第五十七話 イオリと今後の対応
二人に発見時の状況や『鑑定』で確認した状態を伝え、この後どうしたいかを再度確認した所で二人共が俺達のパーティーに入ることにしたようだ。
まあ、正直な所は生活に必要な資金が全く無い所に、パーティーに入れば保証するとなれば、頷くしか無いか。
二人には、スキルや魔法が封印状態で使えなくなっている事など、詳しい状況まで伝えたが、組合にはそこまで伝えず、ダンジョン内で倒れていた所を俺達が見つけたことのみを伝えることにした。
「じゃあ、状況も伝えて、今後の予定も決まったし戻るか」
「了解だぜ!」
「わかったのじゃ?」
「ん!」
「ついでに僕達が狩った魔物の換金もしませんか?」
「そうですね。そうしましょう、イオリ様。これで借金生活も終了です!」
たしかに、俺の『倉庫』や、ソータの『アイテムボックス』には、この階層に来るまでに狩った大量の魔物の死体が溜まっているので、そろそろ組合に卸すのも良いかもしれない。
もっとも、まだまだ低い階層なので、魔物の一体一体はそこまでの買取金額はつかないと思うけど、纏めるとそこそこは行くはずだと思う。
そういえば、アシッドジェリーの魔石は今日以降で受け取れるって、ロベルトス支部長が言ってたから、ついでに受け取っておこう。
「よし。じゃあ、組合で報告した後に、買い取りもする。ということで、石碑に手を置いたな」
「はい」
「よし、じゃあ『帰還』」
そうして、再び地上へ戻ってきた俺達は、ダンジョン出口の建物から出た後、組合へと進んでいく。
まあ、アイツが前回も言われたのにダンジョンからの脱出の記録をせずに進もうとするという、お約束と言えるようなことをまたやらかしたりもしたが、それ以外は特に問題という問題はなく組合に着いた。
「なんか、カームラストダンジョンの探索者組合より、建物が大きい」
「へー、そうなのか」
「ん! たしか、カームラストダンジョンの組合支部は、ダンジョン街が有るダンジョン、七つのうち一番小さいって聞いたことが有る」
「七つ有るって知ってるのに、ここのダンジョンは知らなかったのか?」
「そう。大きなダンジョンが、七つ、有るのは知ってた。けど、名前までは知らなかった」
「なるほどね」
組合内に入ると、建物内には人が居ることは居るけど、受付にも数人しか並んでいなくて、まあ混んでいるよりは良いか。
とりあえず、組合の休憩スペースで休憩しつつ、ソータは探索者登録とカードの再発行について調べてきますと、資料室へ向かった。
えっと、うちのパーティーの女性陣はっと、辺りを見回すと、ソフィーとリーンを撫で回しているようだ。
撫で回されている二人も特に嫌がる素振りは見せず、無抵抗で撫でられているので放っておく事にする。
「さて、何が起きているんだろうか」
つい、独り言が口から零れてしまったが、ソータを待つ間に、ここ数日で起こった出来事を思い出してみると、その全てが関係しているのか、それとも俺の思い過ごしなのかは判断がつかないし、そもそもの話で情報が少なすぎる。
ただ、こうも連続して起きていると何かしらの事件なりが裏で起こっているのではないかと勘ぐってしまう。
まあ、巻き込まれている可能性があるとは言え、現状は特に被害らしい被害もないし対処のしようがないか。
「お待たせいたしました」
「ああ、お疲れさん」
つらつらとそんなことを考えていると、ソータが資料室から戻ってきた。
フィーネ達は現在進行形でリーン達を代わる代わる撫でたり抱きしめたりして可愛がっているが、よく飽きないものだ。
おっと、念には念を入れて『結界』で会話が漏れないようにしておこう。
「で、どうだった?」
「どうやら、少なくとも過去には竜人族の凄腕探索者が居た記録が有りました。あと、そもそもの話でドラゴンが人に化けるって話自体が見つからないですね」
いつの間にか、フィーネ達もリーン達を連れてソータを囲うように集まってきてた。
まあ、いまだに抱きしめたままだけど。
「ああ、記録には残っていないのは当然かもしれないのじゃ。基本的には竜族は魔力が豊富なのじゃから魔力切れで変化が途切れることもなじゃろうし、一度変化したら街で生活している限り、滅多なことでは元の姿に戻ることもしないじゃろうし」
「なるほど。たしかに、そうだな」
「ということなので、種族について、何か聞かれたら竜人族ということで押し切るのが良いと僕は思います」
「たしかに、それが良さそうだな」
あとは、ソフィーの方だったな。
結局のところ別の支部の組合カードは再発行できるのだろうか?
