、いつも僕が行ってるお寿司屋さんでいいかな?寿司が嫌いなら肉でもいいけど。」
「ぜひ寿司で!肉より魚派です!」
さすが、ご老人に囲まれ育っただけある。
霧島は洋食よりも和食派のヘルシー志向な若者のようだ。
「それでこそ、連れて行きがいがあるというものだよ。じゃ北新地までいこうか!」
「はいお願いします!」
車内では、なんともないような世間話をしつつ、店に着いた。
そこは、ただの大学生でも知っているような一見さんでは到底入れないような寿司屋だった。
さ、さ○喜…!!!!
まさかさ○喜にくる日が来ようとは…!!!
こんな普段着で来てしまった……!!!
かなり気後れしつつも中村さんに連れられ中に入る。