4
そんな事件から一週間ほどたち、かつての大騒ぎも生徒の心から忘れ去られ、いつも通りの時間が過ぎていた。
中村老人の話も忘れかけた頃、霧島の携帯に見知らぬ番号から電話がかかってきた。
霧島は誰であろうかと思いつつ、電話に出る。
「中村ですが、霧島君かな?もしよければ今日君とご飯に行こうと思うんだが、今夜の予定はどうだろうか?」
「あぁ!中村さん!あの後お体の具合はいかがですか?
食事は暇な大学生なもので今夜大丈夫ですよ!!
ぜひお願いします!」
「順調だよ、お陰様で。よし、じゃあ今日の7時ごろ迎えに行こうと思うんだが、大学でいいかな?」
「よかったです、何もお変わりないようで!
時間と場所はそれで大丈夫です。では七時に阪急の石橋駅のあたりでお待ちしております。」
「よし、それではまた七時に」
「はい、それでは失礼いたします。」
霧島は、今日がバイト休みでよかったと思いつつ、夜ご飯はなんだろうかと心を躍らせていた。
授業が終わり、少し時間を潰し、コンビニや大学生協で雑誌をチェックしていると、そろそろ約束の時間にちょうど良い頃になったので、阪急石橋駅のあたりに向かう。
車好きの霧島は、社長の車ってどんなもんだろうか?と思い
やっぱりLのマークの高級車だろうか?いや、スリーポインテッドスターの高級車の代名詞たろうか?などと思いを馳せていると、声がかけられた。
「霧島君!こっちだよ、こっち!」
霧島は声のする方に顔を向けた。