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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
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第六十二話 イオリと昼食と今日の予定

「じゃあ、時間も時間だし昼に行くか」


 そういいながら、俺は組合の建物から出て空を見上げる。

 うん、ちょうど時間的には昼だし、お腹も減ったからな。


「また、潜らないの?」

「うーん? お財布的には少し余裕ができたし、それならば休息は必要だと思うけどな。という訳で、今日はダンジョン探索の休息日としたいと俺は思うけど、どうかな?」


 ソフィーがダンジョン探索を再開しないのか、と聞いてくるが、パーティーメンバーを見廻すと、賛成、もしくはしょうがない、と言った感じだろうか。

 ちなみに、賛成がソータで、フィーネとあいつは若干残念そうにしているけど、単にもっと戦いたいだけだと思うから見なかったことにしよう。

 別にダンジョン探索を中止するって訳じゃないからな。

 他の二人、ソフィーもだけど、リーンも何か言いたげな表情をしているが、まさか、二人も戦い足りない(バトルマニア)とかじゃないよな?


「昼を食べるのはいいとして、どこで食べるんだ? 組合から出たってことは外で食べるんだろ?」

「あっ、うーん? ああ、そうだ。“馬の蹄亭”はどうだ? あそこって昼もやってるんだよな、たしか」


 そういえば何となく組合の外に出てみたは良いけど、どこで食べるかは全く考えていなかったな。

 まあ、適当にぶらついて、適当な店に入るのも、有りだとは思うけど、あいつに聞かれた時にふと思い浮かんだ“馬の蹄亭”は、とっさの思いつきにしては悪くない選択肢だと思う。


「ん? “馬の蹄亭”か? 確かに、お昼もやっていたはずだぞ。そこでいいとして、道は分かるのか? なんならうちが、また案内するぞ?」

「ああ、じゃあ案内は任せるとして、勝手に決めたけど――」


 問題ないか、とあいつ以外の四人を見廻すが、特に反対の意見は出ないようだ。

 まあ、その内の二人はよく分からないので周りに合わせているだけかもしれないけど。


「問題なさそうだから、昼は“馬の蹄亭”だな」


 あいつの案内で再び“馬の蹄亭”へと進む。

 ついでに、前回は突然の状況なのと『広域空間把握』はあくまでスキルでは無く魔法なので、相手に万が一気づかれた場合、まあ実際『防音結界』を使ったら気づかれたが、まあ、要するにだ、説明が面倒くさいので使っていなかった『広域空間把握』で道順を記録しておく。

 道すがら、未だに何か言いたいのか、こっちをチラチラ見て口を開きかけるが、結局は何も話さずに再び口を閉じてしまう、ソフィーとリーンに対して、いい加減()れてしまったので、こちらから聞いて見ることにする。


「リーンも、それにソフィーも、何か言いたいなら遠慮せずに言ってくれ。二人はパーティーメンバーなんだしな」

「そうですよ。遠慮するのは、僕たちにも逆に失礼です」


 ソータもやはり気になっていたのか口を挟んでくる。

 そんな俺たちにソフィーとリーンは一瞬驚いた顔をするが、二人で顔を見合わせて一回頷き、俺たちに理由を話すことにしたようだ。


「じ、じゃあ。妾達、こんなにゆっくりしておいてよいのじゃろうか? まったくもって、役に立っておらんし、今さっきも全てお膳立ててもらっておるし」

「ん。もっと強くなって、役に立ちたい」


 どうやら、役に立ちたいと宣言したは良いけど、どうしたら良いのか分からなくて戸惑っているようだ。

 俺には、ちょっと生き急ぎだと思えるが、それはうがった見方だろうか?

