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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
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第二十八話 イオリとロブアグリードダンジョン一層目

 受付のお姉さんに見送られながら、俺とフィーネは初めてのダンジョン探索に向かう。

 このダンジョンの入り口は洞窟がポッカリと入り口を開けているわけではなく、ダンジョン内へと転送を行うポータルが設置してあるみたいだけど、大半のダンジョンは洞窟がそのまま大きくなったような感じで入り口に転送用のポータルが有ったり、各階層間は階段や坂を地下へと潜っていく感じらしい。

 受付部分から見える位置にダンジョンの入り口部分、と言って良いのか分からないけど三方を囲んだ小屋のような物があり、転送用のポータルが設置してあるようだ。

 小屋自体は隣の出口用の建物と比べ、あまり大きくはなくて十人程度が中に入れる限度のようだ。

 ダンジョン内のパーティー人数は、このことが関連しているのかもしれない。

 小屋の中にある転送用のポータルは、中心に身長の半分ぐらいの石碑が据えてあり、その周りに魔法陣が僅かな光とともに展開し、板壁をうっすらと照らしている。


「初めてのダンジョンが目の前に来ています! さぁ早く行きましょう、イオリ様!」

「まあまあ、そこまで焦らなくてもダンジョンは逃げないからね。落ち着こう、フィーネ」

「うっ。そ、そうですね。ちょっと舞い上がっていました」


 ワクワクが止まらないのか、転送後にダンジョン内を爆走しそうだったので、ちょっと落ち着くようフィーネに言うが、それでもまだうずうずしている。

 ダンジョンに潜るのがよほど待ち遠しいようなので、とりあえず、落ち着かせつつ、石碑へ手を置く。


「落ち着いたか?」

「はい、大丈夫です」


 ポータルを使っての転送は、転送したい人全員が石碑に手を置き『ダン(et in)ジョンへ(carcere)』と唱えることで移動できると、さっき受付のお姉さんが説明してくれたっけ。


「よし、フィーネも手を石碑に置いたな。じゃあ、いざ『ダン(et in)ジョンへ(carcere)』」


 予め決められた転送用の呪文を唱えた瞬間に、俺とフィーネを包むように魔力が覆い、気がつくと一階層目へと転送されていた。


「へー、俺の知ってる転移の魔法とは仕組みが違うみたいだな」

「うーん? 私には違いがよくわからないのですが」

「まあ、些細な違いだし。そのうち調べてみたいな、これも」


 ちょっと、フィーネから呆れた目で見られたが、気が付かなかったことにする。

 それはともかく、ダンジョンの低層部分は迷路構造になっていると、調べがついていたが、まあ、その情報に間違いはなく、入ってすぐ先で道が左右に分かれていた。


「とりあえず、待ちに待ったダンジョンだけど、コンビネーションは以前の通りで良い?」

「そうですね……。ちょっとパーティーの構成が攻撃に偏っていますが、多分大丈夫だと思います」


 今いる場所の、正面には道が少なくとも分かれ道まではあり、その反対側、振り返った後ろは、壁となっていて行き止まりなので、正面に向かって進むしかないな。

 これ、転送直後に目の前に魔物が居たら逃げようもないんじゃないだろうか?

 あっ、そうだ、とりあえず『広域空間把握』の魔法が使えるかどうか試しておこう。


「いきなり分かれ道だけど、どっちに行こうか?」

「うーん、では右側に行きましょう」

「それは何故?」

「なんとなくです。でも、まだ最初の分かれ道なのでどちらに変わらないと思います」


 そりゃそうだ、と言いつつ道の角で魔物に襲われないように十分警戒をしながら進む。

 ダンジョンの低層部分ではそんなに強い魔物は出てこないし、落とし穴などの罠の類もないって話しだったので、そうめったなことにはならないだろうと思うけどね。

 まずは、軽く戦ってみて俺達のこの世界での強さを図ってみようか。

 ……俺達が思っている以上にこの世界の魔物が強かったら大変なことになるかもしれないけど、多少魔物が強いぐらいだったら遅れを取ることはない、と思いたいな。

 分かれ道を右に曲がった後、警戒しつつもフィーネと小声で話しながらダンジョン内をしばらく進む。


「お、第一ダンジョン民、発見だな。えっと、ゴブリンに、ゴブリンに、ゴブリンに、ゴブリンメイジ、か」

「ダンジョン民とは何でしょうか?」

「言ってみただけだから、忘れてくれ」

「そうですか。とりあえず、ダンジョン内で出会う中で、下級のスライムよりは強い、ぐらいの魔物ですね」


 とりあえずは、鑑定をしてみよう。

 まずは、ゴブリン。


----------------------------------------------------------------------

名称:ゴブリン

固有名:なし

種別:魔物

状態:良好

全長:4フィト前後

体重:20ルトエ

脅威:パーティー討伐F級、ソロ討伐F級

概要:主にダンジョン内部では低層に分布する亜人種の魔物。

詳細:

体長は4フィト前後で、ゴブリン種の基本種となる。

基本種ではあるが、ある程度の知恵があるために連携して襲ってきたり、道具を自分で作り使うことがある。

このゴブリンからパーティー討伐E級のゴブリンソルジャーからパーティー討伐S級のゴブリンキングまで様々なランクの上位種へとランクアップする可能性がある。

ダンジョン外部では雌のゴブリンがごく稀にしか発生しないために、人種の女性を攫い苗床とすることがあるが、ダンジョン内で発生したゴブリンは生殖機能がないためにそのようなことは行わない。

加護:『ロブアグリードダンジョンの庇護』

スキル:なし

魔法:なし

----------------------------------------------------------------------


 そして、ゴブリンメイジ。


----------------------------------------------------------------------

名称:ゴブリンメイジ

固有名:なし

種別:魔物

状態:良好

関係性:敵対

全長:4フィト前後

体重:22ルトエ

脅威:パーティー討伐E級、ソロ討伐D級

概要:主にダンジョン内部では低層に分布する亜人種の魔物で、簡単な魔法を使用する。

詳細:

体長は4フィト前後で、ゴブリン種の中位種となる。

中位種の中では珍しく、簡単な魔法を使うことができるが、ほとんど魔法特化とも言って良いために接近戦を非常に苦手としている。

使用する魔法は、『水球』や『火球』、『風刃』など簡単な魔法のみを使用する。

ダンジョン外部では雌のゴブリンがごく稀にしか発生しないために、人種の女性を攫い苗床とすることがあるが、ダンジョン内で発生したゴブリンは生殖機能がないためにそのようなことは行わない。

加護:『ロブアグリードダンジョンの庇護』

スキル:なし

魔法:『水球』『火球』『風刃』『土壁』

----------------------------------------------------------------------


 うーん、これは思ったよりも魔物が弱い、かな?


「とりあえず、予想よりも魔物が弱い気がする」

「そうですか。試しに『威圧』をしてみていいでしょうか?」


 と、俺に確認を取った後、軽く、そうフィーネ的には軽く『威圧』スキルを使用した所……。

 大惨事となった、主にゴブリン達が。


「あれ? あれれ? 軽く、のつもりでしたのに。まさか『威圧』で倒してしまうなんて……」

「あー、よっぽどフィーネが怖か……。うん、魔物が弱かったんだな。きっとそうだろう」


 フィーネがギロっと睨んできたので、言い直す。

 怖い怖い。

 しかし、軽くで、怯んだり、気絶したり、することは予想していたけど、まさか気絶を通り越して、そのまま倒してしまうとはね。

 前の世界で、魔王軍の幹部や魔王自体など、最高レベルの敵に対応していた感じが抜けていないって可能性もあるけど……。

 フィーネから感じた雰囲気ではそんなことはなさそうだったし、少なくともダンジョンの低層では問題なく戦える力を持っていると考えてよさそうだな。

 まあ、極端に『威圧』だけ弱い魔物って可能性もないことはないだろうけど、普通はそんな偏ったことにはならないと思う。


「とりあえずは、『威圧』以外も使ってみようか」

「そうですね、弱いなら弱いで、安全にいろいろできそうです」


 なんか、ちょっと脳筋っぽいことを言っているけど、まあ聞かなかったことにしよう。

 若干警戒感を緩め、ダンジョン内を歩く。


「そういえば、『広域(bamhi)空間(nzvimbo)把握(anzwisise)』は使えそうですか?」

「うーん? うん、使えてるね。今まで通った道が記録されてる。手でマッピングする必要が無いから楽でいいね」

「まあ、手間がかからないのは確かですけど、イオリ様だけ、ダンジョンの地図を見れるなんてずるいです。休憩時にでも地図を紙に写して見せてくださいね」

「まあ、この調子だったら十分休憩できそうだから、小部屋が見つかれば休憩がてら紙に書き写すよ」


 とは言え、手書きだと紙に書き写すのは面倒なんだけど、まあ、ここは便利な『複製』魔法を使えばいいかな。

 普通はダンジョン内では安全のため魔力の消費を抑えるらしいけど、魔物が予想以上に弱いようだし、俺とフィーネは魔力に余裕がある、というよりも使うよりも回復するほうが早いので、今のところは多分大丈夫だろう。

 こと戦闘に関する俺の(かん)は『直感』の加護も付いていることも相まって前の世界では、ほとんど外れることはなかった。

 とは言っても多少は外れるので油断は大敵だけど、きっと大丈夫、これは感と言うより経験則かな、まあ、どちらも似たようなものか。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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