表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
77/107

第七十七話 イオリとフィーネやリーン達の戦い

 カンッ! カンッ! ガッ!


 フィーネは自身の身の丈以上の大剣を操り、まるで舞うようにオムスさんが繰り出す槍と打ち合う。

 オムスさんの方はフィーネの操る大剣と打ち合うごとに感じる想定以上の剣圧のためか、うっすらと冷や汗をかいているようだ。

 一方のフィーネは涼しい顔をして打ち合っているが、彼女が大剣を操ると剣自体の重さに魔法で大幅に増加した筋力が加わることで、オムスさんは、まるで大男が全力で剣を振り抜いているかのような圧力を感じていると思う。


「口で言うだけのことはあるな。ふっ! だが、まだまだ、だな」

「お褒め頂き光栄です。では、もうすこし早くしても、大丈夫ですよね?」

「へっ?」


 カカンッ! ガッ! ギンッ!


 俺から見ると、オムスさんの方は強がりを言っているようにも見えるが、はたして。

 フィーネはオムスさんの返しに特に思うことはないのか、大剣の繰り出す速度をさらに早くする。


 カカカカンッ!


「ちょ、ちょ! まっ」

「あら? もう少し早くしても、大丈夫そうです、ねっと」


 フィーネは少し打ち合う速度を上げて様子を見るかのようにオムスさんの様子を伺う。

 少し必死になってフィーネの大剣を槍で受けているオムスさんに気がついていないのか、それとも気がついていて無視しているのか、まあ、おそらく後者だと思うけど、まだ大丈夫そうだと判断し、さらに右へ左へとオムスさんを翻弄し始める。


 カカンッ! ガンッ!


「「あっ!」」


 フィーネの猛攻に耐えきれなくなったのか、オムスさんが持つ槍が手からすっぽぬける。

 最終的に明後日の方向に飛んでいった槍は訓練場の壁に突き刺さる。

 幸いにして、人のいる方とは外れていたので誰も怪我をしていないが、まあ、飛んできたら飛んできたで、俺やソータなど誰かしらが対処していたとは思う。

 ともかく、試合を振り返ると、フィーネがそう仕向けていた部分もあるのだろうけど、結局のところはオムスさんが大剣を受け流すこともせずにまともに受けていたことが原因だろうと思う。

 受け流すことをせずに、槍で全て受けていれば、今回のように手に負荷がかかり結果として武器を取り落としてしまうのは、ある程度予想できることだ。


「えっと…… まだやります?」

「武器もないですし無理ですね。まあ、たとえ武器が有ったとしても今の私だとあなたに勝てるイメージが湧かないですね。なので、降参します。あなたに認められている彼」


 フィーネとオムスさんとの試合は、開始数分であっという間に決着がついてしまい、ドナドさん含め『イーティングオーク』の面々は、口をあんぐりと開けて呆けている。

 あ、呆けているのはロベルトス支部長も同じだな。


「えっと、ロベルトス支部長さん?」

「あ、ああ。『ストレンジャーズ』所属のフィーネの勝ちだな」


 さて、次はリーンとソフィーの番だけど、さすがに今の二人では勝つのは難しいはずだ。

 ある程度連携が取れているとは言え、対人戦は初めてだろうし、そもそも実力も多分上だろうから連携に綻びが出れば底を突かれ一気に劣勢になるだろうな。


「じゃあ、次は妾達の番じゃな。ソフィーよ、当たって砕ける覚悟で行くのじゃ」

「大丈夫。くだける」


 覚悟を決めるのは良いけど、砕けちゃ駄目だからな、ソフィー。

 とりあえず、まずは二人のお手並みを拝見しますか。


「よろしくお願いするのじゃ」

「おねがいします」

「うす、よろしく」

「よろしく」


 中央に集まり挨拶をすると、一旦中央から距離を取り、再び二組は向き合う。

 両者ともに片方が魔法使いなので今回はある程度離れたところから試合を開始するようだ。


「じゃあ、『イーティングオーク』のエブヤ・ヴノバ組も『ストレンジャーズ』のリーン・ソフィー組も準備はいいな? ……始め!」

「ソフィーよ、先制攻撃なのじゃ!」

「ん、まかせて」


 リーンが魔法で牽制をしつつ、ソフィーが近づいて倒す作戦のようで、リーンが魔法を放つと同時にソフィーも相手へ向かって駆け出していく。

 相手も同じように近づいていたため、あっという間に両者は接近し、戦い始める。

 残念ながらソフィーの一撃目は相手の盾で止められる。

 その後も訓練場内に鈍い音が響き渡るが、ソフィーの攻撃は受け止められるか盾で衝撃を上手いことそらされ、エブヤさんへ攻撃は一切通っていない。


 ガンッ! カンッ! ガンッ! ガンッ!


