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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
82/107

第八十二話 イオリと過去の話②

前話と今話は、と言ったがあれは嘘だ...

口頭での会話と所謂脳内会話を併記した文は次回までのはず。


記述は


「口頭の会話文となります」

『思考共有での会話文です』


のような感じになっています。


「まあ、そういう事。『編集モード』を使ってみたいなら、さっさと『ライト』の魔法を覚える事だな」

『フィーネが住んでいた世界は、一言で雰囲気を表すなら、王道とも言える洋風な剣と魔法の世界だな」


「まあ、頑張ってみるけどさ何かコツとかあるだろ? こうやればいいとか」

『ほほー。和風もいいけど、やっぱファンタジーならうちは洋風が好きだな』


「コツか。うーん、普通は『ライト』の魔法を初めて覚えるらしいからな。逆になんで『ライト』が使えないのか聞きたいぐらいだ」

『そうか。まあ、食べ物は美味しかったし、街中も糞尿がそこらに落ちてる事もなかったな。聞いた範囲ではスラム街もなかったし』


「まあ、基本的にうちはそういう魔法よりも実践的なのを叩き込まれたし、特に必要になる場面もなかったしな」

『ふーん。あ、洋風ってことはお城もあったんだよな? なんちゃってな感じか? それとも、本格的な奴か?』


 フィーネの住んでいた城は、フィーネ達王族一族の名称を冠した、そう、たしか『エオライト城』と名前がついていたはずだ。

 その『エオライト城』は、こんな感じだったかな、と『思考共有』で再現する。

 かの城は、元々小高い山だった所の中腹以降を魔法でふっ飛ばし、城下町を作るとともに建築魔法、当時はまだ土属性の魔法に大雑把に分類されていた魔法でもって、数日のうちに東京ドーム数倍の広さがある基礎と城壁が築かれたという逸話があったりする。

 まあ、蛇足だけど。


「なるほどね。まあ『肉体強化』とかが使えるなら『ライト』もすぐできるだろう」

『ああ、城はテーマパークにあるようなでっかい城だった。大体、こんな感じだな』


 もっとも、城を再現するとはいっても細かな記憶はさすがに曖昧なので、細部はなんとなく雰囲気こんな感じで作ってみるが、まあ遠目から見ればそこそこ再現できているのではないかと思う。

