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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
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第六十八話 イオリと探索再開

 翌日、朝早くに目が醒めてしまった俺は諸々の準備を、まあ、実際のところは準備とは言っても食料は十分に買い込んでいるし、泊まりの準備もしばらくは現状の装備で問題ないので、すこし広げていた荷物を片付けるだけなのだけど。

 準備が済んだ時点で、約束の時間までまだしばらくありそうだったので、この際だからと宿泊施設から組合へと移動し、前回うっかり見落としていたあれこれを組合の資料室で調べることで時間を潰すことにする。

 まあ、資料室が空いていなかったらその時はその時だ、と思いながら組合の入り口を入り、資料室へと進む。

 資料室の入り口を見ると、扉が閉まっていて入れない、と言ったことはなく、問題なく入れそうだ。

 ……さすがに二十四刻(24時間)開いている、と言うことはないよな。

 後で聞いた話によると、一応は日の出を一刻過ぎた後(朝の8時ぐらい)から開けるようだけど、当直の人によってはもっと早い時間から開いていることがあるようで、今日の当直の人は早起きだったようだ。

 結局、しばらく資料室で調べた後、それでもまだ少し集合の時間には早かったので、宿泊施設のロビーの開いている席に座った後は、『編集モード』で魔法を弄りつつ、皆が起きてくるのを待っていた。

 しばらくすると全員が集合し、すぐにでもダンジョンへと出発する勢いだったけど、それは少し我慢し、朝食を組合の食堂でしっかりと食べてから出発する。

 ちなみに、ソータから聞いた話によると、朝からダンジョンへ潜る探索者のうち半数ぐらいは朝食を食べずに行き、更にその半数ぐらいが途中で朝を抜いたことを後悔すると言う話らしい。

 

 朝のあれこれを思い出していたが、俺達は今、ダンジョンの二十階層に着いたところだ。

 リーン達にとっては、このダンジョンを探索するのは初めてなので、一階層目から潜ってみるほうが良いだろうと潜って見たところで、どうやら低層の魔物では全く相手にならない、と言うことが分かった。

 そういえば、潜るといえば、この世界のダンジョンと言われるものについて、潜る、とか深層、とか言っているけど、実際の所は潜っているのか、登っているのだろうか、はたまた、完全に別空間に作られているのか、未だ結論は出ていないらしい。

 まあ、それはともかくとして、二人がそんな状態だったので、一旦ダンジョンを抜け、改めて俺達が転移で潜れる、二十階層へと転移してきた。


「さて、リーンとソフィーは注意な。出てくる魔物の種類が変わって、強くなっているのはもちろん、連携も上手になってきているからな?」

「わかった」

「了解したのじゃ」

「ちなみに、この付近の階層では主に魔狼種が出てきますから、ソータくんも言っていた通り気をつけてくださいね、本当に。そして、基本的にはリーンさんとソフィーさんが主となって探索してくださいね」


 そうは言っても、自覚しているのかしていないのか微妙なところだけど、俺も含めて過保護な連中には事欠かないこのパーティーのことだ、実際の所は危なくなったらある程度で手出しをするんだろうな、と。

 おっと、忘れずに『広域空間把握』を使っておこう。


「ぬぁ! な、何じゃこりゃ?」

「ん? どうしたの?」

「驚かせたか。今リーンの目の前に出ている、それは自動的にダンジョン内を記録して地図にしてくれる…… って聞いてる?」


 突然、目の前にガラス板のような何かが出てきたら、まあ驚くだろうなとは思っていたけど、ここまで騒ぐとは。

 今も、体の向きを変えると着いてくるのじゃ、とか、わたしには見えない、ずるい、とか、大騒ぎしてる。

 ある意味で年相応の好奇心を持っている、ということの現れなのかもしれない。


「は、恥ずかしいのじゃ。ついついはしゃいでしまったのじゃ」

「おなじく」

「まあ、新しいものに興味を持つのは悪くはないけど、話は聞こうな」

「ごめんなさいなのじゃ」

「ごめんなさい」

「うん。じゃあ、続きな。えっと、この魔法で地図が出来るから、ダンジョンの探索はソフィーが主に魔物を倒し、リーンはその補助。進む方向は地図を見ながらリーンがソフィーに進む方向を指示して欲しい」

