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「次は銀座までお願いします。」


「かしこまりました。それにしてもお客さん、すごい金額だったね…。こっちまで緊張したよ…」


「いや、自分もあんな金額見たの初めてですから、気が気じゃなかったですよ…」


「ですよねぇ…」


運転手とそんな世間話をしていると、一時間ほどで銀座についた。

運転手さんに面倒をかけたこともあり、少し多めに支払った霧島は、とりあえず、腕時計に感謝するために、腕時計のメンテナンス道具を買いに行った。幸いまだ19時を過ぎたところということもあり百貨店が営業していた。

百貨店で探してみると、どうもメンテナンス道具というよりも修理道具という方が近いため、霧島は、


「なんか違う」


と思った。


そこで、霧島は、寝ている間に腕時計を保管するためのケースを買うことにした。



値段はそこそこ張ったが、霧島はいいものが買えたと思っているようだった。



そして、まだ20時前ということもあり、霧島は自分のものを買うことにした。



いきなりではあるが、霧島はルイヴィトンというブランドにコンプレックスを持っている。

彼は、そのコンプレックスを解消するために銀座に来たと行っても過言ではないはずである。



そして、霧島はルイヴィトンにやって来た。

店の出入り口には警備員が立ち、物々しい雰囲気を醸し出している。

おどおどする自分を隠しながら、霧島は胸を張り颯爽と店内に入る。

店員に声をかけられる霧島。


「いらっしゃいませお客様。本日はどのようなものをお探しでございますか?」


霧島はもしかして、自分がよほど場違いのように見えたから、見るに耐えなくて、助け舟のつもりで声をかけてくださったのだろうか?と思った。


「え、あ、はい。財布とバッグを自分用で……」



店員は、少し驚いたようだった。

しかしその驚きは一瞬のもので、すぐに営業用のスマイルを浮かべた。


「かしこまりました、それではまず財布からご案内いたしますので、どのような形がご希望ですか?」



「とりあえず、長財布で、どんなものがあるのか見せていただきたいのですが…」


霧島は長財布をご所望のようだ。

それもそのはず。霧島の財布は二つ折りの札入れで小銭入れもついておらず、もう2年は使い込んだものだ。そして、先程口座に入れずに手元に残した500万円は裸でジャケットの内ポケットやデニムのポケットに詰め込んである。


程なくして、店員の説明を受けた霧島は、50万円程は入りそうなポルトフォイユブラザと言われる財布と、ブリーフケースエクスプローラーという名前のバッグを購入した。


2つ合わせて40万円弱の買い物だったが、霧島はとても満足しているようだった。

おそらく、ルイヴィトンコンプレックスも解消したことだろう。

買い物を終えた頃にはルイヴィトンの店も閉店時間を少し過ぎていた。



そろそろ大阪に帰るか。財布も買ったし、バッグも買ったし。競馬は鬼勝ちしたし。



そう思い霧島は東京駅へと歩を向けた。

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