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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
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第六十七話 イオリと街歩きの成果報告

なんとか、なんとか。

 ルクさんの、おっと、ルクさんは店長代理だからルトトさんの店っていうのが正確だと思うけど、それはともかくとして、店を出た俺達は街をぶらぶらと散策することにした。

 相変わらず、篭手をニコニコしながら撫でているソフィーを先頭にして俺たちは街の中を歩く。


「お、なになに? 『鷹の羽休め亭』? 看板からすると宿屋かな?」

「そう、みたいですね。ここは一階が酒場で二階からが部屋になっているみたいです」


 宿屋に、酒場。


「ん! 雑貨屋見つけた」

「へー、『ミンティアナの雑貨屋』とまた違った感じだな。陳列もちょっとごちゃっとしてるし」


 雑貨屋に古着屋。


「イオリ様! 鍛冶屋さんです」

「あ、ちょっとフィーネ」

「……いまいちでした」

「そうか」


 鍛冶屋に武器屋、防具屋。

 ちなみに、武器屋と鍛冶屋は何が違うのかと言うと、一番大きな違いは武器屋は自分で武器を作らないところだ。

 これは、看板にも現れていて武器屋は二種類の剣が交差している意匠で、鍛冶屋の方の看板は剣と金槌が交差している意匠となっている。

 基本の看板はこんな感じで、店ごとに武器屋の場合は二種類の剣が異なっていたり、看板の形が丸型だったり四角だったり、枠が付いていたり店の名前が入っていたりと、よく見ると少しづつ違いがあり、それぞれの店で個性が出ているようだ。


「あ、魔道具店ですね」

「ん!」

「たしかに、魔道具店の看板は魔石が意匠なんだな」


 街の中を歩いている中で見つけた魔道具店は、なかなか新鮮だった。

 ライアさんの店では魔道具という魔道具は借金の方として没収されていたようなので、店内の棚に所狭しと並べられている魔道具を見るのは楽しい。

 水筒やコップ、筆記具のようなものから、半透明なキューブ内に球状の物が固定されているものなどのひと目では使い方がわからないもの、あとは商品名だけ書いた札だけが置いてあるものや、何に使うかよくわからない形のものなど、魔道具と言っても形状は様々なようだ。

 一応、商品の説明もあるけど、キューブ状の魔道具は中心の球の色が違うだけであとは同じ見た目なのでひと目では分かりにくい。


 宿屋、酒場、雑貨屋、古着屋、鍛冶屋、武器屋、防具屋、魔道具屋、などなど色々な店をあるき回り、そして見て回ったが、実際の所は街の四割も見ていないのではないかと思うぐらい、意外とこの街は広かった。

 まあ、店の質と言うか、品揃えに見る優劣は、まさに玉石混交で、今日寄った店と俺達が組合や紹介された店からさらに紹介された先の店を比べて見たところ、中の上、と言った感じだな。

 最初に入る店としては十分だし、何も知らない状態でとんでもない武器屋などを仕入れるよりもよっぽど良いと思う。

 まあ、それでも中には安い所へ流れていく人もいるし、その逆に現状に満足できずに上質な武器を求めようとする人もいるだろうと思うが、そんな人たちの需要もこの街なら満たしてしまうのだろうと思う。

 ちなみに、ライアさんの店は、今は開店休業状態とは言え、流石に魔道具の組合長をやっているだけあり、今日見て回った魔道具のと比べて頭一つ抜け出ている感じがする。

 なんだかんだ言って、街の中を回るのは楽しかったが、如何せん街が広いから歩き回るのが、辛いとまでは言わないけど面倒だな。

 馬車とまでは言わないけど街なかを駆け回れる魔道具などはないのだろうか?

 ライアさんに今度聞いてみよう。


「しかし、意外と広いですね、イオリ様。体力的には疲れてはいませんが、時間的には辛いところですね。もう夜になりそうですし」

「だな。たしか、この街は元は従属国って言ってたから、広いのも仕方ないかもしれないな」


 ここロブアグリード街は、買い取り受付のジンさんの話だと、昔々は国だったらしいけど、今は組織立った組織はというと各組合ぐらいしかない状態なので、もはやその面影もなさそうだな。

