12 霧島、運転資金を確保する。
霧島は8時に起床した。
大学を出かける準備をしている途中に、今日が土曜日であるということに気がついた。
土曜日か…。じゃあ中央競馬に行ってみるか、せっかく早起きしたんだし。株も取引所開いてないしな。
霧島は昨日の残りの7万円程を持って阪神競馬場へと向かった。
阪神競馬場は初めていくなぁと思いながら、霧島は阪神競馬場へと向かった。
競馬場に着くと、ちょうど第2レースが終わったところで、今から第3レースの投票受付時間というアナウンスが流れていた。
お、ナイスタイミングだなと思いながら、中継と、スマホの予想を見ながらどの馬にしようかと考えることにした。
とりあえず、これと思った馬を三頭選び、着順を予想する、三連単というものを買ってみた。
すると、なかなかに荒れたレースだったようで、1000円分買った馬券が、いきなり60万円程になった。
ここまでくるともはや恐ろしいな…。
次は負けておいてここぞという時に、幸運を取っておこう
霧島は心の中でそう呟くと、集中せずに、適当に馬券を買い、存分に負けた。
結果、霧島は60万円程の勝ち分を40万円程まで減らし、運を酷使せずに休ませたお陰か、なんとなく運を補充できた気がしていた。
結果として、霧島は大満足のまま阪神競馬場を後にしようとしたが、明日は東京でかなり大きなレースがあるということを知った。
今40あるから、このまま東京まで行って一泊してやってみるか…。
霧島はフットワークが軽いところが自分の長所でもあると自覚していたが、一度考えるともうそのことしか考えられなくなるという短所も持ち合わせていた。
明日の予定はないから行ってみるか。
霧島は、阪神競馬場まで来たその足で新大阪駅に向かい、そのまま東京に向かうことにした。
根が貧乏性な霧島は、グリーン車など畏れ多いと、指定席に座った。
自由席ではなく、指定席なのは、阪神競馬場での勝ち分で、少しでも時計を休め明日に備えて運を補充しておこうという考えに基づいている。
決して霧島が少し贅沢をしたかったわけではないはずだ。
霧島は新幹線で、ちょっとした弁当を食べ、ゆっくりしていると、ホテルをまだ予約していないことに気がついた。
ホテルも競馬場から割と離れてない方がいいから、競馬場は……。千葉じゃん…。最寄りは…JR船橋法典…どこよ…これ…。東京駅から30分か…。
じゃあ東京駅の近くのホテルにしよう。
ちょっと奮発していいホテルにしようかなー。
お、これ近いし聞いたことある。ここにしよう。
霧島が選択したのは、理想郷の名前を冠する、泣く子も黙る世界展開の外資系超高級ホテル。
1人7万か、余裕だな。
そんなことを考えながら霧島はニヤニヤしつつも、そのホテルをインターネットで予約した。
もちろん周りの人間から、頭のおかしい人のように見えていたことは言うまでもない。