第十話 王都内デート?
第十話更新しました!
アイリスさんとの王都内デート。
零君が羨ましいです。
なんてことは置いといてこれからもこの作品を楽しんでいただければ幸いです。
それでは第十話、どうぞ
第二波も防ぎきり、第三波と続けざまに来た魔物達に苦戦しながらもなんとか今日一日を終えようとしていた。
「みんな!今日はよく頑張ったな!まだ明日もあるだろうがとりあえず今日のところはもう大丈夫だろう!王都に帰投する!」
周りから「よっしゃー!!!」や「帰ってうまい飯食うぞー!」などの思い思いの言葉が発せられる。
俺も正直クタクタなので早く王城に帰ってご飯を食べてベッドに倒れ込みたいところだ。
「ねえ、零さん」
「ん、なんだ?アイリスさん」
「この後少し話せないかしら?」
「…まあ、多少は時間あるけど」
「良かった。なら今七時頃だし一時間後に王城の前に集合ね。じゃあまた後で」
「え、あ、おい!ちょっと待ってくれ!」
俺の言葉に耳を傾けることなく彼女は去っていった。
…考えようによってはこれはいい機会かもしれない。
彼女はこの世界を転々としているらしいからこの異変が収束すればもう王都から去ってしまうのかもしれないからだ。
(それに俺も彼女とは話してみたいと思っていたしな)
「おっす、零!今日は何とか凌ぎきったな!」
「ああ、そうだな。もうクタクタだよ」
「俺もだ。今日はゆっくり休んでまた明日に備えないとな!」
「そうだな。じゃあ俺はもう行く。また明日な」
「おう!また明日一緒に頑張ろうぜ!」
手を振るグレンに俺も手を振り返して王都の中に入っていった。
よくよく考えてみると王都の中のことはあまり知らないことに気づく。
何故なら基本王城にいるせいで何でも手に入るので物には困ったりしないからだ。
これもいい機会かと王都の中を散策することにした。
一応図書室の本でこの王都についてもある程度頭の中に知識は入っている。
この王都は歴史としてはこの世界でも大分古い部類に入るらしい。
その歴史なんと1200年。
この世界が出来てから5000年。
その中で色々な国が出来て滅んでを繰り返しているらしいがこの王都はその中でもかなり歴史が続いているようだ。
「らっしゃい!らっしゃい!キリキリ鳥の炭火焼きだよ!」
屋台の主人が客寄せをしている。
キリキリ鳥とは地球でいうところの鶏に当たるらしい。
つまり、鶏肉の塩コショウで味付けして焼いたようなシンプルな料理、ということだ。
「おっさん、一つくれ」
「あいよ!毎度ありがとな!もしかして魔物大量発生の作戦に参加してたのか?」
「分かるものなのか?」
「そんだけくたびれてる顔してたらな。…よしっ!これはおまけだ!もう一つ追加してやろう!」
「そんな、いいですよ」
「人の好意ってのは素直に受け取るべきだぜ!それにこの王都の平和を守ってくれたんだ。このくらいの恩返しはさせてもらわないとな!」
「そういうことなら…ありがとうございます!」
「いいってことよ!人生なんて一度きりの夢みたいなもんだ。だから簡単に死ぬんじゃねえぞ?またこの店に食べに来い!サービスしてやっから!」
「…はい。ありがとう、ございます…」
「おう!今日はゆっくり休め!明日のことはまた明日考えりゃあいい!俺から言えるのはそんくらいだ!悪かったな。おっさんの戯れ言に時間使わせちまって」
「いえ、そんなことありません。おかげで少し疲れがなくなりました」
「そうか?なら良かった。じゃあまた来いよな!」
「はい!」
屋台のおっさんはいい人どころか俺がこれまであってきた中でも最上級に素晴らしい人格を持っていた。
「美味しいな…」
キリキリ鳥の味はあの屋台のおっさんの人柄が移ったかのように優しく、それでいて深い味わいだった。
(絶対生きてまたあの店に行こう)
そうこうしているうちに七時半頃となった。
「とりあえず王城に帰って風呂でも入るか」
集合時間まで後三十分程しかないので急いで帰って風呂を済ませ、王城の前で待機していた。
「八時ジャストくらいか」
そして五分程待った。
「おーい、零さん!」
呼ばれたので振り返ってみるとそこには見知らぬ可愛い女性が立っていた。
「あの、どこかでお会いしました?」
「私です。アイリスです」
「…えっ!?」
「私そんなに変ですか?」
「いや、そうじゃなくって!なんかさっきまでとは雰囲気が違うというか、さっきより可愛いというか」
「か、可愛い…お、お世辞はいいんです!さあ、さっさと行きますよ!」
「え、あっちょっと待ってくれ!」
…俺なんかしたのかな?