 どうやら、この街自体は壁に囲われていて外からの魔物の侵入を防いでいるようだけど、俺たちは街の中に突然現れたわけだから、壁自体は見たことないな、そういえば。


『おーい! うちらは組合に着いたんだけど、そっちは今どこにいるんだ?』

『ああ、もうちょっとで組合に着くから――』

『了解!』


 話の途中で切られたよ、せっかちだなまったく。

 とりあえず、あいつらは組合に着いているらしいので、俺たちもすこし急ぐとしよう。


 ほどなくして組合に着き、中へと入るとリーンが飛び出してきてソフィーに抱きついた。

 どうやら、すぐ近くのテーブルで俺たちが来るのを待っていたようだな。


「ソフィーよ、見るのじゃ。新しい腕輪を手に入れたのじゃ! む! も、もしやその籠手は!」

「そう。この籠手は、新たに、手に入れた物。ナイフも、ある!」


 リーンはスタッフでは無く腕輪にしたみたいだ。

 ソフィーとリーンの二人は新しく手に入れた装備を見せ合い楽しそうにはしゃいでいる。

 そういえば、ソータ達は何か面白そうな店を見つけたのだろうか?


「なあ。俺達と別れ得てから面白そうな店はあったのか?」

「うーん、そうですね……」

「なあ、そろそろ飯行こうぜ。もうお腹ペコペコだ」


 おっと、腹ペコ大魔王のお出ましのようだ。

 ただまあ、アイツの言うとおり、俺もそろそろ腹が減ってきたところだし、たしかに今日の成果なんて夕飯を食べながらでも話せばいい話だな。


「二人共、はしゃぐのはそこまでにして夕飯を食べに行きませんか?」

「わ、わかったのじゃ」

「ん!」


 そろそろ二人に声を掛けて夕飯を食べに行くかと思ったら、フィーネが先に声を掛けてくれた。

 ありがとな、とフィーネにお礼を言うとこちらを見て嬉しそうな顔をする。

 そんなフィーネをずっと見ているのもいいけど、ソータ達の方を見るとすでに組合の二階にある食堂を目指して移動を始めているので慌ててフィーネと二人で追いかける。


 入り口近くの端末で注文をする。

 端末内のメニューを見ると、今日のおすすめはオーク肉のステーキのようなので、せっかくだから頼むことにしよう。

 料理を受け取り、さてどこだろうか、とパーティーメンバーを食堂内で探す。

 ほどなく食堂の隅の方で手を振るソフィー達を見つけたのでテーブルの間を縫うように進み;;席にたどり着く。

 同じぐらいに注文したフィーネもすでに席に着いていて、どうやら俺が一番最後だったようだ。


「では食べようか。とりあえず俺達の方から今日の成果を話すから、食べながらでいいので聞いてくれ」


 さすがに、人の目がある中で、いただきます、と言うのはやめておいた。

 とりあえず、今日の成果を頭に思い浮かべながらソータ達へ順番に話すことにする。


「まず、俺達はソフィーの篭手やナイフを探すことにして――」


 途中、ステーキをもぐもぐしつつも、回った店についてや売っているものなどについて一通り話す。

 さすが、おすすめだけあって、このステーキ美味いな。


「じゃあ、次は僕達ですね。まずイオリくん達とは反対側に向かった僕たちは、リーンさんのスタッフを探すことにしたのですが……」

「が?」

「また、迷ってしまって。まあ、スタッフは見つかりませんでしたが、結果としてリーンさん用の良い魔力伝達用の腕輪を見つけることが出来たんですよ」

「なるほど」

「あとは、迷い込んだ所から、色々な店を見て回りましたね」

「うむ、魔物を騎獣として売っている店も見つけたのじゃ。騎獣には何故か怯えられたのじゃ」

「まあ、普通の店もあったけどな。ああ、そういえば弁当屋もあったぞ。けどあんなところで商売になるのか?」

「まあ、店を開いているってんなら、道楽でもない限り赤字ではないんだろうな」


 騎獣か…… 怯えられたのはリーンがドラゴンだからだと思うけどな。

 そういえば、前に居た世界を含めて馬などには乗ったりはしたけど、魔物を飼ったりはしていないな。


 明日以降の予定を含め話し合った結果、明日はダンジョンに泊まりで潜るとして、次の探索休息日は、魔道具店や騎獣の店を回ることにし、今日はお開きとする。

 蛇足として、すぐ隣の『探索者組合経営簡易宿泊施設』にリーン達がまた驚いていたことを記しておこう。



ここまでお読みいただきありがとうございます。

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次の投稿も一週間以内の予定です。

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