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翌日、証券取引所が開くとほぼ同時に霧島は自身の所有する株式の価格を見た。
もちろんありえないほど上昇しており、チャートを見ている現在も面白いほど爆上げ状態だ。
そこで霧島は前日自身の口座に預け入れた約2億円をネットバンキングの口座に送金し、それも投資の運用資金として使い始めた。
自動車メーカーは買ったから、石油メーカーと、石油商社と、船の輸送も買っとくか。あと優待ほしいから航空会社と…
霧島はぶつぶつと独り言をこぼしながら株式を買いあさった。
そこで霧島は気づく。
競馬で勝った2億を運用資金に回したということは、当面の目標とした10億円は、もうすぐそこにあるということに。
まぁいいか…とりあえず50億円までは売買で増やして、そこまでいったら配当をもらって生活する方にシフトしよう…。
株式を買いあさったあとは、霧島は身支度を整え、大学へと愛用のママチャリで向かった。
他の人から見れば、彼が2億円もの資金を運用するトレーダーとは誰も思わないだろう。
大学に着き、淡々と授業をこなしつつ、1日を終える。
時間はすでに昼を過ぎ、そろそろ夕方かという頃だ。
霧島は授業を受けながら一日中、ずっと梅田まで行く足がないから車が欲しいなと思っていた。
また車好きである霧島は車に関しても妥協をするつもりはなくしっかりと選んだ車を長く乗るつもりであった。
また、たまたま、今日受けていた授業が税法の授業ということもあり、これまで大きな問題を忘れていたことに気づいた。
税金の問題である。
そのことに気づいた霧島は、授業を終えるとすぐにインターネットで評判のいい税理士を探し、税金の問題を解決するために奔走した。
霧島はネットで見つけた、淀屋橋の税理士にアポイントメントを取り三時間ほど話し合った。
最終的に、霧島は投資会社を設立し、社長となることになった。田舎にいる両親にも話を通し、母を会社の社員として雇うこととなり、親孝行もできそうだと霧島は満足していた。
幸い、霧島は成人していたため、割とスムーズに事が進みそうだということがわかりホッとした。
あとは税理士の指示通りの書面を用意し、その税理士と顧問契約を結び、税金対策をするだけである。
霧島の会社の社員となった霧島の母は心配しきりだったが、GWに帰省して事情を説明することで納得してもらった。
ちなみに霧島が決めた社名は、全ての始まりである、ロレックスをもじって
ローレックス株式会社である。
霧島が法学部所属であることもかけてあるが、なかなかにダサい。
税理士事務所を後にした霧島は、ついでに車を下見したかったが時間的にもそろそろ8時というところなので、またの機会ということにし、タクシーで自宅まで帰ることにした。
霧島は、最近タクシー移動が増えたなと思い、贅沢は控えなければと心に決めていた。
やはり霧島の根底は貧乏性のようだ。