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梅田で晩御飯も済ませ、自宅に帰って来た霧島は充足感に包まれていた。
梅田では靴とデニムとサングラスを買い、夏に備え、霧島は準備万端になった。
靴は前々から欲しかったNIKEのAIR、デニムも買おう買おうと思っていたKUROのデニム、サングラスはオリバーピープルズを買った。
特に、オリバーピープルズのサングラスは何年も前から欲しかったもので、高すぎるがあまり手が出せなかったものだ。
ホクホク顔で家に着き、自宅で買ったものをまた試着し、ファッションショーを開き、とても満足した。
まだ手持ちの資金は数万円程残っており、まだもう少しは遊べそうだなと思った霧島は、友達に還元してやろうと思い立ち、同じ授業を取っている友達に連絡した。
霧島には、こんな時に連絡する、決まった友達がいる。同じ学部で、自分と同じように田舎から進学してきており、似たような苦労を分かち合った仲の良い友達で、名前を清水という。
「もしもし。清水か。」
「おぉ、霧島ぁ。どうしたと?」
清水は大阪に来て一年経つが、まだ抜け切らない九州の訛りで答えた。ちなみに霧島にパチンコを教えたのもこの清水である。
「ちょっとパチンコで当てたから明日飯行かん?」
「お、やるやん。明日予定空けとくわ、8時ごろでよか?」
「わかった8時な。梅田でいい?」
「了解、じゃまた明日な」
電話を切った霧島は満足して、風呂に入り、疲れを癒した。
いやぁ、まさかこんなに運が向いてくるとはねぇ。
あんなに刺激がないないいってたのが嘘みたいだわ。
霧島は次は何をしようかと考え、ワクワクしつつその日を終えた。




