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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
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第四十六話 イオリと二十一層目と罠への対処

「じゃあ紹介状は、そうだな…… 明日以降に受付に顔を出してくれ。託けておく。魔石の方も同時に返却できるよう手配しておくぞ」

「わかりました」

「他はよかったか?」

「……はい。大丈夫です。わざわざお時間を取っていただきありがとうございます」

「なに、構わん。こういう、些細な以上を見逃すとあとで大変な目に合うからな」


 ロベルトス支部長に見送られ応接室から出た俺達は、一旦ロビーの休憩スペースに集まり、この後のことを相談することにした。


「さてと。とりあえず、報告は済んだけどこの後どうする?」

「夜までは、まだ時間がありますので、私はもう一度潜りたいです」

「うちも、夜まで潜りたいな」

「うーん、僕もそれでもいいですが、時間が時間なので、もういっそのこと、泊まりで潜ってみませんか?」

「泊まり? 泊まりってことは、ダンジョン内で野宿するってことだよな? うちは、それのほうがいいな」

「わ、私も泊まりで潜ってみたいです……」


 今の時間は、だいたいもうすぐ夕方になろうかという時間だ。

 これからダンジョンに潜ると、夜遅くに次の目標の三十階層にたどり着けるかも、という微妙な時間となる。

 どうやら、ソータは、時間が微妙ならダンジョン内で泊まれば良いじゃないか、とそんな発想に至ったようだ。

 野宿の用意もしてあるので、たしかに今すぐ潜るって言ったとしても、これといった反対する理由もないんだよな。

 それ以前に、女性陣が期待するような眼差しで、俺を見てくるので、この状態で駄目という勇気があるやつは、元勇者である俺を超える勇者と呼ぼう。

 と、冗談はともかくとして、まあ、別に問題ないから、泊まりで潜ろうか。

 アシッドジェリーの魔石の鑑定結果や紹介状などは、どちらにせよ明日以降なので、ダンジョン内で一泊しても問題ない。


「まあ、特に反対する理由もないし、それで行こうか。とりあえずはダンジョン内で一泊する予定でいいか?」

「そうですね、僕とイオリさんの野宿の準備は出来ているので問題ないですよ」

「私達も大丈夫です」

「じゃあ、さっさとダンジョンに行こうぜ!」


 溢れんばかりの元気を纏ったあいつを追いかけるように俺達三人も組合の建物を出て、ダンジョンの入り口へと向かう。

 程なくして、入り口へと辿り着き、探索予定を受付のお姉さん、キャロさんへ告げて、ダンジョン探索を再開する。

 ダンジョンへ潜る前にキャロさんと一悶着があったけど、なんとか誤解は解け無事に通してもらえた。

 基本的には自己責任だとはいえ、こう何回も出たり入ったりを繰り返していると心配になるようで、そうなると俺達も無碍には出来ず、通してもらうまでに少し時間が掛かってしまった。


「むー。大丈夫だってのになー」

「まあ、誤解は解けましたので、いいじゃないですか」

「たしかに、初めてのダンジョン探索で、一日に三回目、しかもこの時間からだから、無謀と捉えられてもしょうがないといえばしょうがないかな。始めから組合のカードに記録されている到達階層を確認してもらえばよかったな」

「キャロさんも慌ててたようですし、しょうがないですよ」


 雑談をしながらも、周りを油断することなく警戒し、ダンジョンに入った俺達は、二十一階層の探索を始めた。


「えっと、この階層からしばらくは洞窟になるんですよね」

「ええ、罠も出てくるので本当は細心の注意が必要なのですが…… 便利ですね、それ」

「まあな。ゴーレムとかを先行させて力技で罠を解除、と言うか、全部起動させるって方法も出来なくもないけど、罠の条件によっては取りこぼしがあったりするから完全じゃないんだよな」