 まあ、とりあえず、真面目過ぎる二人のためにも、今日が休息日というのは決定事項だな。


「お二人は、そんなに慌てなくても、大丈夫ですよ」

「そうですよ。魔法はイオリ様とソータさんに、それ以外の体術は私たちが教えるので、すぐに強くなれます」

「そうだぜ、なんたってうちらは、ゆう――いて、何すんだ!」


 アホなことを口走りそうになったあいつに鉄拳制裁をしつつ、説教はソータに任しておこう。

 ゆう、なんだろう、と首を傾げているソフィーとリーンの二人に、なんでも無いと言いつつ、誤魔化すために二人の頭を撫でておく。

 と、そんなことをやっていたら、いつのまにか“馬の蹄亭”に付いていたようだ。


「お、ここだここだ」

「ここが、“馬の蹄亭”?」

「ふむ、酒場と言うやつじゃな。むかし、じいじに聞いたことがある」


 とりあえず西部劇風の上部のみのドアを押して中に入るが、丁度昼時なのもあるのかほとんどの席が埋まっているようだ。

 丁度いいことに、奥の方の席が、これまた丁度よく六人分の席が空いているようなので、そこに座ることにする。

 この時間の『馬の蹄亭』の客層はと言うと、鍛冶屋など近所の人たちがほとんどで、若干の探索者がいるような感じだ。

 まあ、この時間の探索者はというと、基本的にはダンジョンに潜っているはずだから、あまり地上にいないのだろう。

 それでも、賑わっているこの店は、まあ当たりなのだろう。


「じゃあ、おっちゃん。これを六人分で、飲み物はジンジャーエールとオレンジジュースを三つづつだな」


 注文の方と言えば、あいつに適当に頼んでいい、と伝えたら、本当に適当に頼んでしまったのには、閉口してしまった。

 次からはちゃんと注文しよう。


「またせたな、オークミートバーガーのセット、六人分だ」

「ほわ!」

「な、んじゃと!」


 どうやら、店員ではなく、店主であったらしいおっさん、チャトさんと言うらしいが、その曲芸じみた運び方に、初めて来た二人はかなり驚いたようだ。

 まあ、どうやらこんなことをやるのはこの店だけらしいし、驚くのも無理はないかな。

 バーガーなどが載ったトレイが俺たちが囲っているテーブルに移動するのを、興味深そうに目で追っている二人を見るのはなかなか和んだ。


「このバーガーにもオーク肉が使われているのですね。やはり、弁当屋さんが言っていた話は本当なのでしょうか?」

「話って? オーク肉がどうしたんだ?」

「ああ、弁当屋の店主、ポーラさんだったかな? その人が言うにはオーク肉がかなりの量出回っているらしい。それこそ捨てるぐらいに」

「なるほど、それでこの値段なのでしょうか? 普通はこれだけ美味しかったらもっと高くても良いような気がするのですが」


 注文が来る間に、適当に注文したあいつからメニューを奪い取り、値段や何を頼んだか見ていたが、ダンジョンで食べたオーク肉を使った弁当が気に入ったのか全部オークミートバーガーにしたようだ。

 まあ、美味しいし、安いからそれほど文句はないけどな。


「うーん? ダンジョン内でオークをそんなに見た記憶がないけど、もっと深い階層に沢山いるのか?」

「たしかに。あっ! そう言えば、三十層から三十五層付近でのオーク種の討伐依頼が張り出されていた気がします。たしか組合からの依頼で『探索者のランクがB以上の場合は優先的に討伐』だったかな? ただ、報酬は低そうでしたけど」

「あー、それかもな。報酬が少ないので残りをオーク肉などの素材でなんとかしよう、そして結果として供給が需要を上回って価格が暴落ってことかな」

「あーありえそうですね、それ」


 ランク指定での組合からの依頼は断れないけど、依頼を受けると報酬が少ないので生活が苦しくなる、と。

 まあ、高ランクであれば蓄えもそれ何リアルだろうとは思うけど、なんとも、世知辛いな。


「じゃあ、次はどうする?」

「私はライアさんの所が良いと思います」

「ライアさん? それ何のお店なんだ?」

「ああ、ライアさんがやっているのは魔道具店だな」

「魔道具店ですか? 僕も興味あります」


 バーガーをもぐもぐと食べながら、今日の予定を決めていくが、とりあえずは、ライアさんの魔道具店と、後は弁当屋さんでまた弁当を大量購入、だな。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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年内に後、1〜2回程度の更新を予定しています。


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