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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
71/107

第七十一話 イオリと五十層目

さすがに、ずっと一週間以内に投稿するする詐欺はどうなのかと思いますので、ストックが貯まるまで金曜日固定で投稿していきます。

「うりゃー! 朝だぜ!」

「ふがっ!」

「ん、朝。みんな、起きる」


 朝が来る。

 そして、アイツは若干乱暴に俺を起こし、ソフィーの方と言えば丁寧に俺以外を順番に起こしていた。

 どうやら、不謹慎ながら襲撃を若干期待をしていたのだけど…… 結局の所はその期待は裏切られ、何もなく朝が来たようだ。

 どうやら、俺もフィーネやアイツのことを言えないようだ。

 ソフィー以外は昨日の時点で覚えてしまった『アラーム』については、ソフィーも何とか覚えることが出来たようで、リーンと一緒に喜んでいた。


「朝飯を食べて、さっさと探索の続きをしようぜ」

「おいおい、ダンジョンは逃げないんだから、そんなに焦るなよ。とりあえず、まずは朝飯を食べよう」


 今にも朝食を抜いて探索をしようとしているアイツを宥め、昨晩と同じように弁当を『倉庫』から取り出し中央に並べる。

 そうだ、昨日の反省を踏まえて、残ってしまいそうなご飯は先におにぎりにでもしようか。

 手の汚れを『洗浄』で綺麗にし、まずは、分けたご飯を適当に手に取り、その中央におかずを少し入れて、あとは三角になるようにおにぎりを握っていく。

 俺個人の好き嫌いで言えば俵型なども悪くないけど、やっぱり三角形のほうがおにぎりは手作り感があるので好みだ。

 途中で何をやっているのかフィーネ達三人は勿論のことリーン達も気が付き、同じようにおにぎりを握ろうと無造作にご飯を手に取りそうになるので慌てて待ったをかけ、全員の手を俺と同じように『洗浄』で綺麗にする。

 リーン達も俺たち四人のやることを不思議がることもなく、見様見真似で若干手付きが怪しいがおにぎりを握っているのでこの料理をどこで知ったのか聞いてみるが、納得の答えが返ってきた。

 どうやら、おにぎりはお米を使った料理としてはそこそこ有名の方で、よくよく思い返せば、そこにあるのが自然で忘れていたが、たしかに今回は買わなかったけど『手作りお弁当屋さん』でも扱っていたな。

 ともあれ、握り終わったおにぎりはどうするかと考えていると、ソータが少し大きめのお皿を取り出したのでありがたくそこに並べていくことにする。

 今朝はそこまでの弁当を出していないので、余ることはないとは思うが、もし余ったら『倉庫』に入れておけば、腐ることもないので食事の準備が多少楽になるな。


「「いただきます」」


 ご飯と分けられたおかずと、パンや先程握ったおにぎりを主食として朝食を食べていく。

 流石にジュース類はないし、コーヒーもない。

 そもそも俺達は、水は魔法で作れるから問題はない。

 今日の探索目標や階層、あとは探索時の並びなどをおにぎりを片手におかずを食べながら決めていく。

 とりあえず、今日の最低限の目標は五十層と決める。

 もう流石にリーンたちだけでボスを倒すのは無理なので、各階層のボス部屋にボスが居た場合は俺達が手伝うことにする。

 ボス以外の階層内の魔物については、今のところ何とかなっているので、もうすこしそのまま任せることにする。


「「ごちそうさま」」


 さっと勢い良く飛び出しそうだったアイツは飛び出す前にソータに捕まえられている。

 まったく、先の話を聞いていなかったのだろうか?