「うゎー。これもそうだけど、ゴーレム使って力技ってのもダンジョンも真っ青だな。ちょっとうち、ダンジョンに同情するぜ」

「やはり、そう思いますよね。効率的ですが、私はちょっと無粋だと思います」


 散々な言われようだけど、今俺が使っているのは『罠可視化』と『罠解除』と言う魔法だ。

 まあ、何が出来るかと言うと言葉の通りで、罠が仕掛けられている壁や床、天井から、どんな罠が、そして、何が起きるかが、俺達に見えるように指し示されている。

 そして、それを見ながら、必要あれば俺が『罠解除』を使ってどんどんと罠を無効にしている。

 もともと、『罠解除』は熟練の解除師が見つけ自身では手に負えないような罠に対して利用する魔法で、そもそもの話で罠が見つからないと使えないという、使いどころが限られる魔法だった。

 もちろん、俺は熟練の技なんて有る訳はないので、それならばと、昔の仲間と相談しつつ、既存の魔法を改造し作り上げた新しい魔法だ。

 ただ、造ったはいいけど、結局のところ魔法の起動と制御が難しく、この魔法を使用するのはどう考えても一般的な魔法使いではできそうに無かったために、今のところは俺専用の魔法となっている。

 これも、魔道具に出来れば俺以外にも使えるようになって便利だし、あとで研究をしてみようかな。


「罠の所を示している、なんだろう、札? それを見てると、突然地面が凹んだり、通路の幅が変わったりと、地味な罠が多いですね」

「だな! 戦闘中に地面が突然凹んだりすると、気が散って魔物の攻撃を受けたりするかもしれないから、地味に嫌な罠だぜ」

「そうですね。たしかに、誰もが危険と思うような落とし穴などの罠よりも、内容が地味な分だけ油断してしまうかもしれません。どちらかと言うとこちらの方が、よっぽど危険な気がします」


 今のところ、罠に掛かってしまうと即死や瀕死となってしまうような物は、『落とし穴』と『弓矢地獄』しか無い。

 もっとも、即死や瀕死となるのは、一般的な探索者がそうであって、その一般的な探索者から大きく外れている俺たちには当てはまらないと思う。

 たとえ、罠にかかったとしても、ある程度のダメージは受けるとしても、行動ができなくなるような瀕死の状態になるようなことにはならないと思うし、俺がすぐに回復させるので問題ない。

 ただ、フィーネ達が言っているような、地面が凹む『地面陥没』や、通路の幅がうねうねと変わる『通路伸縮』など、地味な罠も多いので、たとえダメージがほとんどなかったとしても、鬱陶(うっとう)しいことには違いがない。

 さて、ここで、その他に出てきた罠を纏めてみよう。


『通路閉鎖』は、洞窟の通路が通れなくなる罠で、閉じ込められることはないけど、さっきまであった通路がいつのまにかなくなっているので、混乱することは間違いない。

『通路開放』は、『通路閉鎖』とは逆に、いつのまにか通り道ができている罠で、やはり同じように混乱することだろう。

『弓矢発射』は、『弓矢地獄』をずっと優しくしたような罠で、散発的に弓矢が飛んでくるので、避けれないこともないし、結構死角があるので、やり過ごすこともできる。

『巨岩球』は、巨大で丸い岩が転がって迫ってくる罠で、もちろん、追いつかれるとぺちゃんこだ。

『地面抵抗零』は、洞窟内にも関わらず地面が何故かツルツル滑るようになる罠だ。

『地面吸引』は、『地面抵抗零』とは逆に地面に吸い付き、ものすごく歩きにくくなる罠だ。

『水槽地獄』は、一定区間内がほとんど一瞬で水で満たされる罠だ。

『壁面崩壊』は、突然に壁が崩れて土砂が降ってくる罠だ。

『地面隆起』は、『地面陥没』とは逆に地面が盛り上がる罠だ。


 と、まあ、こんな感じの罠が仕掛けられているようだけど、まあ見つけ次第、俺が罠を解除しているので今のところ、俺達は一回も引っかかっていない。

 そして、この洞窟でも『広域空間把握』を使って、ダンジョン内をマッピングをしているのでほとんど迷うことなく進み、あっという間にボス部屋まで辿り着いてしまった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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次の投稿も一週間以内の予定です。

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