「もう一つの方、カードの再発行ですが、大きな組合同士ならば通常は問題なく出来るようです」
「通常?」
「はい、再発行の料金は当然かかりますが、支部の間で情報を共有しているため、別の支部のカードも特に制限無く再発行できるようです。が、例外が有るようでして、行方不明後一定期間が立つと死亡扱いになって再発行が、と言うよりもカード自体が利用できなくなるようです。それでですね、ソフィーさん、今日の日付を教えてくれませんか?」
「ん? 今日の日付? んーんと、夜越してるから雷の月の一八日だと思う。合ってる?」
ソータが何を言いたいか、なんとなく分かってしまったが、ちょっと想定外の事態だな。
「……今日は、金の月の24日です」
「えっ!?」
本人登録が必要な職業の場合、行方不明になった場合には、ある程度の猶予期間を経て死亡扱い、登録情報や預けている資金を没収、とこのような管理になっていることがある。
説明も無いし、小冊子の確認もまだなので知らなかったが、ソータの表情を見る限り、そういうことらしい。
「そして、組合の規則では行方不明から死亡扱いまでは、僕はちょっと短いと思うのですが三十日となっているようです。なのでソフィーさんの登録は抹消されていると考えられます」
「……(ふるふる)」
ソフィーはソータの話を聞くと、俺の服を両手でしっかと握りしめ、いやいやをするように必死に首を振り涙目で見上げてくる。
そんなソフィーの頭を撫でながら、ソータに話の続きを催促する。
「すいません。脅かすつもりはなかったのですが。えっとですね、何事にも例外がありまして過去に何度か今のソフィーさんと同じようなことが有ったようで、特別措置として、再登録が出来るみたいです。なので、探索者として再出発できますよ」
ソータは、ソフィーと同じ目線になるようにしゃがみ、よかったですね、と話しながら頭を撫でている。
ソータの話を聞いていると、俺もちょっと不安になったが、とりあえずソフィーが探索者としてやっては行けるようなので、とりあえずは安心だ。
「とりあえず、報告は以上です。ほか何か確認することはありますか? あったら、また資料室で調べてきますけど」
「特に無いな。……フィーネ達もなさそうだな」
さてと、話も纏まったことだし、報告に行くとしよう。
受付を見ると、どうやら、丁度開いた所にケーネさんが座っているのが見えたので、ちょうど良いと思い、そこに行くことにする。
「おはようございます。ケーネさん」
「おはようございます。イオリ様、とパーティーの、あら? そちらの二人は初めてですか?」
ケーネさんは、俺たちの後ろに隠れていたソフィーとリーンに気がついたみたいだけど、とりあえず先に魔石などについて確認しよう。
「はい、そうなんです。この子達については後からお話ししますが、とりあえず、アシッドジェリーの魔石と紹介状の受け取りは可能でしょうか?」
「はい、可能です。ご用意いたしますね」
ケーネさんは受付の下に潜ると、なにやらごそごそと音がしてくる。
どうやら、魔石などを探しているようだけど、毎回受付の中においているのだろうか?
魔石と紹介状を探し出したケーネさんは、椅子に座り直すと、これにサインをお願いしますと、受け取り確認証と書かれた用紙を出してくる。
差し出されたそれにサインをしケーネさんに渡し、アシッドジェリーの魔石や紹介状と交換してもらう。
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