 コイツも、俺が作ったお城を手元に移動させ、くるくると回転させたり拡大してみたり、逆に縮小させて全体を見てみたりと、結構気に入ったようだ。


「こ、これはかっこいいな。へー。ほー。ふんふん。うぅー、実物をうちも見てみたかったな」

『あ、そうそう。うちが使ってるのは『肉体強化』じゃなくて、『ストロング』って魔法だぜ』

「おーい、逆だ、逆。『思考共有』と話している言葉が逆になってるぞ、まったく。あー、これは城に夢中で気がついていないっぽいな」

『まあ、雰囲気が洋風で中世ヨーロッパ風だけど至る所に魔道具が使われてるから、もしかしなくても現代より進んでるかもしれないな』


 テイッ、と城に夢中な様子のコイツの頭を(はた)く。


「『いてっ! 何すんだ!?』」

「いや、『思考共有』と口で喋っている内容が逆になってたから、な。とりあえず(はた)いただけだ」

「そうか。うち、夢中になると『思考分割』が乱れちゃうんだよなぁ。ソータは2つ以上に分割しても大丈夫みたいだけど」

「ふーん。まあ、こういうのは慣れだと思うけどな、俺は」


 そんなもんか、と余り実感がない様子のコイツ。

 また『思考分割』を使いながら『思考共有』と口での会話を再び始めたので俺もそれに付き合う事にする。


「えっと、何だっけ? そうそう『ライト』の魔法か。まあ、やってみるけど。コツとかはあるのか?」

『ふーん。ってことは現代知識でチートして俺TUEEEとかは出来なかったって訳か。まあうちもだったけど』


「コツか…… そうだな『ライト』の魔法には極僅かな魔力で十分だから、一気に魔力を注ぎ込まないこと、かな?」

『まあそうだな。それでも魔法に頼らない部分では、俺の知識も多少は役に立ったかな。本当に多少は、だけどな』


「うーん? 少しずつ、ってのは何でだ?」

『へー。具体的にはどんな事やったんだ?』


「そうだな、実際に見てもらった方が早いか。魔力を一気に注ぎ込むと、だな……」

『それは…… あ、その前に目が潰れるかもしれないから(つぶ)っておけよ?』

「『へっ?』」

「じゃあ行くぞ」


 それっ、とばかりに『ライト』の構築時に魔力を多少多めに注ぎ込み魔法を起動させる。

 すると、ほんの一瞬の間を空けて目が潰れんばかりの輝きを放ち『ライト』で作られた光源が俺の手のひらに浮かぶ。


「うわっ! め、目が〜!!!」


 一応警告したはずだけど……

 目の前のコイツはある意味お約束なのか薄眼を開けていたため、光源をまともに見てしまったようで目を抑えながら地面をゴロゴロとしばらく転げ回っている。

 手のひらの上の光源は、さすがにいつまでも出していると眩しいし話が進まないので、すでに魔法は止めてある。


「で、魔力を少しだけにする理由は、分かったか?」

『えっと。ああ、俺の知識が役に立った事だったか』


「うぅ、分かった。身をもって学んだぜ…… 全く酷い目にあった」

『ぬぅ。ああ、そうそう。何か役に立った知識とか教えて欲しいな』


「まあ、その身をもって体験したと思うけど魔力を注ぎ過ぎるとこういう失敗も起こるから注意な」

『うーん? 分かりやすい所だと、これから使おうとしている『編集モード』が、まさにそれだな』


「ふーん、何かそれはそれで、目潰しとかの攻撃に使えそうな気がするな」

『ん? いきなりそれ? ちょっと想像が出来んのだけど、どういう事?』


「たしかにそういう用途にも利用されてたけど量を間違えて自爆する事もあるからそこまで便利じゃなかったな」

『ああ、中学の時にコンピュータの授業あっただろ? 授業の内容というよりは教科書の内容が役に立ったかな』


「うへぇ。まあ、そうならないように慎重にやってみるけどさ、ちょっと不安だな」

『なるほどね。うちはあの授業は苦手だったかな。イマイチよく分かんなかったし』


「まあ、慎重にやればそこまで酷いことにはならないさ。なっても眩しくて転げまわるぐらいさ」

『魔法で何でもできるから手順を踏んで何かをするってのは遅れている部分があったみたいだな』


「そ、そうか。まあ、頑張ってみるぜ」

『へー。その他にも何かあったのか?』


「じゃあ、俺はその間、別のことやってるから。出来たら教えてくれ」

「あとはそうだな。既にある魔法を基にして新しいの作ったりかな?」


「分かった。じゃあ、やってみるか。えっと、魔力を少しずつ少しずつ、だったな。よし、少しずつ」

『ふーん。じゃあ、魔法以外で有名なのは? 例えばマヨネーズとかポンプとか。あと、そうだなー』


 一応は俺の助言に沿って『ライト』の魔法を使おうとしている。

 けど、逆にそれを意識し過ぎて何がか危なっかしいので、別の事をすると言いつつ、アイツの手元が気になってしまう。


「ずっと見ていてもしようがないな。とりあえずは自分の方を進めるか。えっと、これはこうだから……」

『ああ、その辺な。全部あった。鶏っぽい家畜の産んだ卵はすぐに『洗浄』で洗うから生でも食べれる』


「『……』」


「うん?」

『おーい』


 手元では何かやっているようだけど『思考共有』も無言になってしまったので呼びかけるがしばらく反応がなかった。

 どうやら、コイツは集中すると『思考分割』を使っている意味がなくなるらしいな。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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次の投稿は5月26日の予定です。

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