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料理を食べていると、バーテンダーの方が声をかけてきた。
「こんばんは。ようこそ、シャングリラへ。」
「あ、どうも。」
なんや、どうもって、もっと気の利いたこと言えや!!
と、体の中の霧島が怒っていたことは霧島しか知ることができない事実だった。
「緊張されておられるようですので、お声をかけさせていただきました。ここは、お客様がゆっくりと過ごされる場所でございますので、どうかリラックスしてお楽しみくださいませ。」
霧島は内心で感嘆の声を上げていた。
なんて素晴らしいホスピタリティなんだと。
「こんな高級なホテルに泊まるの初めてで緊張してしまって…笑
でも記念だからと思って奮発してここに泊まったんですけど、やっぱり泊まってよかったなって思います。」
「ありがとうございますお客様。何も緊張されることはございません。むしろ我々の方がお客様方に何か粗相があってはならないと日々緊張しておりますので、お客様が緊張されておられると、我々までもっと緊張してしまいます笑」
なんとユーモアに富んだ返し方であろうか…
霧島は、またここに泊まりに来ることを心の中で約束した。
「そう言ってくださると、こちらも心がほぐれます…。心からここに泊まってよかったなと思いました。またここにもきたいと思いますので、バーテンダーさんのお名前を伺ってもよろしいですか?」
「ありがとうございます、お客様。私、このロビーラウンジのマネージャーをしております吉村と申します。お客様のお名前もお伺いしてもよろしいですか?」
「私は大阪から来ました霧島といいます。吉村さんのホスピタリティに感激しました。ここに泊まれて、このバーに来れて、あなたに出会えて嬉しく思います。」
「霧島様ですね。私もここで霧島様に出会えて嬉しく思います。バーの出会いは一期一会と申しますが、この出会いがまたありますように祈念しまして、私から霧島様に一杯プレゼントさせていただいてもよろしいですか?」
「ぜひ!楽しみだなぁ〜!!」
「どうぞ、クローバークラブです。
また会えることを願って、再会の約束という意味を込めて作らせていただきました。」
もう抱いて!!!!!!!
「なんとロマンチックな……
美味しいです、とても。」
「ありがとうございます、霧島様」
そうしてロマンチックな夜は更けていった。