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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
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第六話 イオリと事情聴取

「さて、組合への登録を待っている間に、さっきの騒動について見聞きしたことを改めて確認したい。ああ、今回の件の調査が終わった時に全体へ貢献度を計算し、その結果ポイントを与えるので期待してもらっていい。ちなみにポイントは全体の意見をまとめたうえで判断するので法螺(ほら)を吹くと損するぜ」

「えっと、とりあえず、話をする前に気になったことがあるのですが……。今さっき出てきた言葉なんですが、ポイントとは何でしょう? たぶん、組合の規則に含まれている話だと思うので、ケーネさんから後で聞けばいい話かもしれないですが気になったので」


 ロベルトス支部長の話にポイントと言う言葉が出てきたが、まあ、ランクアップのための得点みたいなものかな?

 姿勢を崩しソファーの背に倒れながらロベルトス支部長は頬を掻く。


「ああ、そうか。すまんな、久しぶりに登録前の奴の相手をしたので忘れていた。まあ、簡単に言うとだな、カードを見たときに気がついたかもしれないが探索者には二種類のランクがあって、その二種類のランクの片方、個人のランクを上げるのにポイントが使われる訳だ。それ以外にも組合内でいろいろと融通がきくようになるから貯めて損はしないぜ。まあ、詳しくは後でケーネに聞いてくれや」


 なるほどね、ランクアップに利用できるのは想像通りだけど、それ以外にも、いろいろと融通がきくのか。

 魔物の討伐や素材収集などを含めて探索者組合に対する貢献度を図るための尺度としてポイント制度があるのだろうか?

 まあ、今考えてもわからないから後で忘れずにケーネさんに聞いてみよう。


「なるほど、わかりました。では、まず……」


 それから、先ほほど見聞きした内容などを俺が見た内容を話し、フィーネが補足するといった感じでロベルトス支部長へ報告をするが、そうは言っても話す内容自体はそこまで多くないので報告自体はそこまで時間がかからずに終わりとなる。

 まだこの世界の情報が少ない段階であまり目立つことは避けたいから、今回の剣に関連した俺達の能力の細かな部分は少し(ぼか)しながら話した。

 まあ、色々やらかしたと言ってもいい状態だから、今更感も無きにしも非ず、だけど。


「……と、そんな感じです」

「ふむ、だいたい状況が掴めた。話からすると、どうやら大事になる前に片付いたということか。この支部を代表して改めて礼をいっておくぞ」


 なんか、机に頭が着く勢いで頭を下げてお礼を言われたが、そこまでされると逆にこっちが恐縮してしまうな。

 支部長とはいえ、組織の長が得体の知れない新人に、しかも話自体の整合が取れていない段階でこうも簡単に頭を下げるとはね。

 まあ、先に礼を言われるのと、事実関係が完全に明らかになった後から礼を言われるのとでは抱く印象も違ってくるから、その辺りも秤にかけて礼は先に済ませておこうと考えたのかもしれない。


「あとは、そうだな、この爆弾、これについてわかることがあれば教えて欲しい」


 もはや爆発しないとは言え手の平で爆弾を弄んでいるのは豪胆と言うか何というか、ちょっと呆れてしまうな。

 流石に自身で安全かどうか分からない状態で危険物で遊んだりは、俺はできないな。

 ともかく、ポンポンとロベルトス支部長の手の平で踊っているもとは爆弾だった物の情報だったな。


「そうですね、名前は『魔力核分裂方式爆弾試作』となっているようです。性能というか効果はこの辺一体が煤塵(はいじん)に帰すぐらいで、そういう機能があるのか偶然なのかは分からないですが、その付近ではしばらく魔法が使えなくなるようです」


 とりあえず、大まかに爆弾の性能を伝えたが、詳細な内容はどうしようかな?

 説明してもいいんだけど、この世界の情報がほとんどない段階で色々と話すのはちょっと躊躇(ちゅうちょ)してしまう。


「ぬっ! この辺りが木っ端微塵になるほど……だと? ふーむ、魔法が使えなくなる……か。そんな魔道具は聞いたことがないが……。それより、なぜそんな事がわかるんだ?」


 目を細めこちらを伺うようにしているが……これは不審がられているのか?

 これは俺自身かフィーネも含めた俺達の価値を推し量っているのかもしれない。

 まあ、隠すところは隠して少しだけ情報を増やしてみようか。


「あー、えっとですね。俺はものに対して詳細を調べることが出来る『鑑定』と言うものを持っているのでそれを使ったんですよ」

「ふむ、なるほど……。まあ、探索者の能力を探るのはマナーとしてはよろしくなかったな。で、その『鑑定』の魔道具(・・・)で他に分かることはないか? 他にも情報があれば教えて欲しい」


 うーん、『鑑定』の魔道具ときたか、本当は『鑑定』のスキル、なんだけどな。

 ここではスキルとか加護と言うのは珍しいのか?

 これは……色々確認しておかないと余計なトラブルに巻き込まれそうだが、それを今言ってもどうしようもないから、置いておこう。

 あと、伝えられるのは……。


「そうですね、起動は爆弾自体に一定以上の圧力、例えばこの大きさなので握り込むとかをすれば開始するようです。基本的には一度起動すると止める手段がないようですね。あとは……そうですね、製作者が『暁の解放者』となっています」


 『暁の解放者』の名前を聞いた途端、驚いたように目を開き、さらに机に手を叩きつけてその場で立ち上がるロベルトス支部長。

 無意識なのか、それとも意識的なのかは分からないけど、すこしばかし周囲に魔力か何かが漏れているが、俺自身は威圧感がすごいなーとしか思っていなかったりする。

 フィーネの様子を見るために隣へと目を向けたが、まあ、分かっていたことだけど、このぐらいで気絶したりはフィーネもしないようだ。

 さすが武闘派王女なのかな……おっと、フィーネに睨まれてしまった。


「『暁の解放者』だと!? なぜそいつらが……いやしかし……。ん、ごほん、すまん、取り乱してしまったようだ」


 名前を聞いた瞬間は驚き席を立つが、すぐに誤魔化すように表情を元に戻し座り直す。

 状況がよくわからないが、この『暁の解放者』という結社はそうとう危険……なのだろうか?

 余計なトラブルに巻き込まれないようにしたいな。


「えっと、『暁の解放者』というのはよほど危険な組織なのでしょうか?」

「あー、うん。そうだな、あまり名前は知られておらず、表立った活動もないが、様々な兵器を研究し犯罪組織に流している、らしい」

「なるほど、危険度は高いが実態がよくわからない、と?」

「まあ、そうだ。あー、ところで、これは今どんな状態なんだ? まだ、爆発の危険はあるのか?」


 ふむふむ、結社『暁の解放者』については、実態がわからない以外にも、触れてほしくない類いの問題、といった感じもあるな。

 頭の片隅にでも入れておいて、あとで調べてみるか。


「いえ、『結界』で固定してあるので爆発はもうしないですね」

「ふむ。とりあえず『結界』とやらが何か分からないが、とりあえず危険はないんだな」

「はい、多少乱雑に扱っても問題ないぐらいの強度はあると思います」

「そうか……」


 『結界』は、いや少なくともそのような名前の着いた魔法などは一般に知られては居ないらしい。

 ロベルトス支部長は多少気にはなったようだが、俺達にとっては有り難いことに詮索をしないことに決めたらしい。

 俺の返事を聞いたあと考え込むロベルトス支部長だが、そのタイミングを見はからったかのようにドアがノックされる。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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