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いつものように、大講義室の一番後ろの窓際の席に陣取り、スマホをいじりながらテキストを広げ、窓の外を見ていた私、霧島。
すると犬の散歩をしているご老人が通りかかった。
そいえば、大学の中に普通に近所の人が通ってるっていうことも、大学入るまで知らなかったなー
と、益体もないことを考えていると、そのご老人が突然転んだ。
「うぉぉい!?まじか!?」
田舎育ちで、ご老人に囲まれ、可愛がられて育った霧島はその様子を見て見ぬふりをすることなどできもしなかった。
そのご老人の犬も逃げた。
逃げたというか、そのご老人のことを放置して自分で散歩に行った。
「ダブルパンチ!!!!!」
すぐに講義室を抜け出した霧島は、まず犬の方に行った。
人が倒れてるのは誰か他の人が助けることはできるが、犬までは気がまわらないだろうと思ったからだ。
幸い動物には好かれやすい体質ということもあり、外に出ると犬の方から寄ってきてくれた。
犬を連れてご老人の方に向かうと、ご老人はまだ倒れていた。
いや、これやばいんじゃないか?
と思いつつ、ご老人に声をかける。
「おじいさん、大丈夫ですか!!
おじいさん!!
意識ありますか!?」
意識がない。
本格的にやばそうだと思い、携帯ですぐに救急車を呼ぶ。
少し離れたところにいた男子生徒を呼び、事情を話しAEDを持ってくるように指示した。
内心で、予想外に大きいことになっていることにドキドキしながら、車の免許の救急救命講座ちゃんとやってて良かったと感じていた。
救急車を呼んだときから繋がっている電話で、救急救命の指示を受けつつ、四苦八苦していると救急車が到着し、その救急車に同乗し病院まで向かう。
講義どうしよう…と、普段なら全く思わないことを考えている霧島だったが、まぁそれはどうにでもなるか。と考えることを放棄した。
救急車の中では、救急隊員から状況など、様々なことを聞かれていたが、あまり答えられることはない。
そうこうしているうちに、ご老人の容態は安定し、どうやら命に別状はないことがわかった。