琴座の姫 転校生ライバル現る② 続き
こうして私、家具屋姫子はその日の放課後、美少女フィギュアを愛でる会の体験入部として、さっそく部室のドアをノックしたのだった。
コンコン
「あ、あの〜」
部長
「あ、見学の人ですね。ど、どうぞ」
姫子
「し、失礼しま……す」
部長
「き、き、緊張しなくていいんだよ。だ、だってこのサークルみんなおかしな奴ばっかりだし」
姫子
「え、おかしな奴なんてそんなこと……。
でも、ありがとうございます」
(うわぁ、何コイツ。ほんとにおかしな奴だ。
私の目どころか顔さえ見ずにさっきからずっと挙動ってやがる)
部長
「と、とところで君って美少女フィギュアに興味ある?最近はまどまぎとか等身の低い魔法少女を好む奴ら多いけど、僕的には魔法少女だとなのはたんみたいに等身の高い黎明期の作品のほうが愛着があって。あ、でもこっちはこっちでイリアたんとか美遊たんとか推しの娘もいて。あ、魔法少女の話ばっかりだとつまんないよね。君はエヴァのアスカとレイたんだとどっちが好き?
僕はレイたんかな。」
姫子
「ふふふ、そうなんですか。お詳しいんですね♪」
(ちょっと、顔近い近い近い!
貴様はパーソナルスペースって言葉知らんのか。
それにコイツ、好きな話題になった途端、手のひらを返したかのように急にペラペラ話し出した。
ちょ、早口過ぎてちょっと何言ってるかわからないって!
日本語プリーズ!
私に気に入られたいのか知らんが、相手の話を聞かずに自分の話ばっかりよくもまぁペラペラと。
普通、先ずは自分の自己紹介からだろ。
私は自分自身全然緊張しないだろうとたかを括りこいつら舐めてたけど、この状況は逆に緊張する。
こいつら攻略するの大変だな。
大丈夫か、私?
メガネ
「あの、横からす、すみません」
部長
「彼は副部長の阿仁目くん」
メガネ
「副部長で三年の阿仁目小宅です。よ、よろしくお願いします」
姫子
(なんだよ、こいつの持って生まれました的なキラキラネーム。
ま、でも言いたいことは3秒で伝わった。
つまり、オタクな)
姫子
「よろしく……お願いします。
私は……」
部長
「あ、ついでに僕は部長で三年の幼女珠巳。君は?」
姫子
(自己紹介今更? 遅えよ!)
「幼女、じゃなかった。
(あぶぬぇ)
部長で三年の幼女珠巳さんですね。
私は二年に転入してきました家具屋姫子といいます。
今日は一日体験に来ました。
全くの素人ですが、よ、よろしくお願いします」
こうして私は個性的な部員全員に自己紹介していき、ようやく波乱の体験入部の一日が終わった。
姫子の自室。
「あ〜、疲れたー! もう無理!」
姫子は部屋に入るとすぐにベッドに倒れ込んだ。
「お嬢様?」
「私は疲れているの。一体何よ、爺?」
爺は一人暮らしの姫子を心配して姫子の父親が雇った姫子専属の執事だ。
「ご学友の方からお電話です」
「何で? 固定電話は大学とビジネス相手にしか教えていないはずよ」
「それが、お嬢様に大事な用があると申されておりまして」
「もう、わかったわ、貸して!!」
姫子は爺から強引に受話器を奪い取った。
『あの、もしもし、あの、姫子さんですか?』
「あ、はあ。あなたどなたですか?」
『今日体験入部に来てもらった部長の幼女です』
「よ、幼女先輩! 大事な用って聞いたんですが、何かあったんですか?」
「じ、実は姫子さん今日スマホ部室に忘れてますよね?」
「あー!!」
姫子は思い出した。
部長が言うには、スマホはそのまま部室の金庫で預かってるから明日の放課後、部室に取りにきて欲しいとのことだった。
姫子は昨日のサークルにはもう行かないつもりだったが、誰にも見られたくないプライベートの情報が詰まったスマホを忘れた以上、自分で取りに行かない訳には行かず、次の日の放課後、重い足取りでまたあの部室へと向かうのだった。
姫子はスマホを受け取ったら直ぐに用事を理由に帰るつもりだった。
しかし、そこでまさかあんな光景を見てしまうとは、その時の姫子にはまだ知る由も無かった。
つづく