やっぱり一瞬でも分からなかったのがいけなかったのかな?
そんな見当違いなことを考える零なのであった。
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「それで、どこに行くんだ?」
「とりあえず、ご飯を私のオススメの場所で食べましょう。話はそれからです」
「そういえば俺なんかと何を話したいっていうんだ?自慢じゃないが俺は弱いしあんたのような強くて可愛い人には話すようなことはないと思うが」
「ま、また可愛いって…いや、そうではなく!私が確かめたいことがあるんです!」
「は、はあ…」
「さあ!着きましたよ!」
そこの店の看板には大きく風見鶏亭と書いてあった。
ありきたりな名前だなとか失礼なことを思ってしまったのは心の内に隠しておく。
「へえ、中々良さそうな店じゃないか」
「そうでしょ?私が王都に来たらいつも寄ってるの。ここのお店のシチューが最高なのよ」
「そうなのか。じゃあ俺も頼んでみようかな」
幸い、普段使わないおかげで貰ったりしてるお金は全然残ってるから少しくらい散財しても問題は無い。
「いらっしゃい!あら、アイリスちゃんじゃないの!今日は彼氏連れなのかしら?」
「か、彼氏って…そそそ、そんなんじゃないですよ!」
「あら、そうなの?てっきりデートしてるのかと思ってたわ」
「デデデ、デートですって!?いや、確かにそう見えなくもないのかもしれないけど…」
「そんなんじゃありませんよ。それに俺なんかじゃこんな可愛い子には釣り合ってませんって」
「あらあら、彼氏さんに否定されちゃったわね」
「ま、また。また可愛いって…ぷしゅー……」
「ん?お、おい!どうした、大丈夫か!?」
「これは無自覚、天然ジゴロね!」
コントのようなやり取りをしつつ何とか席についてご飯を注文しアイリスの話を聞くことにした。
「で、話ってなんなんだ?」
「単刀直入に聞くわね。あなた、何か力を隠してないかしら?」
アイリスから切り出されたのは俺の力について。
だが俺にはそんな隠すような力もなく(会話力向上の裏の力は戦闘には関係ないので黙っておいた)、素直に俺にはそんな力はないと返したところ
「…やっぱり、勘違いだったのかしら」
「勘違い?」
「何でもないわ!ただの私の感だから。よく当たることで有名ではあるけどね。悪い方向の感は特に」
「じゃあ今回の感は一体何を告げてるんだ?」
「…降りかかる災厄。私でも止められないような怪物が襲ってくる。そしてそれを防ぐのは他の誰でもないあなただ、となんとなくそう思ったから今日あなたに問い詰めてみたんだけど宛が外れたわね。まあたまにこんなこともあるし気にしないで」
「でももし、その感が当たってたら俺はその時にはもっと強くなってるのかもしれないってことか…ちょっと期待だな」
「何を言ってるんだか」
今日は王都でのいい出会いやアイリスとのデート?も満喫出来たしゆっくり眠れそうだ。
また明日、頑張るとしよう。
アイリスと別れ、王城に戻った俺はそうそうにベッドに倒れ込み、深い眠りへと誘われるのであった。
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「グググ…グオオオオオーー!!!!」
アイリスのいう降りかかる災厄はダンジョンの中で着実に力を蓄えているのであった。
王都を混乱に招く悪魔の行進まで、残りはもうわずかとなっていた。
ここまで読んで下さりありがとうございました!
着々と進んでくる死の脅威。
それにどう冒険者、騎士、勇者は立ち向かっていくのでしょうか。
乞うご期待です!
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ミス等のご指摘もどしどし受け付けております!
それではまた次回お会いしましょう!