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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
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第五十六話 イオリとソフィー

ひー。ギリギリでした。

 さて、未だに足に抱きついているリーンの頭を撫でながら今後の予定を考え直す。

 そもそもの話、今も背負っているこの子やリーンを組合へどう説明すべき、いやそもそも説明できるのだろうか。

 はてさて、一体どう説明したものかと、ソータと一緒に頭を捻る。


「そもそも、精神汚染や呪い、封印状態などなどは、『鑑定』から説明しないとだめだしな。そもそも、この世界に『鑑定』やそれに似た魔法やスキルは有るのか?」

「うーん、組合の資料室では見た範囲では乗っていなかったと思います。見落としているか、有ったとしても秘匿されているかもしれませんね」

「たしかに、『鑑定』自体、かなり有用だから一部の人や組織が独占しているってことはありそうだ。フィーネが住んでいた世界では、俺の使っている『鑑定』ほど強力ではないにしろ、ある程度の情報が見れるスキルや魔法がある程度広まっていたから気にしたことはなかったな」

「考えてみれば、僕のいた世界でも同じような感じでしたね」


 考えてみると、まだまだ、情報が色々足らないな。

 ただ、この世界に来てからまだ三日目だし、仕方ない部分も有ると考えたいな。

 初日に組合内で、ある意味でやらかして、昨日も一昨日登録したばかりの探索者から考えるとおかしいことをやらかしているので、もう支部長あたりには目を付けられているかもしれないので今更か?

 ともかく、説明の話だな。


「たしかに考えると説明が難しいですね」

「背中のこの子は、軽装だったけど探索者のような格好をしていたので、もしかしたら探索者に登録しているかもしれない。けど、リーンは間違いなく持ってないよな」

「まあ、知性が有るとは言え魔物として分類されてますからね」


 そうなんだよな。

 魔物とそれ以外、結局のところ魔石の有無以外に違う部分は有るのだろうか?


「そういえば、魔物って探索者として登録できるのか?」

「え? うーん、どうでしょうか? 戻ったら組合の資料室で調べてみましょう」

「まあ、迂闊に聞くとややこしいことになりそうだな。先に調べてみて、それでもわからない場合は最終手段で、知り合いの受付けか、支部長にでも聞いてみるとしよう」

「まあ、昨日の今日ですでに支部長と知り合いってのもすごいですけどね」


 たしかに、一昨日から随分と濃い日々が続いている気がする。

 えっと、一昨日は爆弾騒ぎで支部長と知り合って、昨日はアシッドジェリーで支部長に驚かれ、だったかな。

 そして、今日のリーンとこの子、と。

 また、驚かれ、いやもしかしたら呆れられるかもしれない。


「あれ?」

「どうしました?」

「いつの間にか、リーンが側に居ないな」

「ああ、なんか先程、何かに気がついたようにイオリさんやフィーネさんが居る、あっちの方へふらふらと引き寄せられるように……」


 そういえば、リーンが俺の側からいつの間にか居なくなっている。

 フィーネたちも静かだなと思ったら、どうやら、お菓子でリーンを少し離れた所に釣り出したフィーネたちは、その頭を嬉しそうに撫でていた。

 お菓子なんていつの間に買ったのだろうか?


「……まあ、あっちの方はとりあえず放おって置こうか」

「そうですね。暫くあのままでしょうし」

「リーンの方は、組合に登録できそうならば登録して俺達のパーティーに組み込んでしまおう」

「それがいいと思います。あとは背中のその子はどうします?」

「とりあえず、事情は先に聞いておいたほうがいいかな。ついでに本人にどうしたいか確認してみるか」


 うーん、強制的に起こすのも悪いかと思ったけど、少し揺すってみてすぐ起きればいいし、起きなければまあ、諦めるか。

 背中から下ろし、ぐーすか寝ているこの子の肩を持ってゆさゆさと揺すってみる。


「んぅ?」


 どうやら、揺すったぐらいでは起きないだろうと考えていた俺の予想を裏切り、すぐに目が醒めたようだ。


「お、起きたか。おはよう」

「おはようございます?」


 ……醒めたのか?

