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いよいよラスベガスについた霧島は、到着口を出ると、そこにすぐスロットマシーンがあることに気づいた。
さすがはカジノの街…血が騒ぐ…。
霧島は、高校の修学旅行以来、久々の海外でテンションが上がっていた。
霧島は空港を出てタクシーを捕まえると、自身が予約したホテル名を運転手に告げた。
「パラッゾリゾートホテルまでお願いします。」
「お兄ちゃん英語うまいね!韓国?」
「英語は慣れてますから笑
あと、韓国じゃなくて、日本です。日本から20時間もかけてきました。笑」
「そいつは申し訳なかった。最近は韓国のお客さんが多いから、お兄ちゃんもそうかと思ったよ。
ラスベガスには観光かい?」
「 (やっぱ韓国の人多いんだな) はい、観光ですが、自分がどこまでやっていけるか試してみようと思って、全財産持ってきました笑」
霧島ははったりとジョークを交えながら運転手と会話を重ねる。
そんな会話をしていると、すぐにホテルに着き、料金を払ってホテルにチェックインする。
霧島は予約名を告げ、チェックインし、ベルスタッフに荷物を持ってもらいながら部屋まで向かう。
ラスベガスのパラッゾリゾートは全室スイートでありながら、なかなかに宿泊料金は安い。
カジノで収益を上げているホテルなので、宿泊費から無理に取る必要がないのだ。
ベルスタッフにチップを渡し、荷物を部屋に広げる。
霧島は、どうせなら、注文したスーツも持ってきたかったなと、まだ完成していないスーツに思いを馳せつつ着替えた。
ホテルに到着するまでは、飛行機移動が楽になるように動きやすい服を着ていたが、ラスベガスでカジノを楽しむということもあり、ひとみの帰省前のデートの際に購入した、ジョルジオアルマーニの夏用のセットアップに着替えることにした。
霧島は財布の中に50万円ちょっとが入っていることを確認し、パラッゾリゾートの中にあるカジノに向かった。
とりあえず軍資金を増やすかとばかりに、財布の中の50と数万円をそのまま全て米ドルに換金した。
5000ドル丁度を手にした霧島は迷わずルーレットへ。
霧島は席に着くとディーラーから挨拶をされ、軽く会話を楽しんだ。
霧島は持ってきた5000ドルを全て専用チップに変えると、500ドル分を偶数にかけた。
愛用の幸運のロレックスに願いを込め撫でる。
そうすると球はちゃんと偶数に入り、2倍の掛け金を手に入れた。
霧島 (よしよし、幸先いいよ。)
次はもう少し賭けの範囲を狭めようと思った霧島は、真ん中の一列に先ほど獲得した1000ドル分の半額、先ほどと同じ500ドル分を賭けた。
するとやはり真ん中に入り今度は3倍の掛け金を手に入れた。
次はどこにしようかと考える霧島は嫌な予感を感じとり、同じ200ドル分を先ほどと同じ掛け方で、一番右端の列にかけた。
勝ちすぎるといけないってことか…
最近の霧島は、大きな勝負の時にはロレックスが伝えたいことを大まかにではあるが察することができるようになっていた。
そうして運を味方につけつつ、順調に勝ちを拾い、元手の5000ドルがいつの間にか1万ドルになっていた。
よし、今日はこのくらいで。
明日はもっと高レートのカジノに行こう。
そう考え、チップを100ドル分ほど置き、霧島は席を立った。
なかなかに大勝した霧島はいつの間にか周りに人だかりができており、老齢の紳士や淑女にシャンパンをたくさんご馳走になった。
いい国だな…
外国人のオープンなコミュニケーションに癒された霧島はチップを換金すると、ホテルの一階にあったコンビニのようなスーパーのような売店で食事とおやつと飲み物を大量に買い部屋に戻った。
部屋に戻る際に、フロントに寄り、延泊処理を申し込んでおく。
チェックインの際は一泊だけの料金を先に払ったが、現金でもう3泊分ほど支払った。霧島はトータルで最低でも4日間は勝負し続けるようだ。
時差ボケの影響か、なんとなくぼーっとした頭を休めるために霧島はシャワーを浴び、翌日に備え就寝した。




