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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
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第八十八話 イオリと組合への報告

 魔法の袋をリーン達二人に渡すことで収納に関する問題はなくなった。


「とりあえず、料理の収納ができる人員でパーティーを分けてみるか。そうすると、俺とソータと…… リーン達は二人で一組にしておくか」

「まあ、僕もそんな感じでいいと思います。ただ、リーンさん達は『収納袋』を持ってますし、購入用の資金もある程度の金額を渡すんですよね? であれば誰か護衛を付けたほうが良いと思います」

「たしかに」


 探索者の垂涎(すいぜん)の的である魔法の袋――ソータは『収納袋』と言っていたが――を持っているし大金も持たす訳だから、すでに別の組として行動する俺とソータは除くとして、ソータの言う通りフィーネかアイツのどちらかを護衛に付けたほうが良いかもしれないな。

 となると、と考えたところで……


「あ! じゃあ、それうちがやるぜ!」


 アイツが片手を上げ、ぴょんと俺達の前に躍り出る。

 どうやら、指名されるのを待たずにリーン達の護衛として立候補するようだ。

 フィーネも特に異存はないようなので、断る理由もないのですぐに決定する。


「じゃあ、護衛はお願いするとして…… 購入資金は――」


 歩きながらライアさんから受け取ったカード型の端末で資金の移動をしたり、組合への報告後の予定を大まかに決める。

 それらにキリがついたところで、俺たちは丁度組合へと到着する。


「さてと。じゃあ、組合に報告して来るから……」

「では、僕たちはロビーで待ってますよ。あ、カードを渡しておきますね」


 なぜ組合のカードを、と思ったけど、要するについでにカードの記録を更新して来いという事だな。

 確かに、その方が効率が良い。


「おっと、忘れてた。カードを預かるから出してくれ」

「イオリ様、カードをお渡しします」

「うちのカードも頼んだぜ」

「妾のもよろしくなのじゃ」

「おねがい、します」


 全員分の探索者カードを受け取ると俺は受付に向かう。


「じゃあ、改めて…… 報告に行ってくる」


 受付を見るとこちらに気が付いたのか、おいでおいで、と手招きしている職員さんが居た。

 たまに知り合いの職員が居ない時もあったけど、どうやら、今日はロニさんが受付に座っていたようだ。


「イオリ様、探索お疲れ様です。本日はどのような御用でしょうか?」

「とりあえず、カードの更新をまずお願いします」

「はい。ではカードをお預かりしますね。そういえば、まだ組合の口座はお作りになられていないですよね」

「口座?」

「ええ、基本的には探索者の資金は個人のカードで管理するのですが、大量の資金を保有している探索者に対しては、ランクにもよりますが、パーティーとしても資金の管理ができるように口座を開設することが可能となっております」

「なるほど。それって、銀行のようなものですか?」

「銀行?」

「いえ、なんでもないです」


 どうやら、パーティー用に資金を管理するための口座を作るできるらしいが、銀行とは違うみたいだ。

 いや、名称が違うだけかもしれないけど。


「では、その口座ですか? それの開設をお願いします」

「承りました。他に何かございますでしょうか?」

「あと、気になる事があったのですが……」

「気になる事、でございますか?」

「はい。昨晩、野営場所へ大量の魔物が襲って来ることがあって。撃退は出来ましたが、普段はこんなことってあるのかな、と」

「それは…… ここ最近(・・)は聞かなかったと思います。それは、何回層でどのぐらいの規模でした?」

「えっと、六十五階層で、そうですね規模は…… 後ろの方まではわからなかったですが、この組合のロビーの半分ぐらいの小部屋に隙間なく魔物がいるぐらいだったかと思います」

「そ、そうですか。今の時点では……」


 俺の伝えた魔物の規模に驚いたのか目を見開き、垂れ気味の犬耳もピクッと動くが、すぐに何事もなかったように装い、少し考えるような仕草をする。

 そして、すぐに軽く頭を振り、ニッコリと笑顔を見せる。

 なにか知っていそうな感じもしたけど、これ以上は俺に伝えるつもりはないようだし、まあ何かあれば知らせてくれるだろう。


「いえ、まだ何とも言えないですね。あら?」

「どうかしました?」

「いえ、今回、リーン様とソフィー様の討伐数が群を抜いて多いので…… 気を悪くしたら申し訳ありませんが、お二人を盾にして進んでいる、と言うことはないですよね?」

「え? ああ、そうか、そう見えるのか。いえ、違います。二人に経験を積ませるため、俺達が後ろから見守りつつダンジョンを繰り返し潜ってたのですが、そういうのってまずかったりします?」

「へっ? 繰り返し? ああ! も、申し訳ございません。見落としておりました。育成に関しては問題ございません」


 あんなちっちゃい子を盾にダンジョンを進んでいると早とちりを、と小声で言っていたけど、まあ分からないでもない。

 今の実力を考えると、以前に戦った『イーティングオーク』の人達に対しては、完勝は難しいかもしれないがもしかしたら辛勝ぐらいは出来るかもしれない。

 あの二人を心配しての事と分かるので、何かお詫びを、と言うロニさんに対して丁寧に断りを入れ、全員分のカードを受け取る。

 口座の使い方などを軽く説明され、あとは探索者の登録時に渡した手引書か、この冊子を確認してと渡される。

 とりあえず、俺は受付での用事は終わったのでロニさんにお礼を言って受付を離れる。

 離れたあと、後ろで、先輩に怒られるぅ、とか言っているのが聞こえたけど、聞こえなかったことにした。


「まずは報告してきた」

「まず? ああ、そういえば魔物の解体がありましたね。それ、次にしません?」

「ん? それは…… たしかに次でいいかもな。前回の分が随分と余っているし」


 ソータの提案に一瞬疑問を浮かべるも、フィーネ達の方を見る事でその疑問に対する答えが提示される。

 どうやら待っている間、料理の事をずっと考えていたためにお腹が空いてしまったらしい。

 八つの瞳が俺に向かって、魔物の解体でさらに時間が掛かるのは耐えられない、と訴えてくるのが感じられる。

 目は口ほどに物を言うとは、まさにこの事を言うのだろうな。


「そんなにお腹が空いているのなら、昼食は組合の食堂にするか?」

「いえ、私達は街でどこか探して食べようかと思っています。イオリ様、は決定として、ソータさんもご一緒しますか?」


 あ、俺に拒否権はないのか。

 まあ、特に断る理由もないからいいけど。


「僕は…… えっと、実はちょっと寄りたい所が……」

「ソータは、ガラク…… じゃなかった。骨董品や魔道具を売っている所を何箇所か見つけたんで、そこに行きたいらしいぜ」

「ふーん、そうか。じゃあ、俺はフィーネ達についてくことにするか」


 どうやらソータは、昼飯もそこそこに目的の店へと今すぐにでも直行したいようなのでここで別れる事にする。

 残された俺達は街の中をあっちへふらふら、こっちへふらふらと彷徨(さまよ)い、昼食が食べられる場所を探す。

 ただ、思っていたよりも昼食を提供している店が少なかったようで、結局は以前に来たことがある『隠された食事処』で食べることにした。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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誤字や脱字の指摘もあればお願いします。


次の投稿は投稿開始一周年記念として7月1日の予定です。


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