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なんかいいことないかなー
そんなつぶやきを頭の中で思い浮かべつつ、今日も大学の講義を受ける男、霧島こと私。
高校時代それなりに勉強ができ、それなりに要領が良かった私は、普段の成績から見れば御の字の関西の国立大学に進学した。
なんとなく外国に行きたいなーなどと思いつつも、大学で語学をメインでやるのは楽しくなさそうだと思い法学部に進学したものの、覚えること、理解することが多すぎて少し後悔をしている。
弁護士になるつもりもなく、法律関係の仕事に就くことも全く考えておらず、就活は大学のネームバリューでなんとかなるだろうと甘いことを考えている、どこにでもいる普通の法学部の2年生。
適当なサークルに入り、テストが近くなると過去問の入手に腐心し、何もない日はアルバイトに勤しみ、貯金はそこそこ。
趣味の旅行は半年に一回ほど。
一人暮らしの生活にも慣れ、大学の手の抜き方も把握し、持ち前の要領の良さでうまいことやってるという自負はあるが、どうも刺激が少ない。
そんな4月の半ばで、彼の人生を変える出来事が起きた。