 おはようといいつつ、くりくり眼はいまだとろーんと眠そうな感じで、首も傾げてこちらを見ている。

 暫く待っていても、そのまま首を傾げた状態で止まっている。

 また、寝ているのかと思ったが、瞬きはしているようなので、どうやら目は醒めていて、俺達の反応を待っているらしい。


「……えっと、とりあえず事情を聞いてもいいか?」

「んっ!」


 勢い良く右の手を真上へ、それも目一杯上げて了解をしっかりと伝えてくる。

 眠そうな目をしつつも、意思を伝える動作はメリハリが効いていて面白い。

 ソータの方を見ると、どうやら俺に任せるようだ。


「何から聞くかな。じゃあ、とりあえずこのダンジョンに行き倒れていたのはなんでだ?」

「ん? この、ダンジョン?」


 キョロキョロと辺りを見回して、まるで頭の上に疑問符が浮いているような感じをさせ、また首を傾げる。


「ここ、どこ?」

「ここか? えっと、ロブアグリードダンジョンの二十六階層目だな」

「? ロブアグリードダンジョン? カームラストダンジョンじゃないの?」

「カームラストダンジョン? どこだそれは? ソータは知ってるか?」

「えっと、たしかこのダンジョンから南へ五週間ほど進んだ所にあるダンジョンだったと思います」


 どうやら、こちらも複雑な事情が有りそうだ。

 おっと、忘れてた。


「とりあえず場所のことは置いておいて」

「えっ? ……う、うん」


 なぜ距離が離れた場所に居るのか、と言う疑問が晴れるどころか一旦棚上げされたことに驚くも、自身が何か言っても話しが進まないと思ったのか、なにか言いそうになるも飲み込んだようで、年齢に見合わずこの子は案外聡いようだ。


「探索者組合に登録はしてるか?」

「探索者組合? うん、カームラストダンジョン支部に登録は、してある。……けど、組合のカード、なくしたみたい」


 どうやら、予想通り登録していたようだが、登録は別の支部だし、そもそも組合カードをなくしてしまったようだ。

 再発行については昨日聞いたな、とそこまで考えたところで、別のダンジョン支部の場合の説明は受けていなかったことを思い出した。

 ソータは知っているだろうか、と思いソータの方を見ると首を左右に振っているので、どうやらソータも知らないようだ。


「うーん、まあ、この子は……」

「ソフィー」

「ん?」

「わたしの名前、ソフィー」

「ああ、悪い。よろしく、ソフィー」

「うん、よろしく!」

「で、ソフィーは、どうしたい?」

「どう、とは?」

「ああ、とりあえず、俺達はあっちで撫でられているリーンのことも有るから、これからダンジョンから戻るつもりなんだ」

「ん、じゃあわたしも連れてって欲しい。親切にされたら、とりあえず、乗っかっておくべき、と教わった」

「……まあ、いいか。じゃあ、とりあえずはここの探索者組合の支部までは連れてくから、そのあと状況を報告して、あとはどうするかは決めてくれ」

「ん、できれば、あなた達のパーティーかに入れてほしい、でもだめだっ……」

「いいぜ、ソータもいいよな?」

「はい、問題ないですよ」

「えっ?」

「だから、パーティーに入りたいんだろ? いいぜ。ただ、色々とあるからそこは秘密にしてほしいけど」

「ん、わたしたち探索者に秘密が有るのは当たりまえ。パーティーの秘密を守るのも問題ない」

「じゃあ、とりあえず状況を伝えておくか。ああ、ついでにリーンも似たような感じだったから一緒に話しておくか」


 それから、俺とソータはリーンを撫でて至福の表情をしているフィーネ達を、リーン共々呼んで、状況をリーンとソフィーの二人へと伝える。

 伝えた内容が、かなり想定外だったのか、話をすると、そのまま固まったり、顔色が悪くなったり、考え込んだりと、表情がコロコロ変わって面白かった。

 まあ、本人たちにはそれどころじゃないと思うけど、傍から見ている分には、不謹慎ながら一番に思い浮かんだのがそんな感想だった。

 あとは、聞いている二人の表情や仕草が予想以上にシンクロしていていたので、相性がいいのかもしれない。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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次の投稿も一週間以内の予定です。

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