「むぅ。その盾、邪魔」

「うす。嬢ちゃんの攻撃もなかなかだけど、まだまだおれっちを突破するには力も技も足りないっすよ?」


 何とか、攻撃を通してさっさと後ろに居る魔法使いへ攻撃をしたい様子のソフィーだけど、今のところ攻撃の全てがエブヤさんの両腕の盾で防がれている。

 そのため段々と焦りが出てしまい攻撃が雑になってきている。

 当然のことながら、対人戦ではソフィーの一歩も二歩も先を行くであろうエブヤさんはそんなすきを見逃さなかったようだ。


「ほらほら、右側ががら空きっすよ? 今度は左っす」

「わっ! と、とっと。いい加減、倒れて、欲しいの」

「ほらほら、早くしないと、後ろのほうが先に決着が着くっすよ? おっと」

「くっ」


 さらに時折ソフィーを煽るような言葉を投げかけてくる。

 対人戦はこういう心理戦の要素もあるから、対魔物とは違った難しさがあるんだよな。

 さて、ソフィーの後方で戦っているリーンも、ソフィーと同様に攻めあぐねているようだ。


「なぁー! 当たらないのじゃ。何故なのじゃ!」

「いやー、そんなへなちょこじゃ、掠りもしないでスよ?」

「こ、これでどうなのじゃ!」

「おお、怖い怖い。それ、それそれそれ」


 ソータ達から買ってもらった新しいスタッフを使い、リーンは主に火属性の魔法を無詠唱で構築し相手へと放ち攻撃している。

 もっとも、いくら魔法を放つ間隔が短かろうが威力が大きかろうが当たらなければ全く意味はない。

 リーンは煽られるまま、無駄に魔力を消費しながら魔法を放つが、ヴノバさんが、自身が放つ魔法で魔法を逸したり途中で誘爆させたりしているために、まったく攻撃が届いていない。

 攻撃が全て無駄に終わっていることに気が付かずに魔力を消費するリーンに対して、ヴノバさんは、リーンからの攻撃を防ぐとともに、少しずつであるけどリーンに攻撃を通している。

 うーん、二人ともがこうも煽られやすいとは、やはり試合を受けて正解だったな。

 俺が見た感じでは、力自体はそこまでかけ離れていようだけど、多少の技と経験の差が絶望的までに二組を隔てているようだな。

 さてはて、どうやって鍛えるかなぁ、と腕を組んで暫く考え込む。

 と、どうやら試合の方は膠着状態から動きがあったようだ。


「じゃあ、そろそろ決着をつけるっすかね?」

「まだ、負けない」

「そおっすか。じゃあ、こんなのはどうっすかね?」

「えっ? わっ、くっ」

「それそれそれっす」

「このっ。ぐっ!」


 盾で攻撃を受けている最中に盾を引いたり、逆に攻撃に合わせるように盾を押し出したりと、先程までにはない動きでソフィーを翻弄しだすエブヤさん。

 これは完全に、エブヤさんが戦いの流れを握ったようだな。

 お、エブヤさんは後ろのイシニナさんと合図をしたようだけど、ソフィーからは盾に隠れていて気が付かなかったかもしれない。


「そーれっす」


 ガンッ!


「がふっ!」


 エブヤさんがソフィーの攻撃に合わせるように力一杯盾を振り抜き、そのまま結果を見届けること無く中央付近を駆け抜けリーンへと向かう。

 と、同時にイシニナさんの方も、攻撃対象をソフィーへと切り替えたようだ。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

感想、評価、ブックマークを頂けると励みになります。

誤字や脱字の指摘もあればお願いします。


次の投稿は4月21日の予定です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