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「いらっしゃいませ。どうぞ、ごゆっくりご覧になってください。
もし気になる車がございましたら、ぜひお申し付けくださいませ。」
「i8が見たいんですけど、試乗とかってできたりします?」
霧島はBMWのショールームに着くなり店員にそう伝えた。
店員も、いきなり具体的な車名を霧島が伝えたことで、買う意思があるということを察したのだろう。
「かしこまりました。
i8は、展示車にするつもりで発注したものが偶然今日の昼ごろ届きまして。
届いたばかりでまだガレージにございますのでそちらに試乗していただいてもよろしいですか?」
「ぜひお願いします。」
「かしこまりました、ありがとうございます。ではこちらへ。」
そう言って店員は霧島をガレージへ案内する。
ガレージでi8の現物を初めて見た霧島は感動した。
流麗なフォルム、輝く白いボディとアクセントとして主張する青。
1つの芸術品のような車だ。
「それでは運転席にどうぞ。こちらはこの車の鍵です。」
霧島は鍵を持ち、スタートボタンを押してエンジンをかけた。
霧島はその音の静かさに驚いた。
「思いの外静かですね。ほんとハイブリッドカーという感じで。」
「そうですね、アイドリング中などはほぼモーターの音しかしない状態に近いですね。
オーナーさんも驚かれる方多いです。」
霧島はその内装が上品なことにも驚いていた。
スポーツカーとは言いつつも、BMWらしさを忘れない、気品のある内装。
しかしその内装は、ドイツ車らしく上品なだけでなく、実用性が重視されている
これはすごい…
i8 はスポーツカーでもあるため高速道路での走行も試乗を許された。
高速走行をしてみると、市街地走行とはまた違った一面が顔を覗かせる。
低重心が故の張り付くようなコーナリング感。
そして、高速走行中の安定感。
霧島は満足していた。
「これいくらですか?」
店員「現在霧島様が運転しておられます、この車と全く同じもの、同じ装備ですと2093万円、限定色でしたら2298万円でございます。」
「その限定色は現物見れますか?」
「はい、フローズンブラックとプロトニックレッドでしたら両方見ることができます。
ちなみに、両方とも限定生産でして、レッドの方は日本での残り1台となっております。」
赤にするか…
試乗を終え、ショールームに戻った霧島は、プロトニックレッドのi8を購入した。
この車ももちろん一括払いである。
納車までは約1週間とのことだ。
大量の衣類と車を購入した霧島は、i8の駐車場がないことを思い出し、どこかホテルの地下駐車場を借りることはできないかと、梅田周辺のホテルを回った。
すると、ホテル日航大阪では、月極というか定期券駐車場を契約できるらしく、早速契約した。
ちなみに月々の契約料金はクレジットカードから引き落とされる。
こういう時にクレジットカードを持ってると便利だなぁ。
霧島は、インターネット証券で株式を購入しているが、リスクの分散という観点から、運用資金が増えた時に自己名義と会社名義で複数の口座を銀行に開設していた。
その際に行員に勧められるがままクレジットカードを作り、今ではメガバンク全社のクレジットカードと、Dクラブという、Aエクスプレスの信用度を上回るクレジットカードを保有している。
中でも経費精算などに使用しているメガバンクのJCBカードについてはカードのステータスを上げてほしいとのことで、ザ・クラスのカードになっており、Dクラブに関しても、会社の信用度にも関わると税理士の勧めと紹介もあり、プレミアムカードとなっている。
ちなみにi8はザ・クラスで決済した。
霧島の次なる目標は、メガバンクでクレジットカードを作る時に、ANAマイレージカードの機能を追加したカードのステータスをとりあえず一番上まで上げることである。
そのためにこの夏休みに長距離海外旅行に行くことを画策しているが、それはひとみには秘密である。
全ての手続きを終えた霧島は、ヒルトン大阪で1人寂しくディナーをすませると大満足で家に帰った。
家に帰ると自身の持つ株式の資産がめでたく500億円を突破していた。
まぁ、お祝いということで。
今日の散財を霧島はお祝いという言葉で片付け、心の棚に上げておくことにしたようだ。
霧島は買ったバッグにいつも持ち歩いている、車の鍵、タバコ、ライター、財布、と小銭入れがわりにしている、スーツケースを買った際にリモワで貰った、小さな袋を入れた。
そして買った服についてはクローゼットに片付け、大満足のまま眠りについた。