 

 さて、今のところの階層内の探索は順調だ。

 ソフィーを後ろから支援するリーンには『広域空間把握』の魔法を昨日と同じように使っているため、その進みも迷いがない。

 そうそう『広域空間把握』は、以前から改良を加えていたけど、今居る地点を中心にして索敵をして自動で地図を埋める機能を加えることに成功したので、これを期に『自動地図』と名称を変えることにしたんだった。

 俺が見つけた『編集モード』では魔法やスキルなどに機能を加えた場合には名称を変更することが出来る。

 もっとも、変更が出来るのだけれど、良い名称と言うのはなかなか思いつかないので、後でも変更できることについつい胡座をかいてしまい、結局ずるずるとそのままにしていることが多い。

 たださすがに『広域空間把握』は名付けに失敗した気がしていて、以前から思っていた機能を加えることが出来た今回、名称を変えることにした。


「なにやら、昨日と違いすで階層内の殆どの場所が地図に描かれているようなのじゃが、妾の勘違いであろうか? あと、この動いている点は何じゃ?」

「ああ、勘違いじゃないぞ。この魔法は今日から『自動地図』と呼ぶようにしたから。それで、動いている点は近くの魔物を示している」

「『自動地図』? ぬしは新しい魔法を作ったのじゃ? 新しい魔法は古の賢者が作り出したという伝説が――」

「リーン、リーン?」

「ん? 何じゃ? ふぎゃ。痛いのじゃ」


 なにか、リーンがブツブツと呟き考え出したので、デコピンをして叱っておく。

 俺達が居るとはいえ、流石に探索途中に考え事は不味いからな。

 まあ、予め話しておかなかった俺が悪い面もあるかもしれないので強くは言えないけど。


「すまんのじゃ。ソフィーも、ゴメンなのじゃ」

「ん、問題ない」

「まあ、落ち着いてから詳しい話をするから、とりあえず後回しで」

「わかったのじゃ。ぬしは秘密が多いの」

「ああ、今回のは秘密じゃなくて単純に探索時の考え事は危ないってだけだからな。俺達が居るとはいえ、気を緩めて良いわけじゃないからな」


 その後も、『自動地図』が示す最短距離に従い問題なく階層内を進み、ボスを倒して、どんどん階層を進め、今現在は四十七層目に居る。


「流石にこの階層に出てくる魔物に対してはなかなか梃子摺(てこず)っていますね」

「まあ、しょうがないな。『サンダーウォーウルフ』は素早いし魔法も強力で、『オーガ』とかは力が強いしな。ただ、それでももう少し行けそうだけどそろそろ手伝ったほうが良いかな」


 流石に、この階層になると階層内の魔物でも侮れないらしく、リーン達が怪我をすることも多くなってきた。

 ということで、戦いたくてしょうがないアイツらを投入することにした。

 扱いが雑だけど、まあしょうがない。


「さて、お待ちかねだ。流石に、リーン達では荷が重くなってきたから手伝って来てくれ。ただ、あくまで手伝いだからな?」

「おっ! やっとか、待ちかねたぜ」

「分かりました。任せて下さい!」


 本当に分かっているのだろうかと二人のやり取りを聞きながら内心思っていたけど、顔には努めて出さないようにする。

 バレると二人して絡んでくる未来しか見えないしな。


「せいっ! はっ! ん、どした? フィーネ? 何か気になることでもあったか?」

「うーん? あっ、えっとですね、やはりリーンさん達の手助けは私達で一人づつ、そうですね、一階層ごとに交代に、としませんか?」


 さすがに前衛が三人に、しかもそのうち二人はもはや過剰戦力と言ってもいいぐらいの、となるとさらに階層内を進む早さが上がる。

 もっとも、さすがに二人も要らないと気がついたのかフィーネが提案しアイツも思うところがあったのか自主的に交代でリーン達を手助けすることにしたようだ。

 

 結局あれからしばらくして、五十層に着いた。

 答えは分かりきっているけど、戻るか進むかをフィーネ達に聞いてみる。


「とりあえず、区切りの階層に着いたけど、一旦戻るか、それとも進むか、どうする?」

「え? 答えなんか分かりきってるじゃん」

「そうですよ、まだまだ行けます」

「ん、頑張る」

「妾も大丈夫なのじゃ」


 と、案の定の答えが返ってきたが、ふーむ、予想よりもこのまま進む側の賛同者が多いような気がするな。

 もっとも、リーン達はこのあたりの階層の魔物には歯が立たなくなっているので、進むのに賛成でもそうでなくても俺達のところまで下げるのだけれど。

 その代わりと言ってはなんだけど、フィーネ達が前衛として嬉々として魔物を屠っているので、俺達は後ろからの襲撃に気を付けながらもどんどん階層を進んでいる。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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誤字や脱字の指摘もあればお願いします。


次の投稿は3月10日の予定です。

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