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東京駅の八重洲口から構内に入り、新幹線のチケットを買う。
迷うことなくグリーン券だ。
券売機でグリーン券を指定するボタンを押す霧島の指は震えていたが気のせいであろう。
霧島は初めてグリーン車に乗るなと思いつつ、新幹線のぞみのグリーン車に乗り、グリーン車とはこんなにも快適性が違うのかと驚いた。
まず、グリーン席ではおしぼりがもらえるということに驚きが隠せなかった。
そして、座席の快適性が自由席とは天と地ほど違うことにも驚いた。
そして、なにより、車内が薄暗くホテルのようだった。
グリーンでこれならグランクラスはどんなもんやろか……
そんなことを感じ、さらなる贅沢を霧島は夢見て新大阪駅まで時速300キロで駆けて行った。
新大阪に着いた霧島は1日でものすごく疲れたなと思い、迷わずタクシーで帰ることを選択した。
新幹線でどこにでも行けるようにもっと都会寄りのところに引っ越そうかな。
こう考えていた霧島は、大学には、車を買って車で行けば良いと思っていた。
しかし、彼は金の使い方をあまり知らない。
そのため車を買うためには何が必要なのかなど全く考えていなかった。
なので、自分が突然金持ちになった実感はなく、2億くらいの金を手に入れたからといって贅沢をするのはよろしく無いと考え、今の手持ちの資金が10億円の大台に乗ったときに引越しすることを当面の目標とした。
しかし、霧島はまだ知らない。
霧島の資金は日を追うごとに倍々ゲームで増えていることに。
このままいけば、どんなに遅くとも来月には10億円を軽く突破している。
新大阪駅からタクシーで自宅まで帰った霧島は
すぐに風呂に入り、体を洗い、倒れるようにベッドに入り泥のように眠った。