「……わかったのじゃ」

「ん。了解。あっ、倒した魔物は、どうする?」

「ああ、魔物は後ろを歩く俺達が回収するから気にしなくてもいい。まあ、できれば綺麗に倒してくれると嬉しいけどな」


 ダンジョン探索の進め方を二人に指示をする。

 要するに、俺達がやっていたような感じだけど、たぶん普通の探索者はこんなことはやっていないんだろうな。

 指示を伝えている最中から、リーンは何か聞きたいことがあるような顔をしていたので、ついでに聞いてみる。


「リーン、何か聞きたいことがあれば遠慮なく言って欲しいんだけど?」

「……わかったのじゃ。えっとじゃな、これは魔法、とお主は言ったのじゃ。が、このような魔法は大昔の賢者が使っておったが、もはや廃れているか、使えても実用にもならない程度と、妾は兄様達に聞いたことがあるのじゃが……」


 つい、ソータと顔を見合わせてしまったが、何の話かと思えば、今さっき使った『広域空間把握』のような魔法は、今のこの世界ではほとんど使い手が居ないのになぜ、という類いの話のようだ。

 ソフィーの方は話の流れがよく分からずに首を傾げているが、リーンの方は魔法を主に使うだけあって気になってしまったようだ。

 実際問題としては、俺達がどこから来たか、と言う話はどうしても秘密にしないといけないような話でもない気はするけど、どこまでやれるかがわからない現状では目立つのはよろしくないと考えて伝えては居ない、と言った状況となっている。

 まあ、目立つ目立たないで言うと、もはや十分に目立っているのかもしれないけど。


「うーん、そうだな。とりあえず、少なくともリーンの考えているような生い立ちではない、と今はしておこうかな」

「まあ、たしかに僕達については説明が難しいですね」

「とは言っても、私は隠すほどではないと思いますけど、積極的に話す内容でもないですね」

「だな。まあ、どっかのタイミングで打ち明ければいいんじゃないか?」

「まあ、そういう訳なんで、とりあえず今は、使えるものはしょうがない、ということで納得しておいてくれ」

「わかったのじゃ」


 とりあえずは納得した様子のリーンは、ソフィーを先頭にして、目の前の地図を見ながら、時折ソフィーへと指示をしつつダンジョンを進む。

 まだまだ余裕はあるようで、ダンジョンの進む早さはすでに出来上がっている地図があるために、俺達ほどではないけど、それでも少なくともこの付近の階層でまれに見かける探索者のパーティーと比べると、かなり早い進みでダンジョン内を探索していく。

 そうして、ソフィーを見つけ、リーンが立ち塞がっていたボス部屋がある階層を越えて、俺達全員が初めてとなる階層へとやって来た。

 ここまでの階層に居たはずのボスは、主にフィーネやアイツ、そしてソフィーにとっては残念なことのようだけど、倒されていたり、タッチの差で別のパーティーが倒してしまったために、そのまま何事もなくボスの部屋を素通りしてここまでこれた。

 俺達にとっては、誠に遺憾ながらバトルマニア(戦闘狂)が一人増えてしまったことが判明した訳だけど。


「さて、ここから俺達も潜ったことがない階層なので、当然のことながら地図も完全な白紙だ」

「そうだね。なので、まあ分かっているとは思うけど気をつけて進んでね。一応は僕達も手助けはするけどね」

「わかった、気を付ける」

「わかったのじゃ。ソフィーが危なくないように、妾も気を付けるのじゃ」


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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次の投稿も一週間以内の予定です。

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